表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネクラ君は見えるらしい  作者: たかしろひと
第2章 霊感少女
7/13

憑いてます

 バイト先のファミレスである。

 夜、ゴールデンタイムを過ぎた時間帯。深夜というにはまだ早い。

 先輩が買い出しに出掛けたので厨房には僕一人だった。

 外は相変わらずの熱帯夜。夜風が涼しいなんてことはなく、昼間と同じように蒸されまくっている。

 だと言うのに。このくそ暑い中、キムチ大鍋定食なんかを頼んだ客がいる。コンロに陶器の土鍋をセットして具材を煮込んで行くのだが、直火を使うだけで厨房内がサウナ状態だ。


 僕はとにかく暑いのが苦手なのだ。頬を伝う汗を腕で拭い、土鍋を見下ろす。デカいレンジがあるのに何故手間のかかる調理をしなければならないのか? どいつもこいつも文明の利器をなんだと思ってるんだ。


 ところで、冷房の設定を十六度まで下げて、風量を最強にしていたのに先ほど戻された。


 厨房と繋がるカウンターの前。客達には見えない裏方と呼ばれるスペース。あそこでお喋りしてる高校生バイト達にな。寒かったら、着込めば良い。暑さはどうにもならないんだ、あり得ない。


 僕と思考回路が違うのだろう。


「ネクラさーん」


 大学生、高校生女子三人組が厨房に入ってきた。高校生の一人は三十分前に上がったはずで、私服姿だ。そして大学生と高校生の二人はファミレスの制服を着ているので仕事中。


「……何?」


 私服高校生、松間(まつま)が興奮した様子で僕の横に近づいてくる。


「萩山さん、凄いんですよ! 実は霊感があるって」


 萩山さん……制服姿の高校生の方。フルネームは萩山永遠(はぎやまとわ)……だったか。腰まであるロングヘアを緩く二つに結って背中に流している。印象としては気弱でいつも自信がなさげで、ミスが多い。具体的に言うと皿を割る。


「ネクラも見てもらったら? その場でお払いもできるらしいわよ」


 ニヤニヤしながら制服大学生、市原(いちはら)が言う。僕は萩山永遠へ視線を向けた。


「あ、あの、ネクラさん、多分憑いてます」


「……何が?」


 萩山永遠は少し躊躇って、


「女性の霊が」


 上目遣いにそう言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ