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Chapter 1

私は香澄。39才。最近よく言われる『around 40』をもうすぐ迎える普通の女。普通?フツー?……ううん、普通ではないのかも……




「いってきまーす!」

「いってらっしゃい」


そう、私は2児の母。夫は上場企業の幹部で単身赴任5年目。端から見れば平凡な不自由なく過ごす主婦だ。


〈さて、私も出勤しますか〉


私は手早く家事を終わらせ、出勤の準備をすます。




………出勤の車の中………


車の中でHYの『NAO』が私の胸の辺りをしめつける…


〈ナゼ…ナゼコンナコトニナッタンダロウ…(:_;)〉


………1 Years ago………


「昨日さ〜パチンコで3万負けてマジ凹むわ〜(-.-;)」

「あれ?香澄さんパチンコするんっすか!?」

「うん、するよ♪中田くんもする人?(^O^)」

「しますよ〜(^O^)でも金ないんで今は出来てませんけど…f^_^;」

「!!じゃあさ〜…私のバイトしない?(^_-)-☆」


彼は『中田省吾』22才。同じ職場の子だ。比較的、平均年齢が低いうちの職場でも1番下の子で、ホントにまだ子供っぽい感じの子だ。


それから、省吾とは仕事が終わるとパチンコする日が多くなった。


「どう?」

「あんまり…(-.-;)」

「当たればいいけどね〜」


☆キュインキュインキュイーン☆


「ねぇ!これ当たりじゃない!?」

「熱いよ!」

「カクヘンこーい!」


☆☆キラキラキラーン☆☆


「ヤッター♪カクヘン!!」

「やったね♪いいなぁ〜φ(¨;)俺もがんばろっと」

「頑張って出したらバイト代はずむよん♪」


こんな他愛もない省吾との時間は本当に素直にただ楽しかった。



その頃、私は2年くらい付き合っている彼がいた。

彼は『大山正樹』。29才。やはり同じ会社だけど、私と省吾とは違う支店にいる。正樹は年上の私より落ち着いてて、でも気分屋さん。マイペースな人。彼もパチンコが好きでデートといったらパチンコに行くくらい。



◇今夜そっち行っていい?◇


朝一にメールしても返事がなかったり、返ってきたとしても22時過ぎだったり…最近、私からメールすることが多くなって来た。

確かに、めんどくさがりな彼なので、そうなるのかもしれないが…わかってはいるのだけど、だんだん私の事、ホントに好きなのかどうか疑問に思うようになっていた。


◇今、帰り着いた◇


思ったとおり、22時過ぎに返信が着た。


「お疲れ様(^O^)毎日遅くて大変だね(;´・`)そっち行っても大丈夫?」

「いいよ」


そして私は、静かに家を出て正樹の家に向かう。


「今日行った?」

「パチンコ?行ったよ。中田くんをバイトに雇って、2人とも勝ち♪勝ち半分あげた(^O^)」

「半分も!?バッカじゃないの?そんなにあげて(-.-;)」

「え〜…そうなの?f^_^;」

「もったいない!」


そんなその日にあった事を語り合い…そのうち、正樹の大きな腕が私の背中から私を包むようにハグしてくる。私が振り向くと優しくキスして、それから……後は身を委ねて…


…ピピピピッ……ピピピピッ…


携帯の目覚ましがなり、私は目を覚まし、隣でグッスリ眠ってる正樹を起こさないように、


「ありがとう、おやすみ…(^_^)」


彼のほっぺにキスしながら囁き、そっと部屋から出ていく。まだ夜明け前、私は自分の現実に帰っていく…こんなことを2年も続けている。


ある日私は、正樹に急ぎ尋ねたいことがあり、仕事場からメールした。


◇お疲れ様。少し尋ねたい事があるんだけど…急ぎなので手が空いたら連絡ください。◇


なかなか連絡をしない彼なのはわかってるので、出来るだけ気に障らないようにメールしたつもりだ。


私は待った。

返事の催促は出来たが、しつこくメールするのを嫌がるのは知っているので出来なかった。しかし、昼を過ぎても連絡がないので、少しでも早く答えを知りたかった私は、電話をかけてみた。


…トゥルルル……トゥルルル……トゥルルル……トゥルルル…


やはり、なかなか出ない。私がイラつくには理由があった。彼はその日休みだったからだ。


<パチンコかも…でも早めに連絡するようにお願いしてあるのに…(´〜`;)>


そしてさらに夕方、帰りがけにもう1度電話してみた。


…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…


「はい」

「も〜やっと出た!なんで連絡してくれないの?」

「忙しいからだよ!」

「でも1回も連絡する時間は少しもないわけ!?」


私は少し怒り気味。


「ないよ!」


私は呆れてしまった。


「今はアニキの手伝い中だから後から連絡するから」


そう言われては仕方ないので連絡を待った。そして、夜になり…


…トゥルルル…トゥルルル…


「何!?」

「何?って…あなたが『連絡する』ってゆーから待ってたのに…(:_;)」

「忙しかったんだよ」

「じゃあ、今は?」

「今さっき帰ってきたんだし…」


ムカついて私は責めてはいけない!と思いながらも言ってしまった。


「あのさ、私、朝早くにメールしたよね?すぐに返事欲しかったけど、いつもあなた、私が何度も何度も連絡するの嫌うから昼まで何も連絡しなかったんだよ。昼過ぎに1度連絡しても出ないし…夕方連絡しても『忙しいから後で連絡する』って言って…夜になるまで待ってもやっぱりこなくって…痺れきらしてもう1度電話したら『何!?』とか逆ギレされるし…(T_T)もぅ、何なの!?(ToT)」

「だから忙しかったんだって!」

「そんな…1分もする暇ないの?急ぎの連絡だったらどうするの!?現に急ぎだったのに(;´・`)↓↓↓」

「そんな人前で電話かけれないし!」「私だって好きで何回も電話したりメールしたりしてるんじゃないよ!(:_;)あなたがくれないからするんじゃない!1度でもまともな返事をくれたら何度も連絡することもないし、それで事は済むのに…(:_;)」

「めんどくさいんだって(-.-;)」


もう悲しさと悔しさと惨めさで涙があふれる。

毎回こんな事でヤキモキしていた私は、


<この人は私の事、もぅどうでもいいんだ……(;_;)>


雑に扱われすぎて…そして疲れてしまっていた…。


数日後、私たちは忘年会の夜、後から逢う約束をした。


「明日、必ず終わったら連絡ちょいだいね!」

「わかった」


久しぶりの外でのデートだ。

そして、当日…

一次会が終わり、正樹にメールしてみる。


◇一次会終わったよ。今どこ?◇


少し待ってみるが返事がこない。


◇どこ?お願いだから連絡ください(:_;)◇


やはり返事がないので、私は次の二次会のカラオケ屋へ。カラオケをしながらも返事がないか気になってしょうがない。


<行き違ってたら…!>


もう人の歌なんて聞いちゃいない。ケータイばかり気にするそんな私を、省吾はなにか言いたそうに見ている。

とうとう私は痺れを切らして彼の同僚に電話してみた。


「あのさ、大山くんたちはどこ行ったの?」

「あ〜、カラオケ来てるみたいっすよ」

「どこの!?」


結局、彼とは連絡が取れないまま二次会は終わってしまった。とりあえず、彼の家で待とうと行ってみると、明かりが洩れてる。


<なんで…!?>


…ピンポーン…

カチャ…


「なんでいんの!?どーして連絡してくれなかったの!?o(><)o」

「あっ!ごめんごめんf^_^;電話もらったあとバッテリ切れた」

「それさっきだよね!?その前からメールしたりしてるじゃん(:_;)なんでその時に連絡くれないの↓」

「まわりに人いるし(-.-;)」

「もぅわかんない!!o(><)o私がどんな気持ちで…(T_T)」


悔しくて情けなくて…涙が止まらない。


「今夜は泊まってけば?(^-^)」


なんだかはぐらかされた気もがするが、なんだか今はこれ以上もめたくなかったので泊まることにした。

そして、いつものように夜明け前に帰ったのだった。

「お疲れ様〜」

「今日行くんすか?」

「うん♪そのつもり。来る?」

「もちろん♪行きまーす」

「先行っとくね〜」


パチンコを打ちながらも正樹との事を考えしまいウワノソラだ。



「キャッ!」

「どんな感じ〜?」


省吾が飲み物を首に当てたのでボーッとしていた私はびっくりした。


「少しは勝ってるかな(^_^)」

「マジ!?やったー!肉食える♪p(^^)q」

「はいはい、今から出して勝ったらね(-.-;)」

「おぅ♪がんばるぜぃ!p(^^)q」


そして数時間後、結果は『勝ち』だった。


「行きますか?(^O^)」

「行く行く〜♪にーく♪にーく♪\^o^/」

「どこ行く〜?」

「焼肉!!」

「じゃあ…街でもいい?」

「あまり中心でなければ♪」



2人で歩きながら探すと、最近Openしたばかりのお店を見つけた。


「高そ〜(¨;)」

「でも美味そ〜(#^.^#)♪」

「よし!行くか!」


美味しそうなお肉達が並べられ、どれから手を付けてよいかわからないほど。


「いっただきまーす♪」

「いただきます(^O^)」

「かぁ〜!!うめ〜!(#^.^#)♪」

「美味しいね(^_^)たくさん食べなよ。」

「てかさ、自分あんま食べてないじゃん(¨;)」

「私はそんなに入らないから…f^_^;」

「そういえば最近、元気ないよね。どうかしたの?」


私は戸惑った(。。;)


<この人に話してわかってくれるのだろうか…ましてや22才の若い子に…ただでさえ普通の恋愛じゃないのに…>


省吾の事は信用出来る。が、彼は受け止めきれるのか心配だった。


「う〜ん…聞いたらかなりヒクと思うよf^_^;」

「そんなの話してみなきゃわかんないし!それに話して楽になるならちゃんと聞いてあげるよ(^_^)」


省吾の優しい言葉が、今までダレにも言えずに苦しんでいた心の奥の呪縛を解いてくれたかのように、私は語り始めたのだった。

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