この潜入はどこかおかしい6
部屋が沢山あるおかげで見つかりそうになると、部屋に入り何とかその場を過ごすことができた。
鍵がかかっていたり、まったく使われていない部屋があったり、このフロアはどこかのホテルのような感じがするがVIP専用の客室フロアなのか?
とても軍事施設って感じがしない。
やけにメイドが多いし、宿泊施設なのは合っていそうだな?
この階層はもう用済みだ。
早く3階へ行く階段を見つけないと……おっと、またメイドか。
「侵入者いない。どこ行った?」
「わからない。でも、ここから先には簡単に行けない」
メイド同士が話している。
同じ顔で無表情……ホムンクルスってそういうものなのか?
それにしても、ここから先に簡単に行けない?
やはり、階段がまた隠されているのか?
「二〇四号室に階段があるってわからない以上、先に進めない」
「そう、だからここから先に行けない」
……う――ん、もうちょっと情報漏洩に気をつけたほうが良くないですか管理者さん。
社員の指導も上司の仕事の内ですよ。
ま、ホムンクルスも気を抜いているときは意外と馬鹿なんだなってことがわかった。
いや、たまたま運が良かったのか?
とりあえず、二〇四号室に行ってみよう。
欽治はしっかりと俺の手を握って付いてくる。
起きていてくれるだけでも助かる。
黒衣やメイドを避けながら目的の部屋の前まで来た。
厳重にしていたら何かあるって思われるからか、警備をしている者はいない。
そのせいで見逃したのだけれど頭が良いのか悪いのか、よくわからない連中だな。
また、通った道を戻るとは思わなかった。
ガチャ
鍵もかかっていない。
それくらいはしていないとダメだろ?
やっぱり、勇者軍って警戒心が足りていないよな?
部屋の中に入ると何も無い空室だ。
階段はどこだ?
……いや、違う。
床に傷がついている。
何かが擦り付けたような傷……この方向ってことは天井か?
天井を見ると目立たないような取っ手が見える。
なるほど、今度は壁では無く天井が稼働して階段になる仕掛けか。
魔法で足場を作り、取っ手を掴み力いっぱいに引く。
だがビクともしない。
鍵は掛かっていないようだし、単に俺の力不足なだけだろう。
「欽治、ここを掴んで思い切り引いてみてくれ」
「いいよ――」
ガコン
天井から階段が降りてきた。
次は3階か。
まだまだ先は長そうだ。
階段を上り、黒衣たちに上の階層に行ったことがバレないように階段を元に戻す。
「兄ちゃん、見て見て――! 何も見えな――い! あはは!」
3階って……何だ……ここは?
真っ暗だ。
魔法で火を手の平で灯してみるが奥のほうまで光が届かないようで暗闇が広がっている。
仕切りのない一つの大きな部屋なのか、このフロア全体なのかもわからないな。
光に照らされている周辺を見渡すと、床に着いた赤いシミがやけに目立つ……これって血痕だよな?
「兄ちゃん、骨がいっぱいあるよ――」
欽治の近くに行って、よく観察してみるが何の骨だ?
頭部じゃないと何の骨かよくわからないな。
だが、嫌な感じがする。
こんなところに白骨……モンスターの飼育室だとしたら、この暗闇は脅威だ。
「欽治、意識を集中させるんだ。何かいるぞ」
「モンスター?」
「わからないけど、見つけたら狩ってもいいぞ」
「やった――! 狩りだ――!」
呑気なやつだな。
だが、欽治のモチベーションを維持させるためにも必要なことだ。
それにこんなところにモンスターがいてくれるのは魂の補給からして助かるしな。
「ぎゃぁぁぁ!」
悲鳴?
やっぱり何かいる。
タッタッタッ
暗闇の向こうから何かがこっちに来る。





