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彼女の正体に近づいてはいけない

 マーガレットの部屋の側にやってきた私。

 もちろん念のため透明人間になる魔法を使って彼女の部屋に向かう。


「女子寮の一階ってここだよね。カーテンが湿られていてよく分からないけれど、こんこんとっ」


 軽くガラスを叩くと、カーテンが引かれ、マーガレットが現れて窓を開ける。


「早く入って、気づかれる前に」

「はーい、でもよくこの透明人間状態でわかるわね」

「体温さえ分かれば余裕よ」

「……え?」


 サーモグラフィーのような、体温を測定する魔法でもあるんですかと思った私は、これ以上彼女の“正体”に近づいてはいけない気がした。

 いや、乙女ゲームを実際にプレイしていたのだから、もっと早くに気づくべきだったのかもしれない。

 ゲーム内のヒロインはとても、能力が高いというか、才女と言うよりはむしろ……。


 いや、それ以上は考えるのは止めよう。

 代わりに、言われた通りの部屋に入る。

 女の子の部屋というには物が少ない気がするが、そこでカーテンを閉めて窓の鍵をかけて、私に側の椅子に座るよう促すマーガレット。


 私は素直にそれに従い、彼女はベッドに座る。

 すると彼女は白い玉を3つほど取り出して、ポンポンとお手玉をする。そして、


「それで、そちらに何か動きは?」

「今日の所は分かりませんね、ただ明日は動くかも」

「それはルカが言っているの? それとも貴方のゲームでの話かしら」

「私のゲームでの話ですね。明日、三年の校舎に行く渡り廊下を使って音楽室にいってください。その時にベリオールと遭遇してちょっと話をする事になります。ちなみにその時、花束と参考書、どちらがもらったら嬉しいか聞いてきますが……」

「もちろん参考書って答えればいいのよね」


 マーガレットは即答だった。

 確かにそんな感じの少女ではあったけれど、それだと、


「好感度が下がります」

「……何で? あいつは幼馴染だから、私の好みは知っているはずでしょう!」

「それでも年頃だから、やっぱり、そういった女の子っぽさに可愛いなって思ったりするんです!」

「……ふーん、それがゲームの意見なのね。わかったわ、そうする。それで……一つ聞いていいかしら」


 そこでその白い玉を、ポポポーンと巧みに手で投げあげて受け取る。

 マーガレットはすごく器用なんだな、大道芸人になれるんじゃないかなと思いながら私は、


「何でしょうか」

「その、ベリオールの私への好感度ってどれくらいかしら。ちょっと入学式の時に失敗してしまって」

「そうなんですか? えっと好感度は56です。ちなみに最高値は100です」

「そ、そう、脈ありなのね」

「かなり落としやすい状況です、ファイトです」


 そこまで話して、現状で話せるのはここまでかなと私が告げるとマーガレットは、


「そう? また何かあったら教えてくれると嬉しいわ」

「はい、ところで一つお聞きしたいのですが……その白い玉はなんですか?」

「ああ、これ? 盗聴器よ? 私を監視しようなんて百年早いわ」


 しかもマーガレットが言うには、今は偽物ダミーの音などを流しているらしい。

 このヒロインやっぱり何かが間違っていると私は思ったのだった。






 そして私はルカの部屋に戻ろうとしたのだけれど、


「? ルカ?」

「! レオ……王子?」


 その戸惑ったような声になったのが間違いだったのかもしれない。

 レオは瞳を瞬かせて、次に私に微笑み、


「少し君とお話したいのだけれど……いいかな?」


 私にそう、張り付いた笑みで告げてくる。

 私は逃げないとと思って、


「す、すみません!」


 そう彼に叫んで逃走する。

 そこで彼は後ろから私に呼びかけた。


「図書館で、“ステータス”画面が見えたけれど、君かい?」

「な、何のことでしょう! 私、知りません!」


 そう答えて私は、レオから少しでも逃げ出そうとその場から逃げ出したのだった。


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