~襲撃編~
銃を向けてきた。
彼女には何があったのか?
彼女は震えて泣いている…
(何が何だか…。ただ、彼女は今泣いている。全員が彼女めがけて銃を向けている。事実はこれだけだ。)
ユウは右手を上げ、
「来い《黒の聖剣》(アーテル・グラディウス)」
そして手を振り下ろすと、漆黒の剣が出てきた。
「お前は下がってろ」
「あの…私…。」
「大丈夫だ。俺はお前が全てを受け入れてくれたように、俺もお前の全てを受け入れる。だから、俺を信じてくれ。」
すると彼女は泣きながら、
「はい、信じてますね。」
そして彼女は笑った。
リーダー格は
「俺を無視して楽しそうだな、忌み子。お前は死ぬべき存在なんだよ。そこのお前も邪魔するなら容赦なく殺すからな。」
「やれるもんならやってみろよ。お前に俺が超えられるかな。」
「試してみないとわからないぜ。だってよ、お前ら二人に対して俺ら百人だぜ。どう考えたってお前らの負け…」
「早く来いよ。来ないならこっちから行くぜ。《炎龍》(レッドドラゴン)召喚。」
ユウはいつのまにか呼び出せることが頭でわかっていた。
〈追加オプション《期待の新人》×追加オプション《救世主》より、追加オプション《召喚士》のジョブを追加。追加オプション《救世主》と《期待の新人》は消滅します〉
(ってことは、俺が今持ってるオプションって《ハンター》だけか…。そしてジョブが、《勇者》と《召喚士》か…。いまいちよくわからん。)
彼女はユウの後ろで驚いている。
当然、全員驚いて唖然としている。
「じゃあ行くぞ。先手必勝ってな。」
ユウはリーダー格に目掛けて走った。途中で邪魔してくる人達は、《炎龍》が殺さないように食い止めてくれている。ユウは、リーダー格の首元に剣を当て、
「チェックメイトだ。俺の名は優だ。覚えてて損はないぜ?」
「まっ、参った。参りました。降参です。」
リーダー格は銃を全員に降ろさせた。
「忌み子。お前をかばう奴がいるとはな。だが、お前の母さんが死んだのはお前のせいだ。お前の母さん言ってたぞ。『アリスを産まなければ良かった』って。ほんと笑わせるよな。母さん死んだのに、お前はのうのうと生きてるんだからな。やっぱりお前なんて生きてる価値、ない…!」
「言いたいことはそれだけか?どんな理由があろうとも、悲しんでる女の子を痛めつけるのは最低だ。せっかく生かしてやってるんだ。さっさと逃げろよ。じゃないと、お前ここで死ぬぞ?」
リーダー格は、笑い出した。
「殺したらいいじゃないか。ただ、その女が死んでも知らんが…。俺の呪具でその女は焼け死ぬ。それを覚悟した上で殺せよ?」
ユウは迷った。その瞬間、
〈追加オプション《選択者》を獲得。追加オプション《ハンター》×追加オプション《選択者》より、追加オプション《アサシン》のジョブを追加。追加オプション《選択者》と《ハンター》は消滅します〉
ユウは
(この状況を打破するには、ジョブ《勇者》も《召喚士》も役に立たない。新しく獲得した《アサシン》で何をするか……!そうか。《アサシン》を使えば…)
ユウは目にも留まらぬ速さで男の持つ呪具を取り上げ、その速さのまま呪具を解除し破壊した。ここまでの速さは、ざっと一秒程度だった。
「で、呪具がなんだって?」
「お前、何をした!呪具がないぞ。今この手に持っていたはずなのに。」
ユウはアリスのもとへ戻り、頭を撫でて、
「アリス。もう大丈夫だ。怖い思いさせたな…。」
アリスは
(私の名前。初めて人に呼んでもらった…。なんだか嬉しい…。)
「あの…ユウ。助けてくれて、ありがとう。」
するとユウは、頭から手を下ろし、
「この建物を出てもっとそとの世界を案内してくれないか?」
「言いにくいんだけど…、私はそとの世界を見たことがないの。ごめんなさい。」
「なら、アリス。俺と外の世界を見るために旅をしないか?」
すると、アリスは動きが止まった。しかし、涙を拭って、
「ええ、よろしくお願いします。」
リーダー格は出口付近にいた。
「覚えてろよ。お前ら王国に訴えてやる。みんな、逃げるぞ。」
建物の中に居た人達は全員逃げていった。
そしてユウの手からは、剣は消えていた。《炎龍》も。
(《アサシン》のスピードがあればあいつら全員やれるんだがな。まあ、俺にそんな趣味ないからいいが。)
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