~カウンセリング編~
彼女を襲う、それは一体…
俺の心を除く能力を彼女は持っている?
俺は目を覚ますと、隣には耳の少し長い少女が…髪の色は金髪で、目の色は青のようななんとも言えない色だった。杖が近くにある。
(ん?何か言ってるぞ?)
「……私に治せない……?」
こいつが治してくれたのか。礼言わなくちゃな。そして俺は、
「そんな事ないぜ。」
彼女は驚いた様子でこちらを見ていた。
そして今。二人の少女が俺の近くにいる。
(そういえば俺、人と話せなかったんだ。)
すると、
「とりあえずこの人が落ち着くまで面会禁止です。」
(ナイス!)
すると一人の少女は切なそうに出て行った。するともう一人の少女は俺の方を向いて、
「もう大丈夫よ。さあ、貴方からも話を聞かせて。」
「……」
「なんで黙ってるの?」
「すまん。俺、人が怖いんだ。」
「そう…。よかったら話を聞かせてくれない?私、カウンセリングも出来るのよ。」
自慢げな顔で俺を見る。
「……。ああ…。」
「じゃあ座って。」
「ああ…。」
「…?貴方、ちゃんと喋れる?」
「ああ…。」
「ちゃんと私の話聴いてる?」
「ああ…。」
すると少女は、
「うつむいてないで、こっちを見なさい。人の顔を見ないなんて失礼でしょ。しっかりと話聞いてよ…」
顔を見てみると少女はは涙を流していた。すぐに泣きやませようと思った。しかし、何故だろう…なんだかとても温かく優しい。何年ぶりだろうか。
そう思いながら少女を見ていると、
「なん…で、話…聞いてくれないの。グスン…」
いや、俺だって話したい。むしろこの子を笑わせてあげたいとまで思っている。
しかし、昔から人とは接してくるのをやめていた。もう、辛い思いはしたくなかったから…
「俺だって…はな…したい。でも、怖いんだ…。」
少女は驚いた様子でこちらを見ていた。しかし次の瞬間、抱きついて頭を撫でてくれた。そして耳元で、
「大丈夫。大丈夫。私はいなくなったりしないし、裏切ったりもしないよ。だから話して?ね?」
少女。いや、彼女はよく見ると同い年くらいだ。とても可愛かった。あいつのように…。いつかまた消えるんじゃないかと思ってしまうくらいに…。
(今にも消えてしまいそうだ…。この子だって同じ経験、いやそれ以上だ。目を見れば分かる。瞳の奥に少しの闇が…。そんな経験をしているはずなのにどうして笑顔でいられる?)
ただ彼女に抱きしめてもらっていると落ち着くな…
「俺は…、小さい頃に好きだった女の子…失くした。俺が…守ってやるって言ったのに…」
「辛いことを話してくれてありがと。」
彼女は何故か涙を流していた。
「なんで泣いてるの…?」
「ううん。辛かったんだろうなって思ったら私、涙が止まらなくて…」
(彼女はどっちなんだろう…。自分の経験と似ていて泣いているのか、本当に思って泣いてくれてるのか…)
「いえ。私はどっちの意味でもそうなんです。」
俺は驚いた。彼女に心を覗かれている…確信した。
「私も大切なお母さん…たった一人の…死んじゃったの…。いえ、殺されたの。」
「なんでそんな事話してくれるんだ?見ず知らずの俺なんかに…」
すると彼女はしばらく黙り込んだ。
そして笑顔で、
「お母さんがですね、自分でいい人を見つけなさいって…。その人には全て打ち明けなさいって。そう言ってたので。」
(それって…告白⁉︎)
「それはもっとお互いのことを知ってから…。早いと思うんだ。」
「……?」
「……?」
部屋の中の空気が変だ。
(俺の早とちり?)
「ごめん。いい人ってどういう事かな?」
「お母さんは、『その人の事を思うと、鼓動が高まる人の事』と言っていました。」
また、自慢げな顔だ。
「あのそれって…お母さんが言いたかったことって……!」
「……!」
突然下が騒がしくなった。そして彼女が呼ばれた。二人で顔を見つめ合ってうなづき、警戒しつつ下へ降りて行った。
すると、この建物にいた人が全員銃口を彼女に向けていた。
すると、リーダー格だと思われる奴が、
「よう。久し振りだな。忌み子さんよぉ。」
彼女は震えながら、涙を流していた。
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