~口づけ口論編~
口づけをするためだけに
口論をしていく二人を書きました。
「その前に…契約しましょ!」
「契約?」
「言葉の通り契りを交わすの!」
「いいぜ!」
するとマミーはキョトンとした。
「即決なのね…。私だって少し戸惑うのに…。そんなところいいと思うわよ。」
その時のマミーの表情は何者にも負けない笑顔だった。
マミーはユウの手を握った。
「な、何してんだよ!」
「契り交わすのよ。」
「契りって魔法陣的なものじゃないのかよ。」
「契りっていうのはね、本来は互いを愛し合ったものに許される行為なのよ?契約…それは色んな形が存在するの。例えば、魔物と契約したり、結婚したりするのも契約のひとつ…。買い物だって契約よ。」
「契約の種類は分かったが、何故結婚の契約なんだ?俺はマミーのこと……。」
ユウの頬が赤く染まる。
「マミーのことは大切さ。だが、まだ互いの事を知らなさすぎる。」
「でも、あなたは私の配下よね?言うこと聞くって言ったのは誰だったかしら?」
不意をついてくるマミー。だがしかし、ユウもそれには負けられない。
「お前を守るとは言った。それは守る。だが、俺がマミーの立場ならそんなすぐには信用しない。だからまずは…」
「そんなの知らないわ!一目見た時から私はあなたの事を考えてしまうようになったの。この感情を恋と呼ばずしてなんと言うの?」
「それは…」
「私だって好きになりたくて好きになったわけじゃない。だけど契約してあなたと離れないようにしたいの…。一生巡り会えないかもしれないのだから…。胸が痛くて張り裂けそうなの。気づいたらあなたの事考えてる。だから…私と結婚してください!」
ユウは思った。
(唐突すぎるだろ!お付き合いもなくしていきなり結婚だと!?いや…それは願ったり叶ったりだけども…)
ユウは真剣な眼差しで、
「その気持ちに答えは出せない。少なくとも今は現状を知るだけの気持ちの余裕がないんだ。ごめんな。」
マミーは一瞬泣きそうになっていたが、それを乗り越えて笑顔で、
「じゃあ私…待ってるわ!あなたから結婚を申し込んでくれるのを…ずっと待ってる!」
ユウはホッとした表情で、草むらに寝転んだ。ずっと座って言い争っていたこともあり、腰に激痛が走っている。
「結局のところ…契約ってどんな方法で交わすやつだったんだ?」
恥ずかしそうにうつむいて、
「それは…子作りよ!」
「……っ!」
その言葉にその場は凍りついた。
「じょ、冗談よ!なに鵜呑みにしてるのよ!」
「じゃあなんだよ!」
「せ、接吻よ!」
「接吻ってのは、つまりキスってことでいいんだよな?」
「か、簡単に言わないでよ。その…恥ずかしいじゃない…。」
実に意外だった。
確かに恥ずかしがり屋だが、これまで何人も殺してるのだから…さらに、あんな演技してるのだから…
俺は強く思った。
「本当にマミーなのか?いっときは怖かったが今は可愛い女の子じゃないか…。」
ふとマミーを見ると顔を赤らめていた。
「あのね…聞こえてるのよ…。恥ずかしいの…。心の声が全部丸聞こえなの。」
ふと俺も頬を赤らめた。
しばらくして、マミーはこっちを見てきた。
「契約しましょう」
覚悟を決めたマミーは誰にも止められない。
「まだ心の準備が…」
「女に心を決めさせて、貴方が心を決めていない…。あなた、本当にそれでも男なの?」
強気になったマミーは推しが強い。
しばらく口論が続いた後、
彼女に口づけをした。
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