刹那の見切り
俺が目覚めたのは真っ白い天井の保健室
ではなく、教室の机に座らされていた。
気絶した人を教室に連れていくか?普通
時計を見るとどうやら一時間目が終わった所らしい。
ちょうど休み時間だ。
タッタッタッ
聞きなれた足音。
タッタッタッ
こちらに向かってきている。
タッタッタッ
およそ距離は5m。
「やっと起きたのね!夜中までゲームしてるから登校中に寝ちゃうのよ!?」
皇帝だ。
「うっせぇな、お前に関係な・・・・」
つい強がってこんな口を聞いてしまう。
というか、寝てたのではなく失神である。
しかし恐怖から途中で黙ってしまう。
「でも・・・・」
そう言う帝は、物凄く可愛い美少女だった。
「夜更かしはあんまり体によくないよ?」
殴られる方が体に良くないと思う。
「昼寝してるから大丈夫なんだよ」
「もぉ!ちゃんと夜寝なさーい!!」
愛らしい顔
その瞬間、チャイムが鳴り響く。
二時間目の合図
と、ほぼ同時に繰り出される左手からのアッパーを俺は瞬時に後ろにかわす!!
避ける事は想定内と言わんばかりに追撃!!
右手からのストレート!!
帝のしなやかな腕が空を切る!!
俺は左に体を傾け避けるが少し擦る!!
座った体制から椅子を後ろに下げ、席を立ち帝の左に寄り力いっぱい右ストレートを放つ!!
右ストレートが帝に届くまでの刹那
俺はたしかに聞いた
「そんな遅い一撃、当たる方が難しいよ?」
帝は、俺の後ろに居た。
「じゃあ」
そう口を開く帝。
俺は恐怖に動けない。
【死】
「席に戻るね☆」
可愛くウインクしてそう言い、帝は席に着いた。
俺もまた項垂れるように席に着く。
今日の帝は、いつもよりも強い。
俺はそう思わずにはいられなかった。
二時間目の授業の内容は、覚えていない。