この潜入はどこかおかしい2
地下通路は要塞の方向に伸びている。
ここはやはり要塞からの脱出通路なのだろうか。
勇者軍って対した警戒心も無いのに、こういうのは一丁前に作っている。
馬鹿なのは一般兵くらいで上層部の奴らはまともなのだろうか?
ま、それでも鍵もかけないで放置しているだけだから、こうやって侵入されていたら元も子もないわな。
うん、やっぱりあいつらは馬鹿だ。
ある程度進むと大きい広間に出た。
ここから要塞内か?
「おい、知ってっか? あれの完成、もうすぐみたいだぜ」
「マジか? これで魔王軍も終わりなんじゃねぇか?」
「「がははは!」」
守衛らしきならず者が数人ほど監視をしている。
ここは地下室みたいだが、何も置いていない。
ここって一般兵の寝床か?
……城の寄宿舎みたいに男臭いし。
ゴリス砦の攻撃に出払っているからか、二万もならず者はいない。
これも雪の計画通りだったら、俺は完全に手の平で踊らされているな。
だが、兵が出払っているなら確かに潜入して親玉だけを叩くってのは理に適っている。
それでも勝てればの話なのが前提だけどな。
下手に騒動を起こして援軍を呼ばれてしまってはダメだ。
今、辺りを見渡す限り数人程度か?
欽治は未だに寝ているし、ここは気付かれないように一階に向かうとしよう。
ステルスを自分と欽治にかける。
ならず者の側を通り過ぎるが、こいつらは気付かない。
この魔法、意外と使えるじゃ無いか。
ステルス……なんか、懐かしい感じもするが感傷に浸るのは後で良い。
先に進むと階段が見えてきた。
一気にバッグベアのいる階層まで行けたら良いのだが、そんなに簡単では無いよな。
一階に上がると、大砲やら銃やら武器が大量に置いてある場所に出た。
一階が武器の貯蔵庫になっているのか。
お、スナイパーライフルまであるじゃないか。
ガシャン
一丁を手に掴み操作してみる。
ボルトアクション式か。
中距離の魔法が得意な俺にとっては相性の良い武器だ。
これで欽治も合わせれば遠距離から近距離までカバーできる。
一つ拝借するとしよう。
ご丁寧に弾まで隣の段ボール箱の中に入っている。
ガサッ
「うわっ!」
……って、ゴキブリかよ。
驚いて声が出ちゃったじゃないか、もう。
弾は持てるだけ持って、二階へと続く階段を探す。
ビ――ビ――!
急に警報が鳴り出す。
まさか、見つかったのか?
「おい、侵入者だ! どこかに隠れているぞ! 探せ!」
やはり見つかったのか。
だが、どうして?
奴らが警戒モードに移行している。
こうなるとステルスの効果は半減してしまう。
欽治を抱えたままでは移動は難しいか。
だが、置いて行くわけにもいかないし……どうする?
どこかに隠れる場所は……銃の弾が入っていた段ボールなら俺と欽治の大きさなら十分入りそうだ。
段ボールに隠れる?
段ボール箱に入るのではなくて、上から被せると動けるのではないのか?
ガサッ
ちょうど、持ち手の穴から覗けるしこりゃ良い。
なんだろう、どこかで見たことのあるような感じだな。
「そこか!? うん……なんでぇ。ただの箱か」
うぉ――、危ねぇ。
ならず者が馬鹿で助かった。
だるまさんがころんだの要領で移動し階段を探す。
「おい、何でこんな所に箱が置いてあるんだ?」
「知らねぇ。誰かが置いたんだろ?」
「誰か知らねぇが片付けておけよ」
馬鹿ばっかりで本当に助かる。
見つけた人が中身を調べようともせずに、やっぱりならず者っておつむが弱いな。
そのおかげで見つからずに済んでいるのはありがたいがな。
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