演技? いえ、これは本性です
マーガレットとベリオールの関係は上手く行ったようだ。
確かゲーム内でも今回のイベントではこれくらいの値になったような気がする。
こちらはもう後は授業を受けるだけなので大丈夫だろうと私は思い、その場を後にする。
代わりにルカの逃げていった方に私は向かう。
逃げるなら人気のない方だろうな、ルカは後ろめたいことがあるわけだし。
そう思って、何かに引きつけられるように私は向かって行くと……いた。
人気のない校舎裏で、所謂、壁ドン状態にレオ王子にされたルカがいる。
そんなルカは涙目でプルプルと震えている。
少し離れた場所で私が伺っていると、
「それで、ルカ、どうしてあんな事をしたんだい?」
「知らない……」
「知らないはずはないだろう? 私が折角譲ってもらおうと思った花束を君は叩き落として、燃やしたのだからね。……とても失礼な行為だと思わないかい?」
「……もっとも……です」
「その部分だけを糾弾してもいいが……あの花に君は、何をしこんだんだい?」
「それは……」
口ごもるルカ。
それに更に冷たい瞳になったレオ王子が、
「嫌われるための薬、だろう? 知っているよ」
「……ちが、いま、す」
「私に嘘をつくのか? ルカ」
名前を呼ばれて、ルカは更に体をこわばらせる。
俯いてしばらく黙っていたルカは、そこで、ふっと笑い顔をあげる。
まるで嘲笑を浮かべる“悪役”のような顔だ。そして、
「そうですね嫌われる薬です。それが何か?」
「……どうしてそんなものを彼に?」
「マーガレットとの仲を引き裂くためです。貴方にふさわしいのは彼女です」
「それで、それは本心か?」
「もちろんです。前から貴方の存在は目障りだったんです。私は貴方にはもう興味が無いのに追い掛け回して……。手間をかけさせないでください」
「……まさか昔はあんなに素直で可愛かったルカが、堂々とここまで演技できるようになっていたとは思わなかった」
「演技? いえ、これは本性です」
嗤うルカだがそこで、レオ王子に壁に押さえつけられて、
「あまり生意気なことを言うと、どうなるか分かっているのか? 私の心をここまで弄んでいるのだから、その罪は君自身で償ってもらうことになるよ?」
「私はお断りです。貴方に触れられるなんて反吐が出る」
「……それでこれからもそうやって、マーガレットとくっつけるために奔走するのか?」
「もちろんです。それが私の“役目”で……んんっ」
そこでルカの唇を、レオ王子が自分の唇と重ねる。
それだけで顔を赤くしたルカ。
そんなルカにレオ王子が、
「これからルカのすることは全て私が邪魔しよう」
「! そんな……」
「私にあの花束を渡したくなかったのは……君が初めに持っていて、その効果が私に向かうのを君が恐れたからだろう? 君はまだ私に未練がある」
「! ち、違う……」
「違うのなら、もうルカとは遊ばずに、ルカを連れ去るけれどどうする?」
「それ、は……」
「もしも一欠片でも私に想う気持ちがあるのなら、もう少し猶予を上げてもいい。どうする?」
そう言われてしまえば、ルカはもう素直に頷くしかなくて、そこでようやくルカは微笑み、
「分かりました。認めましょう、私の中には……まだ、貴方への思いがくすぶっている」
そう告げると、レオ王子も優しげに微笑み、
「……ようやく、昔私が好きだったルカの笑顔を浮かべてくれたな」
「! べ、べつにそんな……あ……」
そこでレオ王子がぎゅっとルカを抱きしめて囁いた。
「君を守ってみせる。そして覚悟しておくように。私は必ず、君を奪うと」
「……頑張ってください」
そうやって抱きしめあっている二人。
それが何となく気恥ずかしくなってその場から私は移動していく。
さて、放課後はマーガレットと今後の作戦の相談だと私が思っているとそこで、レオ王子がいた。
何でこんなところにと思ってみていると、透明人間になっているはずなのに私の前にやってきて、
「……おかしいな、何か視線を感じる。この辺りとか……なんだ?」
そこで伸ばしたレオ王子の手が、私の肩のあたりに触れる。
突然手を伸ばされて声を出しかけてしまった私は慌てて自分の手で口を抑えるが、そのレオ王子の手はもぞもぞと動き続ける。
「やっぱり何かあるように感じる。……なくなった」
私はこれ以上されてはたまらないと思い一歩下がり、別の方向に走って逃げたのだった。
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