この潜入はどこかおかしい1
護衛は雪の能力で人形化された勇者軍の捕虜であるならず者が三人だった。
確かにこいつらなら敵陣をうろついていても、それほど警戒されることは無いだろうし、もし見つかったとしても俺たちを捕らえたとか言い訳をして要塞へ連れて行くことができる。
だが……問題は欽治だ。
ならず者の一人が欽治をおんぶしてくれている。
要塞まで行った先で起きてくれないと困るのだが心配だな。
北側にある城門が開く。
日もすっかり落ちて、勇者軍からの攻撃の手も止まっている。
確かに動くなら今だな。
門を出てしばらく進む。
「坊主、あまりキョロキョロするな。普通に歩いていれば警戒されるこたぁねぇ」
「は、はい……」
「ヒャッハー! これが終わったらセツ様に頭なでなでしてもらうんだぁ」
「てめぇ! 俺だってセツ様のう○こ食べさせてもらうんだからな!」
「な……ん……だとっ!? 羨ましいぞ、コノヤロ――!」
やっだ――!
この3人、ド変態じゃありませんか!?
護衛チェンジさせてもらえませんかね?
「Zzz……に……肉団子の中にコーラグミ……」
欽治もまた意味のわからない夢を見ているのか?
たまに勇者軍の兵士に声をかけられる事があったが、どうやら本当にバレていないらしい。
これって潜入するなら、このならず者にさせたほうが早いのではないのか?
でも、使徒とやらには確実に勝てないくらいこいつらは弱いのか。
しかし、勇者軍の兵ってのは棘の付いた肩パッドやモヒカン頭、わけのわからない入れ墨に全身レザーの服を着ている奴らばかりだな。
勇者軍の一般兵はこれが正装なのか?
2時間ほどかかって、要塞が見える場所まで来た。
二一〇〇には要塞に潜入って言う命令だったけれど、予定より少し遅れているな。
しかし、遅れたところで何の影響も無いよな?
助けが来るって言う話も無いし。
「俺たちが案内できるのはここまでだ」
「えっと、潜入ルートの検討が付いているって聞いたのですが……まだ要塞からかなり離れてますけど……」
「ほれ、ここだ」
ガチャ
地面に隠し扉?
なんで、こんなところに?
「少し前に偶然見つけちまってな。中に入ったことはねぇが、こりゃ要塞からの非常口に違いねぇぜ」
確かめてないのかよ!?
だが、中を覗く感じ要塞の壁面と似たような感じがする。
確かに無関係ではなさそうだ。
要塞内部まで続いているとは限らないが、とにかく入ってみるか。
行き止まりや別の場所に出ないことを祈っておこう。
「で、こいつはいつまで寝てやがるんだ?」
「はぁ……すみません。後は俺が何とかしますので」
「んじゃ、気をつけてな」
「ヒャッハー! これで任務完了だぜ! 早くセツ様のおしっ○を……」
あの変態ならず者は城に戻ったときに雪に報告しておくか。
欽治を置いて、ならず者は去って行った。
ここからは欽治と二人で行動しないといけない。
「欽治、起きろ。おい、起きろ」
ほっぺを軽く叩き、起こそうとするがやっぱり駄目だ。
ザッザッザッ
足音?
こっちに近づいて来ている。
マズいな……今、見つかると厄介なことになる。
欽治を無理矢理、地下通路に落とした後、俺も入り扉を閉める。
真っ暗で何も見えない。
「ファイア」
ボッ
あまり明るくし過ぎると見つかるかもしれないし、蝋燭の炎くらいの大きさに絞って火を出す。
欽治は……突き落としたのにまだ熟睡している。
ここで欽治が起きるまで時間を潰すか……いや、誰か来たら隠れる場所も無いし危険だな。
欽治をおんぶし、地下通路を先に進む。





