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沈黙する木箱

 お昼休み、先読みの魔女に会ったことを戻って来たルカに伝える。

 顔が蒼白になるルカ。そしてすぐに、


「今すぐにでも元の世界に戻した方がいい? あれに狙われるなんて……どうして気づかれたんだろう、いや、時間の問題だったかも」

「……でも後少しでベリオールとマーガレットはくっつきそうだから、それだけでも何とかしていくよ。ルカのためにも」


 そう微笑む私にルカはちょっと黙ってから、


「ごめん、そう言われてしまうと私、そちらを優先したくなる」

「いいよ、私もルカが幸せになって欲しいって思うから」


 そう答えるとルカは申し訳無さそうに私を見る。

 そんなルカだからこそ私は手助けしたくなるのだ。

 それに私は、レオ王子に貰った……レオ王子かは分からない彼に貰ったペンダントが私のポケットにはある。


 何かあればすぐに助けに来てくれる、そう彼は約束してくれたから、だから……その口約束に甘えている部分もあって、勇気が湧いてきたのだ。

 確かにあの先読みの魔女は怖い。

 でもそんな彼女から私は逃げられたのだ。


 そういえばこの世界に来るとチート能力がといっていた気がする。

 その能力がもしかしたら発動したのかもしれない。

 でも一体どんな能力なんだろう、そう私が悩んでいるとそこですっとスープの入った皿が私に差し出されて、


瑠香ルカは食べないの? 冷めちゃうよ?」

「う、うん、食べる」


 そう答えて私たちは昼食を楽しんだのだった。







 次の日、ルカは先読みの魔女から指令が来たと言っていた。


「でも、瑠香ルカの事は私には聞かれなかった。別人の可能性はないの?」

「ゲーム内の絵と同じだったから、そうだと思う」

「……それとも泳がされているのかな?」

「……レオ王子やマーガレットと相談した方がいいかも」


 私がそう呟く。

 より危険な状況になっているかもしれないから、そう私が思っているとそこでルカが驚いたように私を見る。


「マーガレットとレオ王子と接触していたの? いつの間に?」

「え? えっと……」

瑠香ルカがいるって二人共知っているの?」

「……うん、事情も説明しちゃって……でも協力してくれるみたいなんだ」

「そんな話私は知らないし、それにレオ王子はそんなこと一度も私には言わなかったし……」

「ル、ルカ?」


 そこでルカは瞳に涙をためて、


「私だけ仲間はずれだ。レオ王子は私にも何も言ってくれなかったし。瑠香ルカと会っていたのにあんな……」

「ルカ、えっとレオ王子はルカのことが凄く好きだから……」

「だったらどうしてあんな風に私を責めるの! 酷いよ」

「ルカ……」

「……今日は徹底的にマーガレットを邪魔してやる。自分ばかり幸せで、私ばかり不幸で、私がどんな思いをしているか知っているはずなのに自分だけ幸せなんだ……許せないよ!」


 そう叫ぶと共にルカは部屋を出て行ってしまう。

 そんなルカを私は、姿を消す魔法を使って慌てて追いかけていったのだった。






 途中で私はルカを見失ってしまう。

 どうしよう、妙なことにならないといいけれどと私は思いながら見回すと……マーガレットとベリオールがいた。

 マーガレットのアクセサリーを見ているらしく、蝶をかたどったペンダントを購入していた。


 支払いをベリオールがしている辺り貢物……というかプレゼントなのだろう。

 試しにステータスを見ると、


「100、MAX って表示が。これでもう大丈夫かな……。後はルカだけれど、多分近くにいるよね。でも人が多いからどうやって移動しよう。……透明化の魔法をといちゃおうかな」


 その方が危険は少ないかと思って薄暗い路地に入り魔法を解いた私。

 だがすぐ側の木箱がガタンと大きな音をたてた。

 何もしていないにも関わらず、だ。


「……もしかして、ルカ、ここにいたりする」


 沈黙する木箱。

 なのでそのフタを開けるとそこには、やはりルカがいて何やら魔法陣を書いており、


「じゃ、邪魔しないでよ」

「……何だかすごく危険な、長い首が二つある魔物を召喚しようとしていたりする?」

「! どうして知っているの!」

「ゲームでそうだったから」

「でももう止めようとしても遅い。マーガレットをターゲットに、魔物を召喚する!」


 そこはベリオールにしないとまずいんじゃ、と私が思っている内に、そんな魔物がルカの魔法陣から現れたのだった。


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