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ネクラ君は見えるらしい  作者: たかしろひと
第2章 霊感少女
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何が見えている?

この冷たい風は先輩が戻ってきたようだ。

 思った通り、厨房入り口からヒョロっとした男が入ってくる。


「どうしたん? 君ら」


 年齢は二十四。僕らはバイトだが彼は社員だ。


「せんぱーい、萩山さんなんですけど、霊感があるらしいんですよぉ」


 先輩は黒い靄を纏っている。そして、彼の後ろからぞろぞろとついてくるのは人間の成れの果て。この世に未練を残し、行き場を失った霊が身を焼かれた姿。

 どういうわけか先輩には四十四体もの霊がついている。先祖が何かやらかしたのだろう。本人にはまったく影響しないのが不思議だ。

 それにしても厨房の人口密度が上がり、暑苦しくなった。逆に室温はさがっているが。


「へぇ、すげえな。俺に何か憑いてる?」


 すると萩山は先輩の肩をじっと見つめて。


「子供の霊が一体……でも害はないです。そのうち守護霊が追いはらってくれると思います、多分」


 子供……子供もいるが、他の四十三体は見えないのか?

 違うな。この女、多分見える振りをしている。なんのためかは知らないが。

 ……下らない。


「てーことは大丈夫なん?」


「はい、多分、影響はないです。ネクラさんはちょっと対策が必要ですけど」


「え!? ネクラ、憑かれてんの?」


「さあ?」


 僕に女性の霊は見えないのでなんとも。

 すると萩山は壁時計を見た。


「もう帰らないと。ネクラさん、これを持っていて下さい」


 渡されたのは厄除けのお守りだった。これについては霊を祓う力はまったくない。持っている意味がない。


「それでは」


 会釈をし、萩山は帰って行った。


「ネクラ、霊が移るからあんまり近づくなよー?」


 笑いながら言うが、その言葉、そっくり返したい。


「萩山さん、大人しい子だと思ってたけど、イメージ変わっちゃいました。凄いですね!」


 何を考えているんだか。僕にはわからない。

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