旅立ち
「母さんそんなに泣かないでよ。」
「レオちゃん。ううう、、、、、うっう、、、、気を付けていくのよ!何かあったらすぐに帰ってきていいんだからね。」
ママンは泣きながら抱き着いてきた。もう16歳なのに、ママンにとってはいつまで経っても赤ちゃんのレオちゃんのままなのだろう。俺が魔法学院に通いたいと言ったら付いてきそうな勢いだった。ちなみにママンの美貌は、俺が赤ん坊の頃からまったく変化していない、というか皺一つ増えていない。横に立っているオヤジ殿も当然のように外見的変化はない。
「何回も言ったが面倒事に巻き込まれないためにもあまり目立たないようにな。」
「はい!」
「ああ、そうだ。」
魔力トレーニングで使ってきた愛用の白い丸石を一つ取り出して、粘土のように変形させた。そして家族三人のオブジェを作った。まるで、日本のプラモデルのように細部まで再現した渾身のできだ。当たり前だがヒビ一つ入っていない。
ママンに手渡すと泣きながら喜んでくれた。オヤジ殿はどちらかというと、ほぅ、と感心してくれた。
「それじゃあ行ってきます!」
黄金に輝くドラゴンに変身し大空へと舞い上がる。まだまだドラゴンとしては成長途中だが、少しだけ大きくなったかもしれない。家の上空をグルリと一周したあと、王都目指して羽ばたいた。
思えば初めて空を飛んだのは、ママンの背中に乗せてもらった時だった。それが今では自在に飛べるようになったのだから感慨深いものがある。今まで大切に育ててくれてありがとう!
色々と思いだし少しだけ泣いてしまったが、会おうと思えばすぐ会えるのだし、これから楽しいことがたくさん待っているのだ。だからいつまでも泣いている場合ではない。気持ちを切り替えていこう。
♢
時間が経つにつれてだんだん景色を楽しむ余裕もでてきた。水面ギリギリを低空飛行すると風圧でブシャーっと水しぶきが上がってカッコいい。まあ、それも第三者目線の話だが。
山を越えるのなんて翼を10回羽ばたくだけで終わる。歩きだったら何時間かかることか。
30分程、山の上空を飛ぶと森の終わりが見えてきた。
そういえば竜人は絶滅寸前の希少種族だと聞かされたが・・・どこまでドラゴン形態で飛んでいっていいのだろうか?流石に入国する時はダメだろうけど・・・
まあ、見られたところでなんの問題も無いとは思うが、タイミングも良いし散歩がてら人間形態でいくのもいいかもしれない。
徐々に高度を下げ地面にソフトランディングする。
「ふう。」
魔法学院の入学テストは1週間後なので慌てる旅路でもない。ゆっくり行こう。それでも昼過ぎには着くだろう。
綺麗な金髪をなびかせながらのんびり歩くこと1時間、索敵魔法に魔物が引っかかった。生物というのは生きているだけでエネルギーを発しているため、魔物がいる場所はすぐに分かる。
お?レッドウルフの群れのようだ。1,2,3,4・・・・7。全部で7匹。本来なら武器を使うまでも無いが肩慣らしにはちょうどいい。
「光剣!」
光魔法を使い、炎のように揺らめく光の剣を出現させる。そして真正面から群れに突っ込む。身体強化魔法でステータスの底上げをしているので、俺の動きについてこられる奴は一匹としていない。剣先がレッドウルフに触れた瞬間、紙切れのように切り裂かれる。空気を切り裂くのと感覚としては変わらない。
続けざまに2匹目、3匹目を切り伏せる。正直これではウォーミングアップにもならないのだが。
う~む。
「グルウウウウ。」
威勢のいいのが一匹特攻してきたので、あえて反撃せず様子を窺っていると光剣を持っている右手に噛みついてきた。おそらく、俺では無く剣が危険だと思ったのだろう。
これで封じたつもりだろうか?なにせ俺の肌は、人間形態でもドラゴンの防御力に準じる硬さを持っているのだ。そんじょそこらの攻撃では傷一つつかない。いや、傷つかないどころか・・・
ガキン。
「キャイーーーーン!」
「・・・大丈夫か?」
レッドウルフの獰猛なまでのギザギザとした歯が全て欠けている。俺は何もしていないのだが勝手に自爆しやがった。生かしておいても、この先狩りをするどころかまともに食事をすることすらできないだろう。そっと剣を振り下ろす。
これで残り3匹。
力の差を理解したウルフたちは、戦うのではなく三方向に逃げ出してしまった。まあもちろん逃がしはしないのだが。
「飛翔!」
剣を持つ右手に少し力を込め、三方向にそれぞれ一閃を放つ。一定の速度を超えて剣を振るうことによって斬撃が飛んでいく。もちろん光属性を付与して飛ばす事も出来るが、今回はただの斬撃だ。
「まあ、こんなもんかな。」
レッドウルフたちの死体を綺麗に回収する。1,2匹ほどダメージがひどく買い取ってもらえるか疑問だったが、毛皮だけでも売れるかもしれないので放置はしない。
「異空間収納。」
任意の空間に裂け目を作り出し、収納しておける魔法だ。この魔法が便利なのは、容量が無限で物体の時間が経過しないということだ。ママンが持っていたアイテムボックスを参考にイメージしてみた。寿命を使って生み出した魔法なので、使用時だけ黒髪黒目に変わるが、まあ特に問題は無い。
その後、お昼休憩をしてから再び歩き出した。視界に王都の城壁がハッキリと映っている。まるで田舎から東京に上京した気分だ。これからの生活を妄想すると胸が高鳴る。
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ようやく街に着きますね。次回はたぶん明日だと思います。ぐへっ




