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俺、神様になります  作者: 昼神誠
少女と神
146/592

この宇宙戦はどこかおかしい7

「……アさん!  ダリアさん!」


 んん……何よ?

 心地よく眠っていたのに。

 あれ、胸に何か違和感?


「……うぷぷ……お、重いがな」


 ミミ!?

 あ……そういえば私の胸の谷間に入って寝ていたんだった。

 私も寝てしまって、寝返りを意識せずに打ったときに体重が乗ってしまったようだ。

 すぐにミミを引っ張り抜き、枕の横に置く。


「ミミさん、大丈夫ですか?」

「ふぅ、もうちょっと遅ければ死ぬとこやったわ」

「もう……勝手にこんな所に入るからよ。そういうのを自業自得っていうのよ」


 そうだ、私が寝てどれくらい時間が経ったんだろう?

 時計を見てみると、三時間ほど眠っていたようだ。

 

「ディーテはどうなったの?」

「画面を見ると、ドローンというものが追っているようです。ダリアさんが寝ている間に、いくつかのころにーも真っ二つに破壊して進んでいますね」


 コロニー?

 土星から木星までの間には、まだ一つも無かったはずだけれど?

 まさか、新型コロニーを建設するための工業コロニーとかも破壊して回っているのかしら?

 

「ほら……またです!」


 テレビ画面を見てみると、確かにブレスでコロニーを真っ二つにしている。

 でも、あれって廃コロニー……すでに誰も住み着いてはいないはずだけれど。

 もしかして、ディーテにはその見分けがついていない?

 言い換えれば、同じような形のものは片っ端から破壊しながら、ヘブンズ3に来ているというわけか?

 見境無しにこっちの人間の命を奪うような奴に容赦はしないわ。

 それにコロニーそのものを破壊して移動しているというのなら、ヘブンズ3の近くまで来させるわけにもいかない。

 このコロニーに来るまでの間に、人の住んでいるコロニーは全部で2つ。

 その中の一つがフロンティア7だ。

 ルイゼたちも避難しているだろうけれど、コロニーそのものを破壊されるということは、住む場所を失うわけではない。

 生まれ故郷やそこで過ごした思い出さえも完全に失うということなのだ。

 人工物である限り地球のように時間をかけていれば、元に戻るようなものでは無い。

 そんな大切な場所を破壊されるわけにはいかない。

  

「ニーニャ、ユーナは?」

「テレポートで先にモナ先生を脱出艇の中へ連れて行き、休ませていますよ」

「そう……ありがとう。それじゃ、私たちも脱出艇へ行かないとね」

「ダリアさん、一人で立てますか?」

「起きれないなら無理したらアカンで」


 どうだろうか……身体を起こそうと試みてみる。

 治療キットのおかげで眠ってしまう前より、少しは痛みが引いている感じがするけれど、それでも身体を起こして歩くのは厳しそうね。

 

「くっ……痛! あはは……やっぱり、まだ完璧じゃないみたい」

「無理しないで下さいね。ユーナさんが戻ってきたらテレポートで跳ばしてもらいましょう」

「ええ、そうね」

 

 ユーナが戻ってくるまで、ディーテの移動経路を割り出してみる。

 迎撃するなら廃コロニーの中しかない。

 ヘブンズ3をこれ以上巻き込めないし、近くのコロニーにはルイゼを含む友人や知人も多い。

 ときどき、テレビ中継を見るとディーテは、ほぼ直進してこのコロニーを目指しているようだ。

 多分だけど、ユーナやニーニャの魔力を感知して追って来ているのだろう。

 そうじゃないと宇宙空間で迷うことなく、ヘブンズ3を目指すことなんてできやしない。

 

 ヒュッ


「あ……金髪が帰ってきよったで」

「ユーナ、モナ先生の看病ありがとうね」

「うん、気にしないで。それより、ダーリンの調子はどう? ちょっとは良くなった?」

「そうね……少しは痛みが引いたかな? まだ、立てそうにないけどね」

「良かった。あ……モナ先生もかなり良くなったわよ。焼け焦げたあとも、ほとんど消えたし、あとは意識が戻れば一安心ね」

「ユーナ、本当にありがとう。モナ先生も感謝してくれると思うわ」

「うん、モナ先生には私の腕を治してくれた恩もあるし、女神の維持にかけても絶対に治してみせるわよ」

「そうだ……ユーナ、早速なんだけれど」


 ユーナとニーニャに私の考えた作戦を何通りか伝える。

 ミミは……うん、マスコット的存在だし……。

 いちおう、ニーニャの肩に乗って私の話を聞いていたけれど、何のことかよくわかってないみたいで、また私の胸の中に潜り込んでしまうし。

 まぁ……この世界のことは移住してから、いろいろと教えてあげれば良いわよね?


「なるほど……」

「どんな武器なのか見てみないとわかりませんが、私もその程度ならできると思います」

「それじゃ、まずはこのコロニーの軍事倉庫へ行かないとね。ユーナ……近くの病院から車椅子を持ってきて」

「ダーリンが見ないとどんなものかわからないし……仕方がないわね」


 ヒュッ


 しばらくして、ユーナが車椅子を持ってきてくれた。

 

「ダーリン、無理しないでね」


 ユーナとニーニャの肩を借りて、車椅子に何とか座ることができた。

 くっ、身体を起こしているだけで、全身に裂けそうな痛みが走る。

 痛い……けれど、ディーテに対抗するためにはビーム兵器を用意しなければならない。

 ユーナやニーニャには、武器の形は伝えられても整備までは決してできない。

 あたしも学校で習った知識程度しか、武器のことなんてわからないけれど、何もわからない二人よりは、取り扱いかたを知っているつもりだ。


「それじゃ、ダーリン。欽治のおじさんと一緒に行ったカタパルトに跳べばいいのね」

「ええ、そこからなら見えるから……」

「じゃ、行くわよ。テレポート!」


 ヒュッ


 オジサマが強襲用バーニアなんてものを取り付けていたのなら、カタパルトにも武器があると思っていたけれど、予想以上に揃っている。

 でも、そのほとんどはHBM用だから私たちには使えない。

 人間サイズの武器は……軍事倉庫のほうが数がありそうね。

 ここで見つけた対HBM用の地雷だけは使えそうだから持っていこう。


「ユーナ、これを脱出艇に置いてきて」

「うん、少し待っていてね」


 ヒュッ


 ユーナを使ってばかりで申し訳がないけれど、今は仕方がない。


「私もテレポートを取得したいのですけれど、こっちの世界ではステータス画面さえ見れないのですね」

「ま、私にとっては機械を使わずにああいったものが見えるほうが不思議なんだけれどね」


 当然だが、こっちの世界ではステータス画面やステ振りなんてことはできるわけがない。

 向こうの世界の仕様なんだろうけれど、あれも魔法的なものなのかな?


 ヒュッ


「ダーリン、置いてきたわよ」

「ありがとう、それじゃ倉庫へ行きましょ」


 ニーニャに車椅子を押してもらい、軍事倉庫へ向かう。

 

「あっ……これは……」


 ニーニャが手に取ったのはリュージが使っていたビームセイバーだ。

 これもディーテ相手には有効打になる。

 持てるだけ持っていこう。

 他には……ビームスナイプ。

 これは狙撃能力が高いニーニャに使ってほしいのだけれど、神族に手を出せないため恐らく撃つときに躊躇いが出てしまうだろう。

 それでも、持っていって損は無いし……。

 

「ダーリン……これってどういう武器なの?」

「リニアキャノンね……かなりの電力を使うから、あそこでは使えそうにもないけれど」

「でも、脱出艇にスペースはまだあったし持っていってもいい?」

「ええ、そうね。どこかで電力を確保できればかなり強力な武器になるわ」


 脱出艇に入るだけの武器をユーナにお願いし脱出艇に運んでもらう。


「よし、それじゃ二人とも……やるわよ!」

「ええ、ここで終わらせましょ!」

「はい!」

「脱出艇へ移動するね。テレポート!」


 ヒュッ


 脱出艇内で私はユーナにお願いして、コックピットの副操縦席に座らせてもらう。

 操縦席にはニーニャに座ってもらい、脱出艇のエンジンのかけかたを指示する。


「ニーニャ、そこのボタンを押して……それから次にこのレバーを思い切り引いて」

「は、はい」 


 グォン


「うわ、浮いたで」

「ミミ、危ないからしっかり掴まっていてね」

「んじゃ、ここに」


 ゴソゴソ


「あんっ……」


 ……そんなところを掴まないで!


「ダーリン、行けそう?」

「こほん……みんな、しっかり掴まっていてよ! 座標が狂うかもしれないからね」


 脱出艇ごと跳ばせば、たとえ宇宙区間に放り出されても問題が無い。 

 座標が合うまで何度も能力を使うだけだ。

 目的地は廃コロニー、プロメテウス4!

 

 ヒュン

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