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異世界転生、程々に......  作者: 安定を求めるギャンブル中毒者
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初依頼......意識なき戦闘

オスミウムは、アハト共和国西端に位置し、グラファイア領やサキシマ国を始点とした大陸輸送網である、鉄道沿線だった。オスミウムでは魔物が出現する一方、肥沃な土地があり、鉄道輸送網を利用した遠隔地市場に焦点を当てた企業的農業、牧畜が盛んだった。


そんなオスミウムには、収穫物を貯蔵、加工する大型倉庫が数多く、それらを狙った魔物の出現が社会問題となっていた。周辺では本来出現しない、他の大陸の種の魔物まで現れる状態だった。


「...で、ここが出現した場所なのですが......」


3人は依頼人の案内で、その場所にいた。


「じゃあ、開けるぞ」


ユリウスは倉庫の扉を開けた。


「うっ...臭。メチャクチャ」

「この倉庫、もう使えないぞ!」


倉庫の中から、生ゴミの様な悪臭を感じると同時にシノは反応した。


「シノさん、ユリウスさん、気を付けて下さい。何かいますよ」


オズが倉庫の奥をジッと見ていた。


「閃光弾でも撃ってみるかな」


シノは懐から樹脂と人工皮革に包まれた小さめの箱の様な物を取り出した。


「それは何だ?」

「これ?折りたたみの銃だよ」


その箱の穴に指を通すと、自動変形し、近未来的な銃になった。


[静脈認証、完了。モード:狙撃、威嚇発砲、閃光弾、短機関銃(外部オプションに接続)......]


「すげぇ!変形した!」


ユリウスの反応をよそに、シノは選択を続けた。

[モード選択:閃光弾、射出目標に向かってカーソルを合わせ、トリガーを半引きして下さい]


[プ.プ.プ......目標ロック、トリガーを引いて下さい———射出]


「おお、できた」


閃光弾を倉庫の天井に撃った。シノ自身、感動していた。


「おお、天井からぶら下がるのか......。便利」

「だが、一瞬だな。全然見えなかったぞ。今度は俺が生活魔法でやる」


ユリウスが刻印の入ったカードを懐から取り出し、カードに光が帯び、指向性を持つ光を放った。


「生活魔法集の略式カードですね。かなり高価なのに、さすが大陸の勇者」

「魔法とか初めて見た!さすがユリウス、すごい!」

「うぅ......お前ら」


ユリウスの反応が変になっていた。


「たかが生活魔法で、恥ずかしいわ!略式カードがあるのに......」

「へえ......あっ、魔法といえば、バイザーを着けておこう」


シノは思い出した様にバイザーを装着した。


「ああ、あの時のか」

「そうそう、模擬戦の時の......うわっ!」

「結構、いますが......」


倉庫内には数十匹のキマイラがいたが、全て横たわっていた。


「寝てるな?そうだよな?」

「じゃあ、さっさと討伐しよう」

「そうですね」


3人は足音を立てないよう、ゆっくり忍び足で近寄った。


「俺が先にやる」


ユリウスが1匹の首に剣を差し込んだ時だった。


グフゥ"ーン"という唸り声と共に、全てが起きてしまった。


「やっべ。起きやがった。シノ、どうする」

「......」


[検知:動物行動解析により、準攻撃行動パターンを検出。脅威対象と識別。短期洗脳:戦闘態勢に移行]


シノは腰に掛けていた剣を抜いた。


「やるのか」

「そうみたいですね」


ユリウスはそのまま剣を構え、オズも同様にユリウスから借りている短剣を構えていた。そして、ゆっくりシノの背後に付いた。


[備考:保護対象2名が追加されました。短期洗脳:口頭による注意喚起]


キマイラはゆっくり3人を囲んでいった。すると突然、シノが叫んだ。


「目を塞げ!」

[定形閃光術式、画像データ参照、光学空間投影術式、展開]


一瞬、暗い倉庫内が真っ白に光った。直後、シノが動き出した。


[致命箇所、ポイントガイド表示。短期洗脳:所持武装による脅威対象、致命箇所への刺殺行動]


シノはバイザーによるガイド表示に従い、それらに剣を次々挿し込んでいった。


[脅威対象:残12、Target Point......Hit!]


後頭部から脳幹を貫通した。


「すげえ!」


[脅威対象:残5、Target Point......Hit!]


横から挿し込み、首から脳幹を貫通した。


「......シノさん、凄いです。的確に致命傷を与えている」


[脅威対象:残0、全脅威対象の生体反応、消失。対象の排除を認定]


シノは全く血を浴びず、剣だけが血を纏っていた。


[防疫措置:所持武装の消毒。分子分解術式、画像......、展開]


剣を纏っていた血が、水が蒸発するように消えた。


[解除:短期洗脳、脳波、正常]


「はっ!」


正気に戻ったシノは、周りを見渡した。


「シノ、一瞬だったな」

「シノさん、凄いです。無表情、無声で淡々と一回で致命傷を与えていく。無駄の全くない動き」

「......そ、そうだった?un...まあ、余裕だったし......」


シノは見覚えのない自身の行動に、困惑しつつ、返事を返した。


「もう、帰ろうぜ。仕事も終わったし......」

「そうですね」

「......u...ああ」


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