このコンティニューはどこかおかしい19
キシャァァ!
巨大ムカデが飛び掛かる。
「んにゃろぉ! サンドショット!」
幸いにもここは海岸近くの砂浜だ。
砂の塊が巨大ムカデに当たるが、皮膚が固すぎる。
蟲だけあって表面は鎧並み……いや、それ以上か?
キシャァァ!
「ぐっ! 食わせてたまるか!」
巨大ムカデの牙を掴み、必死に欽治の身を守る。
だが、普通の五歳児ではとてもじゃないが力も大したことなく、ムカデに圧倒されつつある。
「タイラント、その子も食べちゃうの? もう、お腹壊しても知らないわよ」
何で俺を食ったら腹壊すんだ、失敬な!
……って、そんなことはどうでも良い。
「ぐっ! も……もう限界……欽治!」
諦めかけたその瞬間、巨大ムカデが口を閉じようとする力が無くなった。
いや、それどころかぐったりしてい……えっ?
頭部から下がバラバラになっている。
一体、何が起きたんだ?
「サノウキンジの一度目の死亡を確認。魂魄を第一段階解放します」
欽治、何を言ってる?
いや……それより、生きている……のか?
「……サンドブレード生成」
ブォン
砂が太刀のような形になっていく。
あれって造形魔法か?
欽治、いつの間に。
「いやぁぁ! タイラント! 私のタイラントがぁぁ! お前ぇぇぇ! やっぱり、魔族かぁぁぁ!」
「コロスコロスコロスコロス……」
「欽治?」
なんか、いつもの欽治と雰囲気が違う。
「あんたたち! あのガキを殺せぇ! ズタズタに引き裂いちゃって!」
「ヒャッハー!」
ならず者共が一斉に欽治に飛び掛かっていく。
「欽治! 逃げるぞ!」
「コロスコロス……急襲の型……」
ん?
キュウシュウ?
九州?
何を言ってんだ、欽治の奴?
欽治は逃げようともせず、逆に造形魔法で作り出した砂の太刀を構える。
その構えは何かしっかりとしている。
剣術なんてピグミーの間では存在しないし、まさか我流か?
けれど、欽治が剣術の練習をしているところなんて見たこと無いぞ。
ブォン
「……大痛剣」
「ヒャッハー!」
「あ、あれ? ガキんちょ、どこ行った?」
欽治に襲い掛かったならず者がきょとんとしている。
俺も驚いているが、欽治のやつはどこ行った?
「何をしてるの! 後ろよ!」
「て、てめぇ! いつの……」
ボトッ
ボトッ
ならず者の首が次々と落ちていく。
一体、何をしたんだ?
「う、うわぁぁ! パティ様! ぱて……」
ボトッ
一瞬のうちにならず者が全滅?
これを欽治がやったのか?
「コロスコロスコロス……」
「ひっ……爺! 撤退よ!」
「これほどの輩がこんなところにおるとは……」
「爺! 早く、馬車を出しなさい!」
「はっ!」
パティは急いで馬車に乗り、逃げ去っていく。
「コロス……あははは! 逃がすかぁ!」
「欽治、待て! 深追いするな!」
クルッ
欽治がこっちのほうを見る。
「ここにも命ある。あははは! コロス!」
「えっ?」
欽治が俺に向かって斬りかかる。





