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異世界転生、程々に......  作者: 安定を求めるギャンブル中毒者
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プロローグ 1

初投稿です。よろしくお願いします。

「人生、一度きり。進路選択は、これからの人生の方向性を決める重要なものです」


午後3時を過ぎ、窓の外から誰もいないグラウンドを眺めていた。


「進学、就職、それぞれの事情があり、自由に選べる社会だとは、決して言えません」


ロング・ホームルームで、退屈な話を先生がしていた。ゆっくり目を閉じ、熱心に頷き、聴き入っている雰囲気を出していたが、内心、上の空だった。


「妥協、挫折、この選択と結果は、これまでもこれからも、ずっと......」



一瞬、世界から音が消えた。


「シノ様、起きて下さい。ご昼食の時間です」


目を開けると、板張りの天井、薄暗い部屋、板敷きの床が視界に入り、異なる時間の流れを感じた。


「あれ?学校は?」


すると、婦人が首を傾げていた。


「何を言っておられますか?ここは王都ではありません。」

「えっ、でも......」

「国家の規定に従い、教育を受ける場所が学校であり、領内には研究所や訓練校などはありますが、法的に学校と言える施設は領内にありません。ご昼食の準備が出来ております。失礼します」


その婦人が部屋を出ると、俺は1人になった。すると突然、身体に異変が起きた。


「うっ......う!な......なn......」


強烈な頭痛がして、視界が真っ暗になった。その後、映画のフレームの様なものが高速で、膨大な映像が流れた。


《名前は、シノ》

《歳は14》

《詠唱、刻印、魔方陣を使った魔法が得意》

《グラファイア領、タール海峡四大島最大の島、砂丘と島内部の森で構成される》

《グラファイア家、未開地の開拓を任された、開拓貴族》

《世界最大の金保有。市場に流通する金の67%》

《年間国内総生産、世界最大額》

《特許保有数、世界最多》

《対外純資産、世界最大額》

《有償資金援助、世界最大規模》

......《極東異聞録、300mもの巨大な鉄の船、百発百中の超長距離砲、飛翔し追跡する......》......


神経が燃え付く様なスピードだった。


ふと気が付くと昼食を済ませ、食卓に座ったままだった。



以後、日本での自身の名前や生年月日など、自身に関する情報が全く思い出せなくなっていた。



この後、極東異聞録|(現在までの歩み)の書籍を書庫で見つけた。


100年前ぐらいに、新天地開拓調査団の話で、突然上空に40mはある怪鳥が現れ、上空を旋回していた。その後、極東の水平線から船団が出現した。船団の中央の船は、島ほどの大きさだった。徐々に接近して来ると、調査団は恐れて大砲を威嚇発砲した。すると、発砲音を聞きつけた巨大な海龍(シードラゴン)が海中から現れると囲まれ、襲われた。その時、上空の怪鳥から大きな筒が落とされ、大きな水しぶきを上げ、爆発した。海龍の血は海に流れていたが、余計に刺激し、調査団を襲った。すると、船団から煙を放ち、何かが空に上がった。そして、海龍に命中した。すると海龍は、水中に潜り、大波を起こし始めた。だが、船団は次々に空へ何かを打ち上げ、調査団付近でその何かは傘を開き、着水。海中を進み、海中で海龍に命中し、水しぶきを上げた。


しばらく攻撃を繰り返すと、海中から巨大な海龍の死骸が12匹程浮かび上がった。そしていつの間にか、怪鳥も、船団もいなくなっていた。


その12匹の海龍の死骸からは、巨大な魔石と宝飾品として極めて高い価値のある鱗と目の晶石をグラファイア領の宝物庫に入れられ、肉や臓器は売られ、当時の領主は莫大な資本を手に入れた。


その資本を元手に、海外から最新技術を導入し、研究、改良、生産を繰り返し、特許の取得や取扱いに関する知的財産法を制定し、世界で初めて特許や知的財産の概念を条文化した。後に、王国や他の諸外国も特許に関する法律を制定したが、早期に実行し、莫大な資本を有するグラファイア領には対抗できず、技術者や研究者は高待遇と特許保有による長期的な権利収入を夢見て、入領する者は後を絶たなかった。


それから50年ぐらい前から、グラファイア領は王国最東端島領でありながら、王国直轄領の数百倍もの国家予算を組み、数百倍もの税収、成長率も依然として維持していた。その一方で、領主は支出の厳重な監視と厳格な制御を行い、余剰分は公共財に指定し、積立金としていた。しかし、その積立する金保有量が、市場に流通する金の67%に達し、金の急激な高騰と枯渇が生じていた。


今日では、グラファイア領内に世界通貨銀行を設立し、グラファイア領内での金による取引を縮小、偽造防止を施した銀行券を発行し、偽造検知機を金銭取引を行う事業体に補助金を支給し、貸出も行っていた。これにより、金から銀行券への換金が増加し、金融市場では金による取引が減少した。銀行券が金融市場への流入、浸透し、世界共通通貨として、確固たる地位を築いた。


ただし、工業用品や宝飾品としての金を規制している訳ではないので、依然として金の金融価値は極めて高い状態を維持し、準備金としての役割を果たしていた。以降、金の市場放出を行い、白金で代替する政策を行うなどで、貿易による取引で優位な為替市場を維持していた。



「何?調査団を派遣したい?極東の魔海へか?」


シノの父親、アモルファス・カー・グラファイアがシノに言った。


「はい。極東異聞録の船、飛翔する筒、それが意味するものは、次元の異なる高度技術を保有し、運用している証拠だと考えます。それが例え、海龍を一方的に倒す武器であっても!」

「そうだな。我々は今日、技術そのもの、つまり情報を元に利益を得ている。そして、情報には、あらゆる種類の暗号や偽装などの手段で、流出を防止している。我が領は、5kmの射程、精密照準の為の工学観測機や計算器など、唯一無二の技術を保有に加え、その他の追随を許さない圧倒的な技術競争力は、それ以外の分野でも、同様だ。シノ」


アモルファスは、荘厳な雰囲気を漂わせていた。


「はい。だからこそ情報を収集し、早期に研究指針に加筆しなければなりません。その上、接触が叶えば、安全保障、我が領での特許登録への打診、技術協力を実現したいと考えます」


シノは、適当に難しそうな事柄を並べ、説得した。


「わかった。その挑戦を応援しよう。実は既に議会から事業承認と国庫支出の使途の適正承認を得て、2年前から準備をしている最中だ。計画での出発予定は、数ヶ月後だ」


呆気にとられたシノは、意味を持たない音が口から漏れた。


「っそ......そうですか。ありがとうございます」

「必要な準備があれば、早めに事業団に発注しておくと良い」


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