このコンティニューはどこかおかしい11
うん……ここはどこだ?
目がぼんやりして……よく見えない。
「おぎゃ――、おぎゃ――!」
隣から鳴き声が聞こえてくる。
振り向いてみると可愛らしい子だ。
誰の子だ?
はいはい、泣くのやめまちょうね――。
赤ん坊の方に手を向けてみる。
えっ?
なんだ、この手は?
俺の手はこんなに小さく可愛い手じゃ無いぞ。
何度も確認するがどう見ても俺の手だ。
手の大きさも隣の赤ん坊と同じくらいだ。
起き上がろうとするが、首に力が入らなくて自分の力だけじゃ起き上がれない。
この状況って……俺も赤ん坊になっているのか!?
ちょっと落ち着け!
冷静になるんだ……俺。
昨日の事を思い出そう。
昨日は……あれ?
何をしてた?
俺の名前は神薙龍識……名前は思い出せる。
だが、昨日以前の事が何も思い出せない。
思い出そうと頑張っていると一瞬、大きな光に包まれ自分の身体が消えていく光景がフラッシュバックする。
今のは何だ?
「あれ? こんな所に赤ちゃん?」
「ほんまや。人間の子がなんで?」
誰だ?
小人と女の子……ナデシコ……?
ナデシコ?
ナデシコって誰だ?
「捨て子かな?」
「人間って、わざわざグランディール大陸まで来て捨てに来るんか?」
「あ――、あ――」
隣の赤ん坊が女の子を見て喜んでいる。
「なんだろ? この子、欽治に似ている気がする」
「そんなことより、姉ちゃん。長老に頼まれたもん集めたし、はよ戻ろうや」
「そうだね」
ちょっと待て!
こんな可愛らしい赤ん坊を放って行くのか!
辺り一面、荒野だし……太陽が俺の身体を照り付ける。
このままじゃ、干乾びて死んでしまう。
おい、ナデシコ!
ふざけんな、俺と隣の赤ん坊を一緒に連れていけ!
「おんぎゃ――、おんぎゃ――!」
ちくしょう、声を出そうとしてもせいぜい大泣きするくらいしか出来ねぇ。
「あはは、きゃっきゃ!」
おい、こら。
隣の子!
何、こっちを見て喜んでいる!?
お前も泣け!
泣いて、女の子の母性を刺激するんだ!
「きゃっきゃ!」
喜んでる場合じゃねぇだろ!
こんな所でまともに動けない状態じゃ、死を待つだけなんだぞ!
「ミミ、ポッケに入ってて」
「なんや、その子ら連れてくんか?」
「だって、ここにいたら死んじゃう」
よっしゃぁぁぁ!
助かった!
女の子が俺と隣の赤ん坊を抱き上げる。
んほぉぉ、おっぱいでけぇ。
「だぁ、だぁ」
おい、こら隣の。
女の子の胸を触りまくってんじゃねぇ。
俺にも触らせろ……ちっ、手が届かねぇ。
「じゃ、ミミ戻るよ」
「さぁ、移住の準備で忙しくなるで!」
ヒュン
なんだ、急に辺りの景色が変わった?
す……すげぇぇぇ!
もしかして、魔法の世界か?
だって、小人もいるもんな。
俺の手と同じくらいの大きさじゃねぇか。
だが、何だここは?
小人ばかりじゃねぇか。
「長老、取ってきたよ」
「おお、ナデシコ殿。助かりますじゃ」
やっぱ、この女の子の名前なのか。
だが、なんで俺はわかったんだ?
「あ、そうだ。長老、お願いがあるんだけど」
「おお、何でも言って下され。ナデシコ殿の頼みとあれば、何でもやりますじゃ」
「んじゃ、この子らをあたしが戻るまで預かっててくれない?」
「ほう、人間の子ども……どなたの子ですかな?」
「わかんない。荒野に落ちてたから拾ったの」
「拾った? 人間の子どもがどうしてグランディール大陸に?」
そんな、捨て猫みたいな言いかた止めてくれよ。
てか、小人に世話をさせるのか?
ナデシコ、お前が世話してくれよ。
そのでっかいおっぱ……おぎゃぁ!
「ダリアの反応が消えたから、何かあったのかも? じゃ、頼むね」
「まあ、赤ん坊なら悪さもしないじゃろうし良かろう。ナデシコ殿が戻るまでなら」
「ん、ミミ。片付いたらまた来るから」
「移住の準備をして待っとくわ。はよ、帰ってきてや――!」
ヒュン
行っちまった。
まぁ、すぐに戻るって行ってたし少しの間なら小人でも大丈夫だろう。
それから1日が経ち、1週間が経ち……ナデシコはまだ戻ってこない。
ま、まぁ少しの間って言うのもあれだ。
言葉の綾ってやつだな。
少しがどこまで指しているか明確じゃ無いし、1か月も待てば大丈夫だろう。
この村の住人は小人だからか悪意みたいなものがまったく見られず、自分たちより大きい俺ともう一人の赤ん坊をしっかりと面倒を見てくれた。
「ほらぁ、いないいないばぁ!」
「きゃっきゃ!」
隣の赤ん坊はすっかり馴染んでいるみたいだ。
小人が赤ん坊の上に乗り、あやしている。
変わった光景だ。
「いやぁ、人間の赤ちゃんもうちらと変わらんもんやな。身体が大きいだけやん」
「姉ちゃん、ご飯の準備出来たよ」
「おっけ――、今行くで」
それにしても、何で俺は赤ん坊になってるんだ?
過去の事を何も思い出せないし、無理に思い出そうとすると眩しい光に包まれてすべてが消える光景だけが脳裏に浮かぶ。
ナデシコ……あの女の子を昔の俺は知っているのか?
それに隣の赤ん坊もどこかナデシコらしき面影があるようにも見えるんだよな。
母親……ってわけじゃなさそうだし。
一緒に捨てられていたのを拾ったのがナデシコだもんな。
考えてもよくわからん。
「あうぅ……だぁ……」
隣の赤ん坊から湯気?
まだ身体を拭いてくれるには早い気がするんだけど?
「ほらぁ、この子おしっこ漏らしてる」
「きゃっきゃ!」
やっだぁもう!
道理で変な臭いがすると思った!
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