~契約編~
マミーは一体何者なのか…
(動こうとすれば確実に殺られる。考えなければ…)
「どうしたの?もしかしてビビっちゃった?」
ニヤニヤとマミーは笑っている。黒服は全員死んでいる。真っ赤な薔薇が咲き誇っている。
「ねぇ。この世界の真実を知ってるかしら?よければ教えてあげましょうか?」
ユウは驚いた。
(この世界の真実…。それを知ればアリスは助かるのか…?)
「聞かせてもらおう…」
すると笑いが止まらない様子で、
「あははは。ねぇ、まだビビってるの?」
すると何かを思い出したかのように、
「あー、そうそう。アリスって言ったっけ?あの子、もうすぐ死ぬわよ。」
ユウは一瞬キョトンとして、聞き返した。
「どういう事だ?」
「慌てないの!私からは二つの情報を聞かせてあげられるわ。でも…」
沈黙が続いて、ユウは、
「でも…なんだよ。」
マミーはため息をついた。
「考えてわからないの?じゃあ教えてあげるわ…。情報と引き換えに対価を支払うことよ。」
「分かった。」
驚いた様子でマミーは、
「あら、即決?でも、そういうの嫌いじゃないわよ。」
催促するようにユウは、
「対価は俺の命か?」
「いいえ。そうねぇ…。そうね、私の部下になりなさい。この世で最初で最期のね。」
「分かった。だがいいのか?俺が、最初で最期の部下で。」
「ええ、勿論よ。一途なあなたの姿勢、気に入ったの。」
そう言った後マミーはユウの目の前まで近づき、ユウは倒れ込んだ。
「この対価、あなたは支払うのかしら?今、変えてもいいのよ。」
「いや、あんたについてくよ。いつまでも…。」
「いい度胸ね。さあ、あなたの新しい世界に旅立ちましょう。」
「ああ。」
しばらく歩いた頃…
歩き始めてから喋らなかったマミーは、急に口を開いた。
「そういえば聞いてなかったわね。あなたの名前を。」
「そうだな。それじゃあ名乗ろうか。俺の名前は…なんだと思う?」
「質問に質問で返すの…?まあいいわ。えーとね…」
色々と名前が出てきた。
ライト、レフト、アップ、ダウン…
もはや名前なのか?
「お前、実は…」
「あ、焦ってなんかないわよ!あと、名前で呼びなさい。」
あっ、自爆しやがった…
マミーは自分の言葉を思い出したかのように頬を赤く染めていた。
「マミー。俺たちどこに向かってるんだ?」
すると、真剣そうな顔で、
「都心よ。ここからは少し遠いけれど…」
「どうしてだ?」
「そうね。あなたの目標を達成するためかしら?」
「まさかっ!なら、お前…マミー。どうしてメルの姉を殺して、まだメルの姉の皮を被ってるんだ?」
「あっ!」
何かを思い出したかのように声を上げて、皮を脱いだ。
「まさか…」
「忘れてなんかないわよ…。あえていうなら……変装!そう。安全にあの場所から去るための。」
「じゃあなんで今脱いだんだ?」
「……。」
ふくれっ面でこちらを見ている。
(よくみるとこいつも、可愛いな。
ボリュームのある髪の毛、紫色の目、お姉さんみたいな見た目、そしていい匂いがする胸…!んんっ?胸って!?)
目の前は真っ暗だ。離れようと手を勢いよく前に出した。
「きゃっ!」
(プニプニしていて気持ちが良い…じゃねぇ!)
「なっ、なんで抱きついてるんですか!?」
「あまりに暗い顔をしているからよ。安心して。私は、何があってもあなたから離れないわ。ふふ…」
「どうして今そんなことを…」
「大切な人をなくす悲しさを知ってるからかしら…」
そう言ったマミーは少し泣いていたように見えた。
読んでくださりありがとうございます。最近投稿できていませんでしたが、これからは大丈夫なので出せる時に出していこうと思います。
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