わ、私はもうだめかも
部屋に戻ってきた私は、部屋の隅で両膝を抱えるルカに気づいてビクッとなった。
そのあまりの暗い雰囲気に、私は恐る恐る近づいて、
「ど、どうしたの? ルカ」
「……瑠香、どうしよう」
「え?」
「私、レオ王子とその……セッ」
「それ以上言わなくていいです! ……まさかあの喘ぎ声……」
顔をルカはそこで真っ赤にする。
もしかしてそのせいで出られなかったと気付いた私も、顔を赤くする。
微妙な雰囲気の中、ルカは震える唇を開いた。
「瑠香、話を聞いてくれるかな?」
「え、えっと……うん」
私が頷くと、ルカはぽつりぽつりと話し始めたのだった。
「実は私は、前から君のことが気になっていたんだ」
微笑むリセントにルカは怯えていた。
移動時間の時に、たまたま教室の外に出そうなマーガレットと接触しそうだったので、ルカは足止めをしていたのだけれど……。
柔和な上級生の仮面を脱ぎ捨てた彼女は、射抜くようにルカを見つめている。
そして彼女は、マーガレットと接触させないようにルカがしているのを知っていた。
別に誰かに話すつもりもないし協力すると言った彼女だけれど、そんなリセントにルカは壁に押し付けられていた。
そして囁かれる、君のことがずっと気になっていたと。
「もしも君が私の“恋人”になってくれるのなら、出来る限り手を貸してあげてもいい」
「で、でも……」
「君は本当に自分が、レオ王子の恋人になれると思っているのかな?」
「! それは……」
「私にしておきなよ。そうすれば皆幸せだよ? 私も君も含めてね」
優しく微笑む彼女に、ルカはその誘惑に、心ひかれてしまう。けれど、
「リセント先輩、そこまでにしていただきましょうか」
ここにいるはずのない、レオ王子が立っていたのだった。
そこまで聞いた私はあることに気づく。
確か授業の間、レオ王子は私のクラスにいたはずなのだ。
なのでルカと一緒にいたという。では、あのレオ王子は……。
けれど私は、今はルカの話を聞くのを先決にしようと思ったのだった。
怒ったレオ王子にルカは部屋に連れ込まれた。
「どうしてあんな男と会っている」
「……レオ王子には関係ありません」
「……そもそも、ルカはどうしてあんな養子縁組を受けた。罠に決まっているだろうに」
それを聞いたルカはむっとして、
「レオ王子の隣に立ちたかったんです。貴方の隣で、貴方と一緒に生きていけるように私は、力を蓄えていたのです。私は自分が平凡だって分かっているから」
レオ王子が沈黙して、それから……。
「どうやらまだルカは、自分を過小評価し過ぎのようだ。……良いだろう、私にとってルカがどんな存在か思い知らせてやる」
そう私は王子に襲い掛かられてしまったのだった。
そ、それでどうなったのと私は聞くと、
「抱きしめられて耳に息吹きかけられたりして……キスされて」
「そ、それで?」
「それだけだよ、セッ……」
「……ルカ、それはセッごにょごにょと言わないよ」
「……え?」
「言わないって」
私の言葉に目を瞬かせるルカ。
それからほっと息を吐いて、
「だから私は、生きているんだね」
「え?」
「何でもないよ。うん、それで、本当のそれってどうするのか教えて欲しいんだけれどいいかな?」
微笑んだルカに私は、どうしようと私は思いながらも耳元でこっそりとやり方を教える。
真っ赤になったルカが、ポテっと床に倒れた。
「わ、私はもうだめかも。午後の授業もお願いしていいかな」
「嫌だよ、頑張れ」
そう私は、ルカに告げたのだった。
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