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俺、神様になります  作者: 昼神誠
小人に育てられた幼子
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この交渉はどこかおかしい6

 グリーナ砦が見えてきた。

 ローウェルグリン城から南東にある砦だ。

 ここは魔王軍との戦いに備える前線基地の役割も果たしている。

 

「姫様、交渉の相手って魔王軍の幹部なのですか?」


「うん、魔王軍第三柱暴食の悪魔よ」


「あ……悪魔!?」


 マムに聞いた話によると今回の魔王軍との交渉は初めての対話となるらしく、せつが会談に出席するとあの性格がゆえに破綻してしまうことも十分に考えられ、ゆきが出席をすることになったみたいだ。

 俺としてはせつの能力で人形化したほうが良いと思うのだけれど、それもさらなる火種を生むことになるかもしれないし、平和的に解決できるのならそれが一番だし、ゴブリン兵やオーク兵などの懇願もあってゆきが許可したそうだ。

 

「ユキ様、お待ちしておりました」


「うぉぉぉ! ユキ様だ!」


「可愛いぜ! ユキ様ぁぁぁ!」


 ここにもならず者共がいるのか。

 ゆきは無理して笑顔を作って、手を振っている。

 本当に男が嫌いみたいだな。

 まぁ、あんな見た目のならず者に襲いかかって来られたらなぁ……そうなって当然かも。

 

「姫様、こちらへ」


「うぅ……あ、ありがとう」


 ゴブリン兵に部屋を案内される。

 砦の居館のようで、中身はかなり綺麗だ。

 黙々と掃除をしているメイドが二人、同じ姿だ。 

 あれがクローンなのか。

 確かに見分けがつかないな。

 でも、あの女性……どこかで見たような?

 そうだ、ナデシコになんとなく似ているんだ。

 いや、それだけじゃない……俺はあの女性に会ったことがある?


「うっ!」


 まただ。

 激しい光に包まれていく光景がフラッシュバックする。


「兄ちゃん、大丈夫?」


「あ……ああ」


「あの女の人、先輩に似ているよね……ん、先輩? あれ……何だっけ?」


 欽治がわけのわからないことをつぶやいている。

 しかし、すっげぇ可愛いよな。

 あのクローン、俺も一体欲しいぜ。


「姫様、会談の場所なのですが、魔王軍の要求により魔王軍駐屯地にて行いたいとのことです」


 敵軍の領地でか?

 ゆきを守る護衛もいるけれど……信用して良いのだろうか?

 危険だよな?


「分かりました」


「姫様、よろしいのですか?」


「話す前からそんなことでは駄目よ。大丈夫、貴方とソウジに守って貰うから」


 期待されている?

 ……仕方が無い、俺も腹を括るか。

 

「では、そのように伝えます」


「よろしくね」


 ゴブリン兵が部屋を出る。

 

「う――、緊張してきちゃった」


「あはは、俺もです」


「兄ちゃん、少し探検しよ――」


「こら、ソウジ。今は大人しくしておくんだ」


「ぶ――」


「くすくす。ソウジ、後でかくれんぼしよっか」


「やったぁ、お姉ちゃん大好き!」


 しかし、ただ待つというのも退屈だな。

 いざというときのために魔法の練習でもしておくか。

 マムから魔法のことはいろいろと教わることができた。

 マムの話によると、この世界には火・水・氷・雷・土・風の六属性以外に、闇魔法と光魔法という上位属性が二種類存在するようだ。

 ただ、この闇魔法や光魔法というのは補助魔法ばかりで、相手にダメージを与えるような攻撃魔法は存在しないらしい。

 そのため、こんな部屋の中で発動しても危険では無く練習にはうってつけなのだ。

 

「よし、ステータス」


 ブォン


 よし、光魔法初級のステータス。

 詠唱もせず簡単に発動させることができた。

 おっ、目の前に文字と数字が書かれた画面が現れる。

 へぇ、相手のステータスを見るには相手のほうを見た状態でかけるのか。

 ゆきのステータスは素早さだけは他のより高めだけど、他はどれも同じくらいに振り分けをしているようだ。

 欽治は俺が管理してやってるから筋力と素早さを他より高い目にしている。

 うん?

 欽治のステータス画面の右下にある数字?

 3分の2と書かれた数字だが、雪の名前の横には無い。

 自分のステータスも見てみると俺のは3分の3と書かれている。

 ……この数字はいったい?

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