3、 王都へ。
アルテナ メイド長に連れられて、執務室に入る。
中には、見知った執事の他に、2人の若い男女が立って居た。
多分、辺境伯夫妻だろう。
伯爵らしき男性が、俺の体を検分する。顔を手で触り確認して居る。
【ポルト・マリエン】年齢25歳 人族 白人種
所属・フランツ王国・マリエン辺境伯爵 本人
妻有り・・・・・・・
性癖・・・・・・・
子無・・・・・・・・・
身長 175㎝
「よし、良いだろう。サフィーも良いな」と奥さんに確認する。
「貴方、素晴らしいわ。良く見つけて来たわね」執事に礼を言う。
「旦那様、見た目は良いので後は、少し教育をしてからにしませんか?」
「そうだな、離れに住まわせて、世話はリサを付けて教師は、アルテナ
誰か、適当な者を選べ」メイド長は「かしこまりました」と返事をする。
「そうだ、名前は、アランにしろ」と言って俺の名前は決まった。
俺は、控室からリサに連れられて、伯爵邸の母屋から離れた別棟に連れて
行かれた。
執務室に残った、4人が話をしている。
「しかし、旦那様、あの様な子供が、奴隷市場に居る事をどうして御存知だったのですか?」
「それはな、不思議な事に、夜寝て居たら夢の中で教えてくれたのだ」
《お前は、子供が欲しいだろう。今度の奴隷市場に行って見ろ》
「それと、体に黒子や痣も一つも無くて、怪我を負った跡すら無いのですよ」
メイド長が、リサからの報告もしていた。
「私達、夫婦も金髪ですけど、あの子の金髪は光り輝いて居ますね」
サフィーが、ため息交じりに言う。
そんな、噂話をして居る事も知らずに俺は、離れで当てがわれた部屋を見ている。10帖程度の部屋で、簡素なベットが有りクローゼットも有る。
勉強出来る様に机も有る。夕食を食べて今日は寝よう。
2日経った頃に、教師役のメイドが来た。
「タニヤ・メクニスです。よろしくね」と言って礼をする。
接触しないので分からない。
「こちらこそ、よろしくお願い致します」挨拶する。
『これ、5歳児なの?』心の声が漏れる。
午前中4時間、午後から4時間みっちりお勉強ですよ。
1か月程過ぎた、勉強の成果です。
文明が進んでいないのと、教師メイドの知識のみなので不正確ですが。
惑星と言う事を知らない、コペルニクスもガリレオも居ないのだろう。
この大陸のみで他の大陸は、未発見なのかな?
この大陸には、5つの国が有って、此処伯爵領が有る国がフランツ王国。
国王は、デイトナ・フランツ年齢は35歳で15代目らしい。
お妃が、マリア・フランツ年齢は、良いだろう子供が何人か居る様だ。
他に、妾が数人いて子供は沢山居るようです。
公爵、伯爵等の貴族は多数居るようですが今覚えても、関係ないだろう。
一度会ってから、顔と名前を記憶バンクに入れよう。
一応、一覧表が有るので目を通して置いた。最新情報では無いので無駄情報かも知れない。
他の国の、情報は少ないインターネットが無いのだ、新鮮情報は皆無で商人等が
持ち帰った情報のみで、正確では無いだろうし隠したい事も有るだろう。
それより、魔法情報が知りたかった。俺の魔法がこの世界の魔法の基準と合うのか、非常識な魔法なのか早く知りたかった。
メイド教師タニヤさんに「魔法使えますか?」聞きましたよ。
ドキドキしながら返事を待ちました。
「マホウ? 何のことですか? 」
ヘッ、魔法使えないしそもそも、魔法と言う言葉を知らないらしい。
前世の地球と同じで、魔法使いのお爺さんお婆さんは居ない様です。
大気中に、大量の魔素が有るのに魔法と言う意味すら知らないのだ。
イメージすら思いつかないだろう。
そう言えば、この世界に来て魔法を使って居る所を見た事が無い。
スーパーマンが、地球に来た様な物だな。
大っぴらに、魔法を使ったら大変な事になるな。
隠れて、コッソリ使うか、見られたら皆殺しにするか。2択だな。
剣と魔法の異世界に、来たと思ったけど少しガッカリかな。
他の人が魔法を使えないと、危険は格段に低い。
(となると、この世界に送られて来た目的は何故だろう?)
それからは、目立たない魔法の開発を進めた。
ある日、伯爵夫妻に呼ばれる。
「アラン、正式にお前を私達夫婦の実子として育てる」
(大体、予想はしていた)
伯爵に実子が居ないと、跡継ぎ無しとして領地没収か別の貴族から養子を
貰うかしないといけない様なのだ。
「父上、母上、よろしくお願いいたします」
ジタバタしてもどうしようもない。素直に従う。
「準備ができ次第、王都に行って王の認可を受けに行くぞ」
世継ぎが、5歳に成った頃に跡継ぎ認定儀式が有るそうだ。
小さい赤子の致死率が高い世界なのだろう。
王都までは、馬車で2ケ月程掛かるそうだ。流石に辺境伯領地だ。
日本列島縦断だな。
新幹線は無い。川を船で下れば早いそうだが帰りが困る様です。
王都行の順備が整い、いざ出発です。
馬車は、全部で5台です。伯爵夫妻が乗る1台、俺が乗る1台、メイド隊1台
後は、荷物食料が2台です。護衛も20騎余り付き従います。
俺は、前世で馬車など乗った事は無い。この世界で奴隷の時に乗っただけだ。
でも、アレは、荷馬車だよな。
伯爵の馬車だ、乗り心地は良いと思う、皇居に叙任式行く各国大使が乗った馬車は、TV中継で見た事は有るが、あんな感じかな。
しかし、道路事情は良くない。日頃の整備が追い付かないのだろう。
建設機械も無くて、手作業だろうから無理なのだろう。
辺境伯領から、1週間位進んだ所で、野盗に襲われた。
やはり、異世界治安は良くない様です。伯爵の家紋も関係無いのでしょう。
俺は、襲われても死なないし壊れないけど、折角の隠れ蓑を失いたくない。
馬車の窓から、外を見ながら魔法を使って、騎士たちの戦いを応援する。
簡単だよ、魔素を集めて濃密な塊にして、野盗の体にぶつけてバランスを
崩してやる。後は、訓練した騎士だ、楽に殺して居る。
可笑しいと気が付くかな? なるべく不審がられない様に助ける。
騎士の倍50人位いた、野盗も半数近くに減ると逃げ出した。
大怪我をした騎士は居ない様で、応急処置のみで次の町まで急いだ。
次の街で数日、怪我を癒して旅を続ける。俺が治癒魔法で治しても良いが
ボロは出したくない、恋人でも無いのだ。
途中、野獣や魔物に襲われたが、大事には成らずに王都に着いた。
辺境の騎士は、強く無いと生き残れないのだよ。
辺境伯 王都別邸に馬車は入る。玄関には多くの使用人が出迎える。
俺も、馬車から降りて、父と母の後から付いて入る。
時刻は、昼過ぎ位だったが、食堂に入って爺さん婆さんに会わされる。
爺さんも婆さんも初対面だ。片道2ケ月も掛かるのだ、滅多な事では王都まで
来ない。
子供も、大きくなるまでは、紹介もしないのだろう。
婆さんが、嬉しそうに抱き着いて来た。
【フラニ・マリエン】年齢45歳 人族 白人種
所属・フランツ王国・マリエン辺境伯爵 の母
夫有り・・・・・・・
身長 162㎝
「お婆様 アラン・マリエンと言います。よろしくお願いいたします」
「お爺さん、ちゃんと挨拶もしますよ」嬉しそうに言う。
爺さんも、嬉しそうに頭を撫ぜる。
【トミエル・マリエン】年齢46歳 人族 白人種
所属・フランツ王国・マリエン辺境伯爵 の父
妻有り・・・・・・・
身長 178㎝
テーブルに着いて、お茶をしながら旅の様子やら領地の事を話している。
俺は、疲れたからと、リサに連れられて子供部屋に入る。
もう、待遇は、伯爵の世継ぎである。旅装を解いて風呂に入る。
今では、リサも慣れて一緒に入って洗ってくれる。16歳のピチピチの裸体を
堪能していますよ。助平親父です。見た目5歳児ですが。
その頃、騎士連中は。「今回の道中は可笑しく無いか?」
「そうだな、何時もなら、大怪我死人は何人か居たよな」
「今回は、50人もの盗賊に襲われ、魔物も来たけど、皆、掠り傷だよな」
「俺も、盗賊に切り掛かれて、ヤバッと思ったら、突然に相手が扱けてな、助かったよ」
「そうだ、そうだ、俺もだよ。不思議だよな?」
皆、頭に???を浮かべて考えて居た。夜は更けていく。
俺は、夕食も終わらせてベットに横たわり。これからの事を考える。
騎士連中の、疑惑は知るよしも無かった。
折角王都に来たのだ、図書館でも有れば見て見たいな。
街の様子も見て文明の発達具合は知りたい。辺境伯領地では、屋敷内しか見ていない。
明日、父に聞いてみよう。