~孤独魔法使い編~
ヒロインの登場!
「お母さん、どこ?ねぇ…」
「君が殺したんだ。この忌み子が!」
「そんな事ないもん。お母さんは何があっても守ってくれるって言ったもん。」
「お前の母さんは死んだんだよ。お前のせいでな。」
「なん…で……?」
「キモいんだよ。死ね!」
村人たちが殴り続ける。私に向かって拳を握りしめて。すると目の前に棍棒が…
「キャー」
目が覚めた。私はベッドから落ち顔面を思い切り打っていた。その時の顔は何とも言えないものだった。
「またあの夢…」
五歳の時に母を亡くした。母は殺されたのだ。忌み子の私を庇って…
なぜなら私はエルフだから。何故、母は人間だったのにエルフの私が産まれたのか。その事を今は研究している。
今までどうやって生きてきたかというと、母の持っていた別荘を利用して店を出した。店って言えるか分かんないけど、私はみんなのための施設だと思ってる。仕事は…まあ、見れば分かると思うわ。
そんな事を思いながら服を着替えていると、
「あの、助けてください…。男の人が倒れて…意識がないんです。」
「なんですって!?今行くわ。」
服を即座に着替え、自室を後にした。
男のところに着くと女性は成り行きを話してくれた。
「要するに一撃も食らってないのに倒れたって事?おかしいわね…その前に何かあったと考えるのが普通よね。とりあえず、その事は後として回復呪文を唱えます。〈回復の光〉(ヒーリング・ライト)」
すると光が男の体全体を覆い、光は消滅した。
(そう、私は魔法使い。どんな病気だって怪我だって治してみせる。)
ただ何も変わっていないように見える。すると女性は、
「大丈夫なんですか?」
「心配しないでください。私が責任持って治療致しますので。ただこの人を部屋まで運んでくれませんか?一人では大変なので…」
「もちろんです。でも、ここって施設のようなところばっかりで静かに治療できるような場所はありましたっけ……って、大丈夫ですか?顔、赤いですよ。」
そう、私はいつのまにか赤面していた。
「だ、大丈夫よ。心配ないわ。それより早くこの人を運びましょう。私の部屋なら空いてるから…」
「分かりました!」
そして二人で男の両腕を持ち上げ肩に手を回し、部屋へ運んだ。その後女性は部屋を後にした。男が目を覚ましたら連絡してと言い残して。
「私の魔法は完璧なはずなのに、どうして?もしかして私でも治せない病気や怪我が存在するというの?」
すると突然、
「いいやそんな事ないぜ。お陰で意識が戻ったよ。」
そう言うと、起き上がって私の方を向き、
「ありがとな!」
と言い放った。何故だかその瞬間、心が温かくなった。
(何だろうこの気持ち…)
胸を押さえていると男は、
「おいっ!胸が痛むのか?」
「い、いえ。そんな事ないわ…」
「しかも、顔。赤いぞ。」
(本当だ…顔が赤い。)
突然ドアが開いた。その人物は男を連れてきた女性だった。
「良かった。意識が戻ったんですね…」
すると私の方を向き、
「魔法使いさん、ありがとうござます。助けていただき…」
「いえいえ。そんな事気にしないでください。人を助けるのに理由なんてありませんから。」
すると男は布団に潜り込んだ。
(恥ずかしいのかしら?)
これが彼の第一印象。目の色は黒の綺麗な瞳。みたことのない格好。
性格は恥ずかしがり屋で心配性のお人好しと…そう思っていた。
そう、この時は…
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