4、 世継ぎ認定。
朝食後に父に図書館に行きたいと聞いてみる。
「アランの世継ぎ認定は手続きに暫く掛かる。認定後に披露目の宴を行う
それにも、時間は掛かる。時間は有るから行ってこい」
父の許しは出た、しかし、世継ぎの外出である護衛の手配とか準備は有る。
2日程してから、母と爺さん婆さんも行きたいと言ったので、団体になった。
メイドのリサと、警護の騎士5人、馬車1台で図書館に向かった。
王都の事は、前の日に、爺さん婆さんが教えてくれた。
フランツ王国、王都フレランス・人口50万位らしい。戸籍制度は有るが
旅行者や、浮浪者等も居て、高精度な人口把握は難しいのだろう。
俺が居た、山から流れて来た川が支流も纏まって大河アリシアとなり海に
至る所に出来た街だ。その川の水を利用して堀を作り、王城を作った様だ。
王城を中心に、貴族街、騎士、下級騎士、商家、等の順に同心円状の街が
出来て居る様だ。
図書館は、貴族街の王城に近い所に有った。爺さん婆さん母も貴族だ。
昔に来た事が有る様だが、孫と来るのは初めてなので来たかったのだろう。
俺は、初めてなので、母が手続きをしてくれたので、読みたい本を探す。
俺は、前世では、図書館なんて言った事が無かった。本が読みたければ本屋で
買って読んだ。この世界に来る前は、ネットで調べたら良いし、動画・写真も
見える。情報は氾濫して居る世界だ、わざわざ図書館に行く必要が無かった。
ハッキリ言って、この世界の図書館はショボイ。前世の小さな町の本屋位しか無い、
ガッカリです。
識字率も低いし、貴族街の住人しか読まないだろう。機密書類などは、国の管理
だし、上層部が誰でも読める、図書館には置かないだろう。
取り敢えず、知りたい情報を仕入れる。魔法関係の本は無い。教師タニヤの言う
通りだったな。
後は、歴史と、この大陸の他の国の事が分かる本を探す。
母に聞くと、5冊までは、貸し出して貰えるそうだ。
一緒に来た連中も、本などに興味も無いので可哀想だ。
本を借りて帰り伯爵邸で読むことにする。
本を読む、返して借りて読むを繰り返して、10日程経った頃。
王城に行く事になった様だ。
父と母は、酷く緊張している。大丈夫かな?
馬車に乗り、父母とメイドのリサを連れて王城に向かう。
騎士は、5人付いて来る。王城まで20分位で着いた。
馬車から降りて、受付を済ませて集合場所まで案内されて行く。
王様に謁見するのでは無いようです。たかが、世継ぎの確認です。
専門の職員が居るようです。前世なら、DNA鑑定でしょうが、この世界は
見た目が、一番でしょうね。それで、父母が緊張して居たのですよ。
一つの部屋に案内されて、専門職員さんが、両親の顔と僕の顔を確認します。
それも、じっくりとA4用紙程度の羊皮紙に、色々書いて居ます。
多分、髪の色、目の色、顔形や耳の形と確認します。
それから、美大生見たいな女性が来て、似顔絵を書いて居ます。
そうですよ、写真も無いのですから、証拠画像ですね。まあ、特に問題も無いでしょうね、
父も母も、美男美女で両方とも金髪です。目の色は難しいですが。
俺の、目の色は、髪と一緒で金色なのですよ。神降臨ですよ。
美大生も、初めて見る神々しい俺を真剣に書いて居ますよ。
今は、秋、9月です。この世界も地球と同じです。
四季が有りますね。地軸も傾いているのですよ。
12か月ですね。カレンダーもほぼ地球と一緒でしたよ。
この国の上級貴族の、世継ぎ確認儀式は、この季節に行うようです。
問題も有る貴族も有る様で、何組かは御取り潰しになる様です。
幸いな事に俺達、偽造親子の確認儀式は無事終了しました。めでたしめでたし。
しかし、この後、めでたく無い事が、起こる事を俺は知らなかった。
父は、世継ぎお披露目の宴を、行う為に各地の貴族当てに手紙を送った。
半年後に、王都で今回世継ぎに認定された者たちを、纏めてお披露目会を行うのだ。
父が、手紙を送って返事がポツポツ返って来た頃に、来客が有った。
祖父の、弟と妹だった。俺からすれば、叔父さん叔母さんだよな。
「この子か? 可愛らしい子供じゃないか」と言って叔父さんに頭を撫ぜられる。
【エリコ・モンプティ】年齢43歳 人族 白人種
所属・フランツ王国・モンプティ男爵 本人
妻有り・・・・・・・
性癖・・・・・・・
腹黒・・・・・・・・・
身長 170㎝
(腹黒か~気を付けないといけないな)
叔母さんも、親しげに体に触って来る。
【アーリア・リプニク】年齢40歳 人族 白人種
所属・フランツ王国・リプニク商会 婦人
夫有り・・・・・・・
性癖・・・・・・・
子有り・・・・・・・・・
身長 158㎝
父が、2人を紹介する。祖父の弟は、次男なので男爵家に養子に行った様だ。
妹は、商人に嫁いだ様だ。大商人なので姓名が有るそうだ。
辺境伯領で手広く商売をしているそうです。
叔母さんは、大体王都に居る様なので、早く来たようです。
叔父さんも、領地が、王都に近いそうです。
それから、暫くした頃の夜です。高性能な体なのか、変な気配を感じて目が覚めます。
誰かが、窓を抉じ開けている様です。因みに此処は2階ですよ。
窓の方を向いて薄眼で見ています。賊は、窓をようやく開けたのか進入して来ます。
俺は、窓の下に魔力で魔素の障害物を作って置きます。
部屋は、暗いです。俺は見えますよ。賊は、黒ずくめで、頭巾を被って目だけ出して居ます。
賊は、刃物を取り出して窓枠から、床にそっと飛び降ります。
床には、障害物が有りますが見えませんね。お気の毒です。
足を、引っかけて前方に転倒ですよ。しかし、運動神経は良いですね。
右手は、刃物を持って居ます、左手だけで手を床に付けて転倒を堪えようとします。
そうは、させませんよ。
左手を魔力で手前に引っ張って、ナイフも刃先を立てます。
そうなると、オリンピック出場の金メダリストでも失敗ですね。
床に、何処かの宗教の様に倒れ込みますね。ナイフが刃先を上に向けています。
優秀な、暗殺者なのでしょうけどね。うめき声だけで、彼の人生は終わりました。
俺は、血の匂いが充満した部屋で、寝る趣味も無いのだけれども、夜中に
皆を起こしたりして心配をかけるのも、どうかなと思いそのまま寝た。
次の日の朝、リサの悲鳴で目を覚ました。
家敷中大騒ぎになりました。そうですよね。次期当主様、世継ぎ様が夜中に
何者かに暗殺されようとしたのですよ。
それも、伯爵、辺境伯ですからね。
父から、執拗に昨夜の事は、聞かれましたよ。
寝てから、朝起きるまで何も知りませんでしたと、惚けましたよ。
やはり、その場で、皆を起こして居たら、俺が何かしたと勘繰られただろうな。
父から、教えて貰った所、ナイフには、猛毒が塗って居たそうです。怖いなー。
多分もですが、確実に刺されても死なないだろう。刺さりもしないね。
犯人が死んだので、身元が分かり王都でも優秀な殺し屋だったそうです。
優秀な人は、若い頃から目立つのですよ、何か大きな失敗をして裏の仕事に
落ちたようですね。
父は、それだから可笑しいと思って居ますね。誰でも思いますよね。
優秀な殺し屋が、高々、1m程度の窓から飛び降りた所で自分のナイフで
自分を刺して死んだなんてね。名探偵コ〇ン君で無くても分かりますね。
その後は、警備が随分厳しくなりましたよ。
父上に、大丈夫ですよとは、口が裂けても言えませんけどね。
それにしても、色々な利害関係が有るのでしょう。多分、大人を狙うよりは
5歳児を狙った方が格段に楽でしょう。
毒物に関しては、昔から気を付けて居るそうです。
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