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卒業式当日ーー。


式が終わると、卒業生は一斉に、後輩達が待ち受ける廊下へと流れ出て行く。


彼は……彼はどこにいるのだろうか。


私は、必ず出迎えに来てくれているだろう彼を探して、キョロキョロとした。


「あ、◯◯先輩! こっちです!!」


彼とは別の後輩が先に私を見つけ、笑顔で私を呼んだ。


「ご卒業おめでとうございます!! これ、花束です!」


「ありがとーー」


「写真撮りましょ写真!」


私はいつの間にか、後輩達に囲まれていた。卒業生には、今日一日だけゆるキャラになる魔法が掛けられているらしい。


「はい、チーズ!」


撮影会の合間と合間に、私は落ち着き無く彼を探し続けた。しかし、今ここは一年で一番の人口密度が高いわけで、たった一人を見つけるのは至難の技だった。


一通り写真を撮り終えてもまだ、彼は私の前には現れなかった。


「◯◯、そろそろ謝恩会行かないと」


「あ、うん……」


ーー見つけた。


私は人混みの向こうに、太陽の様な笑顔を見つけた。


他の卒業生と話している彼は、いつも以上に楽しそうに見えた。


ーー可愛い。


ーー写真、撮りたい。


バッグに入れっぱなしにしているデジカメに布越しに触れて、私は思った。


ーー今しかないし。 5分あれば、間に合う……。


だがーー。


私は彼に背を向けて、友達の方へと歩み寄った。


「行こっか、ホテル」


「早く袴脱ぎたい〜」


「確かに」


ーーどうせ、もう会わないなら。 変に残らない方が良いから。


ふっと残った寂しさを振り払う様に、私はどんどん会場から遠ざかって行く。


ーーさようなら、ありがとう。


静かに、確実に、私は大学を卒業したのだった。


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