このコンティニューはどこかおかしい18
今にも飛び出していきそうな欽治を必死に抑え込んでいるが、相変わらず凄い力だ。
「離してぇ! お兄ちゃん! あいつをぶっ飛ばすんだ!」
「やめろって! 欽治、お前も殺されるぞ!」
「うわぁぁ! 離してぇぇぇ!」
ドン
俺を跳ね飛ばしてパティに殴り掛かる欽治。
いつも俺の後を笑顔を絶やさずに追って来てた欽治と様子が違う。
こんな欽治は初めて見た。
ガシッ
「くっ!」
「何……この子? 何で人間がいるの?」
パティが従えている巨大ムカデが欽治を締め付ける。
「よくも……よくも、お姉ちゃんをぉぉ!」
「パティ様、そこのガキの他にあそこにもガキがもう一人……いかがいたしやす?」
「ふぅん、不思議ね。魔界って人間はいないんじゃなかった?」
「は、はぁ。確かにそのはずで」
「……そっか、わかった! きっと、人間そっくりの魔族なんだわ」
「ま、マジっすか!? 人間そっくりの……」
「人間じゃないとか試してみればいいのよ。タイラント」
ブンッ
「うわっ!」
欽治を縛り付けているムカデが欽治を投げ飛ばす。
タンッ
ダッ!
運動神経もかなり良い欽治だ。
投げ飛ばされても空中で姿勢を整え着地し、すかさずパティの側にいる巨大ムカデに殴りにかかった。
「この! お姉ちゃんの仇だぁ!」
ドスッ!
「欽治!」
「かふっ……」
ムカデの毒針が欽治の胸に突き刺さる。
「あっははは! 毒針で死ねば人間! そうじゃなかったら、魔族ってことで良いんじゃない!?」
「さ、さすが! パティ様!」
「欽治ぃぃぃ!」
「うちの子を何しとんねん!」
俺は欽治の傍に駆け寄り、胸の様子を見る。
泡を吹いて失神しているようだ……身体も痙攣している?
早く毒を取り除かないと。
「欽治! 欽治! しっかりしろ! 兄ちゃんが今、助けてやるからな!」
ムカデに刺された部分から毒を吸い出し吐き出すのを繰り返す。
「ほれ、目を覚ましいや!」
ちくしょう!
俺がしっかりと引き留めておけば、こんなことにはならなかったはずなのに!
ピグミーや俺たちが何をしたって言うんだ!
「あ……」
ビクッビクビク
激しく痙攣を起こしたあと、完全に動かなくなってしまった。
……欽治の呼吸が聞こえない。
「妹に続き、息子まで……うちらが何をしたんや!」
「あらら――? やっぱ、人間だったみたい? なんで、こんなところにいたのかしら? ま、ど――でも良いか? タイラント、食べる?」
巨大ムカデがこっちに来る。
母さんの妹の次は欽治を食おうってか?
させるか、俺が何としてでも止めてやる!





