二つ渡せば好感度が倍以上に
花束をたたき落としたルカは顔を真っ青にさせる。
凍りついたように、レオ王子の前で固まるルカ。
そんなルカにレオ王子は……冷たい無表情な顔になって、
「それでルカは、何をしようとしていたんだい? ちらりと花束に何か薬をかけているのをみたけれど」
「それ、は……」
「その花束を私に持たれると困る何かがあるのかな?」
「……知らないっ!」
そう叫ぶと同時に、ルカはその場から逃げ出す。
しかもそばにある花束を燃やして、お金だけはおいて行ったのは、こんな所で気にする所はそこかというツッコミ待ちなのかと私が考えていると、
「……結局なんだったんだ? 花は燃やされるし……そういえば薬とか何とか言っていたような」
「うん、その花束には、渡した人間を嫌いになったりする危険な薬がかかっていたんだ」
「……何処からともなく、さっきいなくなったルカの声が聞こえた気がする。おかしいな俺。疲れているのかな」
ベリオールが真剣に悩み始める。
それはそうだろう、私は透明人間のままだし。
何処からともなく声が聞こえたら彼女のような行動を取るだろう。
なので私は、安心してもらおうと思って、
「えっと、事情は説明できないけれど、今回の私の行動は見逃して欲しいんだ。代わりにすっごく有益な情報を上げるからさ!」
「……信用出来ない」
「できれば信用して欲しいな。ベリオール、貴方は昔、マーガレットとある花屋に行ったことがあるはず。覚えているかな?」
「……そういえばそんなような事もあった気がする。……あいつ、歌って踊る花のおもちゃに夢中になっていた気がする! それか!」
まるで何か素晴らしいことでも思いついたかのように顔を輝かせるベリオール。
待て、それは違う、明らかに間違っている。
私はそんなベリオールに、
「そんなものを渡したら、今度こそ嫌われますよ!」
「今度こそって……でもあいつ喜ぶと思う、絶対! 幼馴染だから俺は分かるんだ!」
「……その謎の安心感はいいです。普通に切り花にしましょう、もしくは、その切り花と一緒に花の玩具も渡すとか」
そう告げた私にベリオールは、
「何で二種類も渡さないといけないんだ」
「二つ渡せば好感度が倍以上に……」
「そうだな、花の玩具と切り花両方がいいよな!」
このベリオールはひょっとしてちょっとあれなのだろうかと私は思ったのだけれどそれは置いておくとして、
「それで切り花ですが、ベリオールは以前、その花屋である花が好きだとマーガレットは言っていたはずです。覚えていますか?」
「……分からない。何かヒントをくれ」
「色は黄色です」
「“ルゼリア”の花だ! あの華やかな花が好きだって言っていたな。そこそこ大きい花が一本について……よし、その花束で行こう! ……あー、でもそうするとお前の言う通りになるのか? また何か罠を仕掛けているのか?」
そこで探るように聞いてくるベリオールに私は、
「私もやりたくて悪役をやっているわけじゃないんですよ。色々事情があるんです」
「……姿が見えないのが気持ち悪いな。だがまあ、折角だし好感度が二倍なら試してみる価値はあるか」
そうベリオールは答え、お金を拾い……何故かその花屋にも打っていた花が踊る玩具を購入し、マーガレットのもとに向かったのだった。
「“ルゼリア”の花、私が好きだって覚えていてくれたんだ」
「も、もちろんさ!」
ベリオールがマーガレットに花を渡して、それを受け取ったマーガレットが嬉しそうに微笑む。
ベリオールはちょっと挙動不審になっていたが、マーガレットの嬉しそうな顔にベリオールも嬉しそうになっている。
よし、きっと今はいい感じだろうと好感度を表示させてみる。
70→80。
本当に上がりやすいなこれ、と私が思っているとそこで玩具の花をマーガレットに差し出して、
「実はこれもプレゼントだ。こういうの好きだろう? マーガレット」
「うん!」
勢い良く答えるマーガレットに私が、えっと呟いていると、ベリオールはほれ見たことかというように得意げだ。
ドヤ顔である。
そこでマーガレットは小さく笑って、
「大事にするね。ベリオールに貰ったものだもの」
「そうしてくれ」
「やっぱりこの花は冷凍保存のほうがいいかしら。氷の中に沈めてずっと眺めているのもいいわね」
「……そんなに気に入ったのか?」
「うん、ベリオールに貰ったものだもの」
素直に答えるマーガレット。
そこでベリオールの好感度が80→82に変化したのだった。
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