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俺、神様になります  作者: 昼神誠
闇に堕ちた歌姫
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このゲームはどこかおかしい10

 ヴェホラの町が見えてきた。

 ラストタウン以外の町は魔軍に占領されているのは知っているが、実際に見てみると町という風貌は片鱗もなく、魔獣の巣のような醜悪な環境になっている。

 風に乗って流れてくる悪臭のせいで、近付くのも躊躇ってしまいそうだ。

 

「んじゃ、さっさと解放するか」


「そうでござるな。拙者が魔獣を引き付けるでござる」


「サクちんは私と一緒に町の中にいるボスを探すわよ。そいつを倒せばヴェホラの町は解放されるわ」


「雑魚は無視してもいいの?」


「無限に湧いてくるから倒すだけ無駄だぞ」


「経験値稼ぎには良いけれどね。それも魔人をワンパンで倒せるほど強くならないと難しいし」


 ま、数の暴力で圧倒されるのは目に見えているか。


「ボスってどんな見た目?」


「基本はランダムなんだが、高い確率でサイクロプスがボスになっているはずだよな?」


「サイクロプスは一つ目の大柄な魔人でござる。見分けはすぐに付くと思うでござるよ」


「ま、それ以外のボスだとしても魔人や魔獣と見た目はまったく違うから、すぐに見分けが付くわよ」


「ん、わかった」


「よっしゃ! 行くぞ!」


 トウカがヴェホラの町の正門前に行き、ヘイトスキルを発動する。

 その後ろでジュードが力を込めている。


「スキル、血液操作! うぉぉぉぉ!」


「スキル、金剛化!」


 トウカも金剛化が使えるのか、あれは防御力が跳ね上がるからタンクには向いているよね。

 それにしても、ジュードの身体が赤くなり全身から蒸気が上がっているような?

 そんなところまでギアセ○ンドに似せなくても良いんじゃない。


 ガァァァ!


「ニンゲンダ――! デアエ、デアエ――!」


 あたしとソフィは少し離れたところにある岩場に身を隠し、ヴェホラの町の様子を伺っている。

 今、町の中に跳んでも魔獣に蹂躙されてしまうのは目に見えているからね。

 そこで町の外に、ある程度の魔獣や魔人を誘き出し、町の中にいる魔軍の数を減らしてから、ボスを探すのが町解放の攻略の基本らしい。

 移動中、このゲームのことをいろいろと聞けたけど、ソロで町の解放を行うには推奨レベルになってから挑んでも難しいようだ。

 ま、こんな連携プレイができないのでは仕方がないね。

 

「大剣スキル……デモニックバスタァァァ!」


 ジュードが力を溜めた大剣を大きく振り下ろす。

 まだ、魔軍もそんなに町の外に出てきていないよね?

 攻撃を放つタイミングが早いと思うけど……。


 ドッゴォォォォン!

 ガァァァ!


「バ……バカナ!」


 ヴェホラの町の正門から町の中央付近まで扇形にクレーターができる。

 凄い……たったの一撃で魔軍を1000体も屠ってしまうなんて。

 血液操作でのバフって、かなり使えそうだ。

 ぜひとも取得したいな。


「さ、今のうちに町の中へ!」


「ん、オッケ――。スキル、瞬間移動」


 ヒュン


 ソフィの手を握り、ここから見える物見やぐらの上に、瞬間移動スキルを使用する。


「ナニヤツダ!」


 ドゴッ!


 物見やぐらからトウカを狙い撃ちしようとしている魔人を倒し、すぐに姿勢を低くする。

 他の物見やぐらにいる魔人が邪魔だな?


「サクちんは遠距離攻撃のスキルって取得してる?」


「持ってないよ」


「そうよね……物見やぐらにいる弓兵魔人は、どこの町にでも配置されている厄介者なのよ」


「瞬間移動で跳んで倒していこうか?」


「そうね……私のスキルでも4人パーティー時の増強された魔人は一撃で倒せないし、お願いしても良い? 私はここからボスを探すわ」


「わかった」


 ヒュン

 ドシュ!


 ソフィを置いて、隣の物見やぐらに跳び弓を構えている魔人を背後から斬り付ける。

 どうやら魔軍のステータスが上がっていても、急所攻撃での即死効果は変わらないようだ。

 プレイヤーの死体から借りたクリティカルブーストが役に立ってくれている。

 魔人の首を狙うと、ほぼ確実に一撃で倒すことができる。

 首が落ちることなく消滅してしまうから、あまり倒した実感が出ないけれどね。


 会心率が高いとかなり戦いやすい。

 クリティカルブーストも取得したいところだけれど、レンタルしている状態では取得できない仕様のようだし……でも、捨てるのももったいないしなぁ。

 クリティカルブーストLV74をレンタルしている状態での、あたしの会心率は74%アップしている。

 元から25%あったから、今では99%となっている。

 つまり、あたしの攻撃は100回中99回はクリティカルヒットになるというわけだ。

 このゲームでのクリティカルヒットは即死を意味している。

 ま、これが俗に言う俺TUEEEってやつなんだろう……ふふん。

 

「よっ……!」


 ドシュッ!

 ヒュン


「やっ!」


 ドサッ!


「グガ……」

 

 ヒュン


 物見やぐらにいる魔人を根こそぎ倒していく。

 町の中にいる魔軍は大半がトウカのところへ集まって行ったようだ。

 町の中で巡回しているのは魔人が数人程度か。

 ボスはどこにいるのかな?

 ソフィのいる物見やぐらへと跳ぶ。


 ヒュン


「おまたせ……」


「サクちん、意外と早かったわね」


「ボスは見つかった?」


「運が無いわね……サクちん。どうやら、あいつのようだけれど……初めて見たわ。どう見ても人間に見えるし……魔人の亜種?」


 町の奥にポツンと建っている大きな屋敷がある。

 そこの窓から見えるのは……嘘?

 なんで、あいつが?

 

「そんなことあり得ない……」


「どうしたの、サクちん?」


 落ち着け……向こうの世界の住人が、仮想世界のここにいるはずがない。

 あたしのように意識だけを飛ばしてきた?

 いや、あいつがそんなことをして何の得がある?

 

 ギロッ


 あいつと目が合う。

 気付かれている!?

 ヤバい……あいつの索敵能力は桁違いなんだ。


 ボワッ!


「あっ……あああ!」


 ソフィの身体が突然、激しく燃え上がる。

 

「ソフィ!」


「くっ、スキル! クイックキュア!」


 ジュッ!


「はぁはぁはぁ……何? 今の攻撃!?」


 魔法系スキルか?

 でも、今ので確信した。

 すでに気付かれている。

 でも、どうして……あいつがここにいるの?

 

「ふぉっふぉっふぉっ……これは、これは」


「!!!」


「何よ、こいつ! スキル、石化の魔眼(ストーンアイズ)!」


「ほいっ、リフレクト!」

 

 カチン


「しまっ……」


 ソフィが一瞬で石になる。

 また、仲間が石に……嫌な記憶が蘇る。


「う、うわぁぁぁ!」


「くそっ! こんな魔人ども見たことがないぞ!?」


「ヒャッハー!」


「男は殺せぃ!」


「おい、こいつかなり上玉だぞ!」


 トウカとジュードのほうをみると敵に囲まれている。

 それも魔人や魔獣ではない……ならず者!?

 どうして、こんなところに?


「ほっほっほ……どこかで見た顔じゃと思ったら、失敗作のホムンクルスじゃとは」


「どうして……どうして、使徒であるあんたがここにいるの?」


「ふぉっふぉっふぉっ、裏切り者に話す口など……ないっ!」


 手刀!?

 

「スキル、瞬間移動!」


 ヒュン


 隣の物見やぐらへ移動する。

 跳ぶ前の場所を見ると、あいつがいない……?


「遅いのじゃよ」


「えっ……」


 ドゴッ!

 ヒュゥゥゥゥ……ドゴォォォン!


 くっ、ホークのデータベースであいつのステータスは知っているけど、これほどの強さなんて……。


「何を呆けておる!」


「えっ、いつの間……がはっ!」


 バキッ!

 ヒュゥゥゥゥ……ズガァァァン!


 はぁはぁはぁ、あたしが二度も攻撃をまともに受けるなんて……。


 ヒュン


「ふぉっふぉっふぉっ、所詮は創られし者……いや、もはや劣化コピーじゃな?」


「どうして……どうして、こんな場所にいるの? 勤勉の使徒、スリード!」

お読みいただき、ありがとうございます。




続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。




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