このコンティニューはどこかおかしい17
俺と欽治の前に如何にも悪党と言った感じの男たちが立ちはだかる。
今すぐにでも逃げ出したい気持ちを抑え、相手に問いかけてみる。
「な……何ですか? 貴方たちは?」
「ああん!? 俺様たちは忍耐の使徒、パティ様が率いる部隊だ。それで……人間である小僧はどうしてこんな所にいる?」
忍耐の使徒?
パティ……まただ。
どこかで聞いたことのある名前、しかも凄く嫌な感じがする。
「お頭ぁ! こいつら、小さすぎて攻撃がなかなか当たりやせんぜ!」
「んな事、いちいち報告すんじゃねぇ! ちったぁ頭使え!」
馬鹿みたいに棍棒や剣を振り回してるだけじゃなぁ……。
母さんは欽治のパジャマに隠れているから安心だが、長老たちはどうしているだろうか?
ドドドドドド!
「おっ、やっと本隊のご到着か? おい! 貴様ら、攻撃を止めろ!」
一際目立つ馬車から一人の女性が降りる。
見た感じは俺たちより年上……まだ若干幼さも見て取れるから十五歳未満って感じだろうか。
「パティ様! どうやらこの辺りがグランディール大陸の最南端だと……」
「見ればわかるわ。ふぅ、ここまで約五年……長かったわね」
「はっ! 艱難辛苦の五年でありました! パティ様もすっかり大人の女性に……ふげぇぶ!」
女性が自分より大きい男の頭を蹴り飛ばす。
「当たり前でしょ! 五年よ! 私だってもう十二歳で子どもだって産めるんだから!」
いや、それは……できなくも無いか?
それより十二歳か。
俺たちより七つ年上……ってか、女の人って初めて見たかも。
よく見れば可愛いし。
「で、何をそんなに暴れていたの?」
「はっ! ここにも魔族がいやがりましたので駆逐を……どぅぶはぁ!」
また、顔を思い切り蹴られている。
「なぁに、この子たち! 可愛い!」
「ひっ」
あれはミミの妹。
パティに両手で掴まれ、持ち上げられる。
「爺! この子たちは何て言う種族?」
「ふむふむ、どうやらピグミーとか言う一族のようです。この世界では最弱の部類に入るとか」
「最弱……それじゃ、危険は無いわね。持って帰りましょう! お前たち、一匹残らず捕まえなさい!」
「ヒャッハー!」
「ひゃぁぁ!」
「うわぁぁ!」
殺されずに済むみたいだが、お持ち帰りだと!?
俺たちはここでずっと生きてきたんだ。
だが、抵抗すると危険だろうし。
「ん? タイラント。お腹空いたの? 相変わらず食いしん坊ねぇ、ほら、ピグミーっていう種族みたいよ」
「ぴ、ぴにゃぁぁぁ!」
馬車の中から巨大なムカデが出てきた。
パティの身体にまとわりつき、手に持ったミミの妹を見つめる。
パクッ
「お姉ちゃ――ん!」
「きゃぁぁ!」
欽治と母さんの悲鳴が聞こえる。
「ん――、気に入ったの? これから、当分の間は餌はこれにしようかしら? そうそう、家にいる沢山の蟲たちも喜ぶかなぁ」
ゆ、許せねぇ!
こいつ、最初から餌としてしかピグミーを見ていなかったんだ。
悪党の親分だけあって、こいつも大悪党なんだ。
「よくも! よくも、姉ちゃんをぉぉぉ!」
「欽治!」
欽治もそうとう怒っている。
勝ち目があるとしたら欽治と俺とでこいつらを退ける。
いけるか……狙うなら、弱そうなパティか?





