求めている結末が何かは、私はもう知っている
そしてお昼休み。
学園のすぐ近くにある花屋にベリオールは向かうらしい。
ルカから聞いた範囲では、だが。
ただそれを聞いて私はある種の疑問がわく。
あまりにも情報が早過ぎる、おかしいと思いながら私は、
「ルカ、どうやってそれを知ったの? 私が知っているゲームでは、ついさっき起こった出来事なんだけれど」
「……スノーホワイト侯爵家にはお抱えの“先読みの魔女”がいるの。その人がそれを……ベリオールと結ばれる未来を見て、それでその切掛の一つは花束だって」
「“先読みの魔女”ね。確か、マーガレットの母親だったんだよね」
とりあえずネタバレしてみた私。
ルカが微妙な表情をしてから、
「マーガレットはベリオールが好きなんだよね? なんで母親が敵に回っているの?」
「えっと、マーガレットの母親は王子様の花嫁の方がいいやって」
「……そうなんだ。でも私は、この“役目”をこなさないといけない。行ってくるね」
「うん、マーガレットは変な事をしても気づくと思うから、大丈夫だよ」
そう励ました私。
それにルカは悲しげにほほ笑む。
そんなルカを見送った私は、ふと私は気付いた。
私がやっていた乙女ゲームは、
「選択によって変化した数多の世界線の幾つか、とか? いやいや……予め計算し推定された、シミュレーションされた未来を示しているレベルでそこまで……でも」
求めている結末が何かは、私はもう知っている。
今彼女らが望んでいる未来が、どうすれば手に入るのかも。
「そう、私は私の知っている乙女ゲームの筋書きに沿うように、修正していけばいいんだ」
きっと私が呼ばれたのはそれも理由だから。
そう思って私は、透明人間になる魔法を使ってルカを追いかけたのだった。
私が見つけた時は、ルカはベリオールと楽しそうに話していた。
どうやらたまたま“偶然”ぶつかった時に、そこから上手く話を合わせて一緒に花屋に行くらしい。
どの花がいいのかというベリオールに、“キルセ花”がいいというルカ。
実はこの花、ある薬をかけると渡した人や貰った相手を嫌いになるらしい。
但しそれに気づいたマーガレットが、
「この花は気に入らないわ。私が好きな花にして」
という女王様な台詞を投げつけるのである。
……そういえばそれで微妙に好感度が上がったんだよなと私は思い出した。
いや、たまにそういったものもいいかなって思うけれど、それは置いておくとして……その後別の花を買って持って行く事になるのだ。
さてどうしようかなと思っていると、試しに見せてもらってもいいかとルカは言って、花束を受け取る。
その時何かを私はルカが振りかけるのを見た。
ちなみにその薬の効果が出るのはもうしばらく後なのだ。
そして何事もなかったかのようにベリオールに手渡すルカ。
後はベリオールがマーガレットと接触した時にあのセリフをいうかだが……事前に話しておいた方が良いかなと私が思っているとそこで、予想だにしない人物の声がした。
「ベリオール、だったか? その花束を私に譲ってほしいのだが、構わないだろうか? ……ああ、もちろん料金は支払おう」
声のした先にいたのは、ここで出てくるはずのない人物。
白い制服に金髪がたなびく彼女。
「レオ王子、どうされたのですか?」
「いや、“少し”興味を持っただけだ。構わないか?」
「は、はい」
そうベリオールは答えて花束を渡そうとして、そこでルカが、
「止めて、触らないで!」
そう叫んで、手渡そうとしたその花束を叩き落したのだった。
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