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俺、神様になります  作者: 昼神誠
小人に育てられた幼子
218/592

この潜入はどこかおかしい9

 ブシャァァ!


 ヘッドショットが決まり、見事に黒衣の頭が弾け飛ぶ。

 まさかこれほどまでに反動があるとは……たったの一撃を放っただけで手がボロボロだ。

 腕も痛い……これは何度も使えないな。

 HPが三分の二ほど持っていかれた。

 

『リュージ、急いでください』


『わかってる』


 スナイパーライフルをしまい、先に進もうとした瞬間だった。


 ドォォォン!


 また足元に太刀が突き刺さる。

 銃声で気付かれたか?

 いや、この太刀が飛んで来た場所は?

 

 ブシュ

 ブシュゥゥゥ


 うげぇぇ!

 何だ、あれは?

 黒衣の吹き飛んだ首の傷口から触手のようなものが出てきている。

 あれって寄生虫かなんかの一部か?

 まさか、黒衣の体内に住み着いているのか?

 寄生虫にしては大きすぎるような気もするがここは地球ではない異世界だ。

 ああいったモンスターもいるのだろう。

 まさか、さっき太刀を投げたのはこいつか?

 

「ぎゅるる」


 気持ち悪すぎる。

 まさか、すべての黒衣の体内にはあいつがいるのか?


 ズルッ……ズルズル

 

 足を引きずりながらも歩き出した!?

 暗闇の中でも俺が見えているのか?

 俺もプログラムのお陰で相手の位置は把握できるが、足を引きずりながらゆっくりとだが確実にこっちに向かって来ている。

 動きはかなり遅いが……身体を動かしているのが寄生虫のためか。

 二足で歩く方法など黒衣の脳と神経があってこそ普通にできるものだからな。

 しかし、肢体を動かせるということは、あの寄生虫は全身に自身の身体を張り巡らせているのか?

 想像しただけで気味が悪いが……一度、試してみるか。


「すべてを切り刻む無慈悲なる風の精霊よ、我にその力の一部を……エアーブレード」


 ヒュッ……ブシュ

 ドサッ

 

 やはり、避けるほどの早い動きもできないようだ。

 さっきから鞘を持っている左腕を風の刃で斬り落とす。

 

 ググッ

 ブシュ……グニャ


「ギ……ギギ……」


 うわぁ、マジで気持ち悪いよぉ。

 左腕の切断部からも触手のようなものが出てきた。

 しかも一本じゃない。

 何十本もグニャグニャと切断部から出てきて動いている。

 なるほど、あの触手みたいのが全身に張り巡らせて黒子の身体を動かしているようだな

 そうなると寄生虫の本体さえ殺ればなんとかなりそうだ。

 本体がいるとすれば胴体の部分だが……どれくらいの大きさか判別がつかない。

 これ以上、黒衣の遺体を傷つけるのも何だか気が引ける。

 質の悪いモンスターだ。

 気持ち悪いだけじゃなく、死体蹴りを強制させられている気分だ。

 黒衣の遺体を燃やして、ついでに寄生虫を退治してやろう。

 昔ながらの寄生虫の退治方法ってわけだ。

 だが、ここで火の魔法を使うと明かりで他の黒衣に感付かれてしまう。

 至近距離で奴に火を点け、そのまま立ち去るのが一番なのだろうが、気持ち悪くて近付きたく無いなぁ。

 でも、今は急がないと欽治が心配だ。

 

 ダッ


 プログラムの示す通りに走り、黒衣との距離を詰める。

 近くで見れば見るほどグロい。

 だが、こいつにしつこく付き纏われるのも勘弁だ。

 だから、ここで消えてくれ。


「ぎゅるる」


 ギュン


 触手を鞭のように振り回している。

 攻撃をしようとしているような感じでは無い。

 触手で獲物を捕まえようとしているような動きだ。

 

『リュージ、決して捕まらないで下さい。貴方の身体が乗っ取られます』


 おいおい、マジかよ。

 どこから入るつもりなんだろう……って、考えるまでも無いか。

 口とか鼻、耳、最悪ケツの穴とかから入り込んでくるのだろうな。

 うげぇ、考えただけでも気持ち悪い。

 この距離なら触手を気にしなくてもいいし、ここで火魔法を放つ。


「フレイムバースト!」


 ドッ……ボウゥゥゥ!


「ぎゅるるるる!」


 やっぱり、熱には弱いみたいだな。

 昔から寄生虫がいる生き物を食べるときは熱処理をするのが当たり前だし、こいつも同じ方法で倒せそうだ。


 ブシュ……ブシュ……グニャ


「ギ……ギギ……」

 

 うげぇ、黒衣の胴体を突き破って本体が出て来やがった。

 最後に気持ちの悪いもの見せるなよ。

 寄生虫の形はタコのような形だ。

 見た目的には気持ち悪さを一億倍ほどしたタコだな。

 火であぶられのたうち回っているが、じきに動かなくなり燃え上がる。

 横目で事の顛末を見ながらも前に進む。

 

『リュージ、立ち止まってください』


「どうした? 辺りには何も無いぞ?」


『ここから先は危険なので決して油断しないで下さい』


「何かいるのか? まさか、さっきの寄生虫とか?」


『肯定』


 おいおい、マジかよ。

 でも、何も音が聞こえない。

 プログラムのおかげで暗闇でも目が効くし、何もいないぞ。

 

『息を止めて進んでください。呼吸は私が許可するまで決してしないで下さい』


 息を止める?

 毒ガスエリアとかそういったものか?

 確かに悪臭っぽいのが漂ってきている。

 だが、呼吸するなって……なかなか厳しいな。

 

「どれくらい止めていたらいい?」


『欽治を連れて、ここに戻るまでです』


「それってどれくらいかかる?」


『急げば五分ほどです』


 五分か……村の近くの海のおかげで息を止めるのは慣れているけれど、本当にギリギリだな。

 だが、毒ガスエリアの中に欽治がいるのなら、すでに死んでいるのではないのか?

 いや、そうだとするとプログラムが教えてくれるか。

 毒ガスでは無い……しかし、呼吸はするな?

 ま、プログラムの言うことだし信じて行くしかないか。

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