表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、神様になります  作者: 昼神誠
神になった少年
296/592

この力はどこかおかしい6

 地下牢から外へ出ると石化したならず者たちが至る所に見える。

 神罰か……これは予想以上に使えそうだ。

 石像になっているから腐敗しないし、血も出ないから砦が汚れることもない。

 空中に漂ういくつかの魂魄……あれ、石像と数が微妙に合わないな?

 石像を調べると魂魄が抜けているものもあれば、肉体に留まっているものもある。


「なぁ、コスモス、石化しただけで人間って死ぬものなのか?」


「基本は死にません。ですが、意志の強い者ほど石化していく速さが遅いため、五臓六腑が機能停止になり亡くなると聞いたことがあります」


 なにそれ!?

 やだ、怖いんですけど!

 苦しませずに倒せると思ったが、意志の強い者ほど抵抗力があるから苦しむってことだよな?

 肺が半分でも石化したら呼吸ができなくなって……うげぇ、考えただけで苦しくなりそうだ。

 さっきの悲鳴を上げていたならず者たちが抵抗力のあった者たちなのだろう。

 無表情の石像もあれば、苦しい表情をした石像もある。

 ま、ルサールカにした酷いことの代償とでも思ってもらうしか無いか。

 

「無表情の石像は魂魄が身体に残っているから生きているってことで良いんだよな?」


「はい、石化した身体の中で風化して崩れ去るまで苦しみ続けることになります」


 ひぃぃぃ、それも怖いんですけど!

 一思いに魂魄を浄化して冥界に送ってやるか。

 この石化した身体は人形兵士の餌として活用させてもらうわけだし。


「彷徨える魂よ……冥界で輪廻転生まで安らかに眠れ」


 パァァァ


「ああ、なんてお優しい! ドレイク様は下劣な人間にまで御慈悲をお与えになるのですね」


「坊や……本当に神族へと変わったのですわね?」


「坊やではないわ、このビッチが! 悪魔である貴女はドレイク様の御慈悲で生かせていただいていると言うことを……」


 ルサールカってビッチなのか?

 あ、コスモスが他の女に嫉妬しているのか。


「コスモス」


「も……申し訳ございません」


 偉ぶるつもりなんて無いんだよ。

 コスモスが俺を好いてくれているのは嬉しいのだが、他の女性に暴言を吐くのは止めてもらいたいな。

 これも教育あるのみか……はぁ。


「さて、この辺りにいる勇者軍は片付いたし駐屯地まで馬車を使わせてもらうか」


「ドレイク様は中でお休みになっていてください。私が運転いたします」


「ああ、頼む。それじゃ、ルサールカさんも中で」


「!!! ドレイク様、まさか馬車の中でこの女と!?」


「しねぇよ!」


 コスモスの頭の中がどうなっているのか見てみたいものだ。

 それにしてもルサールカがやけに大人しいな。

 会談のときみたいに砕けた感じで接してくれれば良いのに。

 それに顔が赤いし……まさか、何かの病気か?

 馬車にルサールカを乗せ、コスモスが運転し駐屯地へ帰る。


「ルサールカさん、どこか調子が悪いのですか?」


「坊……いえ、ドレイク様! 私と配下の者をお側に置いてください!」


 へっ!?

 急に何を言い出すんだ?


「どういうことですか? 俺の……配下?」

 

「ドレイク様は勇者軍を滅ぼすおつもりなのではございませんか?」


 アルス大陸とグランディール大陸の戦争を終結させるつもりではあるが、片方に付くともう片方から狙われることになるしなぁ。

 ただでさえ、神族に狙われているのに勇者軍からも狙われるのは御免被りたい。

 どちらにも付かずにいると、いずれ両方から狙われることになるかもしれないのも事実か?

 ……いや、待てよ?

 俺が目立った行動を取らなければいいだけなんだよな。

 以前は雪の命令を聞かなければならない立場だったから、勇者軍や幹部の一人であるバッグベアと戦う羽目になっただけだ。

 今回はルサールカのもとを隠れ蓑にして表に出なければいいんじゃね?

 そうだ、これは良い考えだ。

 よし、そうしよう。


「ルサールカさん、勇者軍に関して協力はしましょう。代わりに俺のことはいないことにしてもらえますか?」


「ドレイク様、下々の私に敬語は不要です。それでいないこととは?」


 敬語がどうしても出てしまうんだよな。

 ま、ルサールカがタメで話していいって言うならお言葉に甘えよう。


「俺は他の神族から命を狙われている状態なんだよ。だから、ルサールカの治めている国に俺を置いてくれ。勇者軍の戦いにも参加するが表立っての行動はしない。この条件を守ってくれるならルサールカたちの命の安全は保証できると思う」


「あんな恐ろしい目に遭わずに済むのなら喜んで! ドレイク様、魔王軍第三柱暴食の悪魔ルサールカとその配下、貴方様の下で働かせていただきますわ」


 うん?

 立場が微妙に違うような気がするが……ま、俺が影から国を動かすのも悪くない。


「そうだ、これって魔王軍としては良いのか?」


「はい、構いませんわ。魔王軍といっても魔王様を守るためのものではありませんから。悪魔は全員、自分の命を守るために他の柱たちと共闘関係を結んでいるだけですの。でも、いざ戦争が始まると連携がまるっきり取れなくて……情けないことですわ」


 まぁ、魔王軍幹部って普段から自堕落な生活をしていたみたいだし、実践練習をしている勇者軍のほうが練度が高く強いのは当たり前なんだよな。

 ……あれ、俺ってまさか劣勢側に協力していることになるのか?

 でも、雪の下につくのも釈然としないし、これで良いんだよな。

 

「ドレイク様ぁ、テントが見えてきました」


「コスモス、ご苦労さま」


「そんな……ドレイク様のためならこれくらい……」


「ほら、ルサールカ降りるときに気をつけて」


「なっ!? 悪魔がドレイク様の手に軽々しく触れるなんて!? ムキ――、馴れ馴れしいわ!」


「あら、私のほうが魅力的ってことじゃない? お嬢ちゃん」


「ど、ドレイク様! もしかして、この悪魔と寝たのですか!? 最初の女は私って言っていたのに!」


「寝てないし、そんなこと言ってないだろ! 余計な誤解を生むような発言はやめろって!」


「うわぁぁぁん、ドレイク様がぁ!」


 ほらぁ!

 生き残りのゴブリンたちがテントから出てきて、こっちを見ているじゃないか!?

 

 スッ


 コスモスの頭を撫でて慰める。


「コスモス、そんなことしていないよ。一番大切に思っているのはお前だから」


「ど、ドレイク様ぁ! それじゃ、今すぐにでも! みんなが見ていても私は平気ですから! ここでお脱ぎになられますか!?」


 んもう、その淫らな声掛けだけはやめてくれぇ。

 頭を撫でて優しい言葉をかけてあげただけで泣き止み、俺に抱きついてくる。

 うん、チョロい。

 コスモスにもルサールカとその配下が味方になったことを改めて伝える。


「ドレイク様、ここから少し離れているのでもう一度馬車にお乗りください」


「今度はあんたが運転しなさいよ! ドレイク様ぁ、私と中で……」


「だから、しないって!」


 この魔王軍駐屯地は単なる前線基地で、さらに南下した場所にルサールカの屋敷があるようだ。

 ここのテントはボロボロになってしまい、とても住めるような状況では無いため、ゴブリンやオークたちがルサールカの命令で片付けを始める。

 片付けが済むと生き残りの配下を連れて、ルサールカの屋敷へ向かう。

 前線に出ていないゴブリンやオークもいるようで、その数は300らしい。

 俺の作った人形兵士も合わせると約800か。

 そうだ、屋敷に付いたら人形兵士もローウェルグリン城から、グラウンドムーヴで連れてこないとな。

 駐屯地にあるならず者の死体は一か所に集め石化で保存しているし、グリーナ砦の石像と一緒に屋敷へ運んでくれるようだ。

 

「ここが私の屋敷ですわ、ドレイク様」


「へぇ、オアシスなんてあったのか? 凄く綺麗な場所じゃないか。気に入ったよ、ルサールカ」


「そ、そうですか……その……ドレイク様。私のことはルカと呼んでいただいても」


「うん? わかった、これからよろしくな! ルカ」


「ドレイク様……」


 なぜ、そこで赤面をする?

 いや、俺は鈍感系主人公ではないから、分かる……分かるぞ!

 これは恋をしている目だ。

 誰に?

 いや、言わずとも俺にだろう。

 神になったおかげでモテ期が到来してきて嬉しい限りだが……身体が5歳児なんだよなぁ。

 これでは、美人ママとその子どもにしか見えない。


「ドレイク様ぁ! ここのオアシス、とても冷たくて気持ちが良いですよ――!」


「ん……ちょっと待てぇい! コスモス、人前で裸になるなぁ! 少しは恥じらいってもんを知れぃ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ