秘密の計画
「ルーク!」
特待生クラスが座学の授業を受ける中、乱暴に扉を開けルークを呼び出す。突然の乱入に教師がギョッとした顔をしたが今はそれでころではない。
「どうした?」
教科書を読んでいた前髪イケメンが顔を上げる。
「事情を説明するのは後だ!とにかく付いてきてくれ!」
「え?」
「すいませんコイツ連れてきますんで授業続けてください!」
そう言って半ば強引に連れ出し、急いでママンのいる理事長室まで走る。ルークは緊急事態だと察したようで余計な質問はしてこない。
職員室の横にある大きな部屋が校長室で、その隣にあるさらに大きな部屋が理事長室だ。
「ママン!」
「あらレオちゃん!」
膨大に積み上がった資料とにらめっこしていたママンがパアっと顔を綻ばせる。20代にしかみえない衰えぬ美貌。このままママンと2人で放浪の旅にでも出るのもいいかもしれない、、、、なんて一瞬だけ思っちゃったりして。
「ルーク君もいるのね。どう?ちゃんと魔力コントロールの訓練は続けてる?」
「はい!おかげさまで上達したのを実感してます。」
俺が総長になってから合併するまで、そういえばママンが特訓したと言っていたような気がする。幼少期に俺が教えてもらったようなことを今もしているらしい。
「2人とも話があるんだ。ゆっくり話すのは後にしてくれ!」
ピシっと言い放つ。決して俺がいない間にイチャイチャしやがってとか思ってはいない。そんな度量の狭い男ではない。・・・ほ、ホントだよ?
「ママンは知っていると思うけど、さっき冒険者ギルドのギルド長に呼び出されたんだ。」
「うん。ダンジョンで採れたダイヤをオークションに出してもらったんでしょ?」
「そうなんだ。この際だからルークにも言っておくけど、うちの地下にはダンジョンが広がっていて、そこで俺はこんなダイヤを発見してオークションに出品してもらったんだ。」
数あるうちの1つを取り出しルークにも見せる。彼は恐る恐る手に取ると不思議そうに見つめていた。
「でもダイヤは売ってもらえなかった。」
「え?なんで?」
「実は今うちが建っている場所はもともと王族の私有地だったらしいんだ。そのことをルークは知っているかい?」
「そうだな、生前、父がそんなようなことを言っていたかもしれない。ただ俺が生まれる前にフローラ様に感謝した父が譲渡したんだろう?」
「ああ、ママン、今の話に間違いはないよね?」
「ええ、ジョージ様直々にダンジョンも土地も両方貰い受けました。」
「うん、だけどリチャード王子がそんな話は無かったと。だから俺達は王族の土地を不法占拠し、ダンジョンを盗掘したと言ってきたらしいんだ。」
「なんですって!?」
「明日の昼までに明け渡さないと反逆罪でひっ捕らえるとお達しが出ているらしい。」
俺の話を聞き終えたママンのこめかみにピキっと青筋が浮かぶ。小動物が近くにいたら気絶していたかもしれない。
すると、ダイヤを俺に返却したルークが、おもむろに口を開いた。
「リチャードは無類の宝石好きだ。美しい物に目が無い。自分が欲しいと思った物を手に入れるためなら、平気で人を殺すような奴だ。おそらくダイヤモンドが出土したと聞いてダンジョンごと自分の物にしようとしたんだろう。」
それを聞いて俺のこめかみにもピキっと青筋が浮かぶ。やはりただの難癖だったわけだ。ダイヤが目当てらしい。
「どうするママン?」
「そうね、、、、国ごと滅ぼしてしまおうかしら。」
「・・・え?」
いやいやいや、ルークの前でそれ言ったらそれこそ国家反逆罪じゃね?と思ったが、彼に気にした様子は無かった。
「それはまずいんじゃないかな~、、、」
「じょ、冗談よ、うふふふふふ。」
うん、おそらくガチで考えていたに違いない。
「とにかくママはそんな理不尽な横暴に従うつもりはないわ。今から家に帰って徹底抗戦の準備をするわよ!」
「でもそんなことをしたらこの国にいられなくなっちゃうんじゃない?相手は次期国王なんでしょ?手元にお金もたくさんあるし無理しなくてもいいんじゃない?」
「いや、今回の一件でリチャードは、フローラ様やレオナルドから逆恨みされると考えるだろうから、その後も潰しにかかってくるに違いない。影響力を持ちやすい理事長職は、解任されるように圧力がかかるだろうし、この国にいる限り暗殺部隊に昼夜を問わず狙われるかもしれない。たとえ国を出ても、帰ってこれないようにフローラ様のネガティブキャンペーンをするのもアイツの性格からして間違いないな。」
なるほど、、、魔法学校の理事長だと、やろうと思えば将来有望な生徒を囲うこともできるしな。ということは、穏便に済まそうと譲歩しても、出て行ってもマイナスしかないというわけか。
「せっかく友達や知り合いも出来たのに・・・」
俺がそこまで言うととママンがニヤッとした。
「大丈夫よ!次期国王ならここにいるじゃない?」
「え?」
ママンがルークの方をポンポン叩きながら明るく言う。
「え?・・・いや、俺はそんな器量のある人間ではないです。」
「私はそんなことないと思うけどな。お父様のジョージ国王みたいに冷静に物事を分析できるし、全体を俯瞰できる力を持ってる。それに魔法の飲み込みも早い。少なくとも、今の先々代国王やリチャード王子よりいい国王になると思うわ。というかその方が国のためね。」
「いや・・・俺にはなんとも・・・」
「まあ、今すぐ答えを出す必要はないわ。とにかく私達は徹底抗戦するからルーク君は明日も今まで通り普通に生活しておいて。これ以上この話に関わってしまうと、それこそ王位継承権を巡って国が分断されてしまう恐れもあるし。扉の外で聞き耳を立てているあなた達もよ!」
ビクッ!
俺は頭の中がいっぱいで気が付かなかったが、どうやらクラスのみんなが聞き耳を立てていたらしい。けっこう凄い話をしていたと思うんだが、、、、
扉をガチャっと開けるとみんな気まずそうに頭をポリポリする。すると獣国の王女であるシンディーをはじめ、大貴族のビアンカなどが決心したように私達も一緒に戦うと言ってくれたが、こちらも同じくママンが拒否した。
あなたたちの力を借りるのは今ではないと。ルークが国王になる時に必要になるからそれまで待っていて欲しいと説得した。流石はママンだ。
「じゃあくれぐれもみんな変な気を起こさないでね。帰るわよレオちゃん!」
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・・・炭酸依存症を治したい。お酒とどっちが害があるでしょうかね?




