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特待生クラス

今日の回は自己紹介がメインなので・・・申し訳ないです。

 ドタバタの入学式を終え、クラスごとに分かれオリエンテーションとなった。俺達のクラスは特待生クラスなので10人しかいない。


 ガラガラガラ


「皆の者席に着くのじゃ。」


 立派な白いヒゲを生やしたヨボヨボのお爺さんが入ってきた。見た感じ校長よりも高齢かもしれない。顔には深い皺が刻まれ、目は開いているのかさえよく分からないレベルのたれ目だ。


 ゆっくりと教壇まで進むと、意味ありげに教室を見渡す。見ようによってはどこぞの仙人にすら見える。もしかしたらものすごく偉い人なのだろうか?


「・・・。」


 クラス全員、その人物が喋るのを待つ。しかし、なかなか話そうとしない。初対面にもかかわらず、これほど()をゆったりと取れる人物は大物に違いない。誰しもがそう思った。しかし・・・・


「なんじゃったかの・・・忘れた。」


 ゴゴゴゴゴオオオオオォォォ


 まごうことなきただの爺さんだった。


 しばらく考える素振りを見せてから手をポンっと叩く。


「おお、そうじゃった、そうじゃった。このクラスの担任になったロバーソンじゃ。もう何十年も前に定年で退職したんじゃが、今年は校長に泣きつかれての。なんでも規格外がいるとかいないとか。おかげで誰も担任をしたがらなかったらしくての、儂に白羽の矢が立ったというわけじゃ。」


 規格外とは一体誰のことを言っているのだろうか?まさか俺?いやいやそんなわけないだろ。か弱いママンにすら勝てないんだ。

 

 んん?なぜか爺さんにガン見されてる?なぜだ?なぜなのだ??


「ホッホッホ。じゃあ成績順に自己紹介をしてもらおうかの。まずはお主から。」


 ・・・俺か?俺だよな?


「はい、えっとレオナルドです。式の時にも言いましたが、今まで山の中で育ったので知らないことがたくさんありますがよろしくお願いします。」


 ヒソヒソ(マザコン。)


「うむ。上級生相手に見事な宣戦布告じゃった。楽しみじゃのう。長生きしてみるもんじゃ。」

「はあ・・・そうですか。」

 

 クラスからはマザコンと(ささや)かれ、爺さんからは好奇の目で見られる。なんとなく納得はいかなかったが、目立ちたくないのでとっとと席に着いた。


「うむ、では次の者。」

「はい。」

 2番目に立ち上がったのは俺の唯一の友ルークだった。長い前髪を掻き揚げながら華麗に立ち上がる。このクラスに女の子がいたら、今の動作だけでハートを射抜かれた者が何人いたことか。俺といい勝負だ(確信)


「初めまして、ルーク・レイモンドです。」


「!?」

「レイモンド!?」


 彼が自己紹介すると、数秒の間を置いて教室全体がザワついた。もちろん俺はみんなが何に驚いているのか分からない。置いてけぼりをくらって、改めて常識に疎いことが露呈した。


「ああ、まあ一応そうです。ただ俺には王位継承権なんか回ってきませんし、何の力も持っていないので普通に接してください。」

 どこか悲しげな表情をしたように見えたが、、、、すぐに爽やかスマイルをみせて席に着いた。


 ザワザワ


「おい、レイモンドって何だ??」

 未だにザワついたままの教室で、席に着いたルークに小声で質問する。


「ハハハ、王家の名前だよ。これでも一応王子なんだ。」


 王位継承権という言葉からまさかとは思ったが・・・王子だった。一度でいいから言ってみたいワード・ベスト3に入る。



「オホン、王子といえども、儂の生徒になるからには、他の生徒と平等に接するからの。よろしくお願い(たてまつ)る。」

「はい。」 


 ・・・お願い(たてまつ)ってる時点で、めちゃくちゃ意識してるのではないかという疑問は、まあもちろん口には出さない。


「んん、次の者。」


 続いて自己紹介したのはシルバーヘアだった。別名、げっチッふん君だ。実技試験で他の生徒よりも的確に魔法を当てていたので、特待生クラスでもなんら不思議ではない。


「俺の名前はシェイクス・リガーだ。実家は子爵。もともとレベルの低いこの学校に入るつもりは無かったが不運で入学することになった。みんな、せいぜい俺の足を引っ張らないでくれ。」


 確か王立魔法学院の時はお腹を壊したとかなんとか。口と態度が悪いのは貴族だからかだろうか。王族のルークがいるのによく威張れるもんだ。教室がシンとなってしまった。


「ほっほっほ。若いってのは代えがたい財産じゃな。じゃがこの学校では実力のみによって判断される。色々な経験を積むことじゃ。」


 担任のロバーソンことロバ爺が柔和な顔で諭すように語りかけたが、言われたシェイクスはムスっとしたままだ。


 まあ生まれつきの性格がそんなすぐ直ることは無いだろう。



「次は俺の番だな!」

 シンとしたままの教室に、まだ声変わりしていない高い声が響いた。フードを被っているので顔が見えない。背は低く線が細いので、まるで女の子のようだ。


「今俺の事女の子みたいだと思っただろ。今日だけは大目に見てやるが明日以降は許さない、見つけ次第血祭りだからな。」


 そう言ってパサっとフードをとると童顔の女の子がいた。いや、本当は男なんだろうが。喋らなければ女の子にしか見えない。子犬のようなキラキラした目をしている。控えめに言ってもかわいい。気のせいか、しかめっ面のシェイクスの顔がポっとしたような・・・いや気のせいか。


「ダックス・パーシー、父はメゾン商会の会長をしている。ええい!俺をそんな目で見るんじゃね~俺は男だ!この野郎め!」


 本人は必死なようだが、キャンキャン吠えてかわいい。口が悪いのも、フードを被ってるのも頑張ってやっているのだろう。一言で言うとかわいい。



 続いてダックスと入れ替わるように立ち上がったのは、銀色の坊主頭をした大男だった。

「アンドレアだ。」


 それだけ言うとすぐに席に着いてしまった。背筋をピンと伸ばし目線は一点を見つめ微動だにしない。間違いなく男の中の男だ。


 その後残りの5人も順番に軽い自己紹介をした。テッド、ケビン、アンソニー、ロドニー、ライアンだ。


 テッドとケビンは双子らしいが顔も雰囲気も全然似ていない。テッドがモヒカンでヤンチャそうなのに比べてケビンは素朴な雰囲気だ。実家は、貴族の中では一番位が低い男爵だそうだ。


 アンソニーは、王子のルークよりも前髪が長く、両目が隠れているため感情が読み取れない。時折口元がニタニタしているので不気味でもある。ロドニーは丸渕メガネをかけ如何(いか)にも勉強が出来そうなタイプ。ライアンは、イケメンだが体に無数の切り傷があり少し近寄りがたい雰囲気だ。


 そんなこんなで全員の自己紹介は終わった。


「よしよし、みんな仲良くするんじゃぞ。次になんじゃったかの?・・・忘れたのう。まあ直近で大きなのがドウラン祭じゃな。毎年これで1番強かったものが総長になる。といっても新1年生は勝負にならないから見ておるだけだがな。」


「フっ総長とかまず音の響きがダサいな。高貴な俺はそんなもの興味もないよ。」


 シルバーヘアのシェイクスがバカにしたように呟く。確かに俺もそんな物に興味は無い。


「ホッホッホ。しかしな、総長になるとさまざまな特権が認められるぞ。授業を受けなくてもよくなるし、何より自分が掲げた公約が学校の力で実現するのじゃ。」


「!?」

 その言葉を聞いてクラスの全員の眉毛がピクリと動いた。


ブックマークありがとうございます!嬉しいです!

みなさんもポチっとな(@^^‘)


今日で平成が終わり・・・記念すべき日ですね。

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