このヒロインはやっぱりおかしいよ
私が急いで渡り廊下に向かう。
もちろん透明人間になる魔法を使ったままでだ。
「時間としてはそろそろのはず……確かあそこの階段を上がってっと。……透明人間になっているから、クラスを移動する生徒に当たらないようにするのが難しいよ。避けてもらえないし」
私はそうぼやきながらも人混みを抜けて、その先に向かっていく。
そしてどうにかこうにか渡り廊下までやってくる。
丁度その時、マーガレットとベリオールがそこに差し掛かっていた。
ステータスを可視化させておいた状態で様子を見ていると、透明人間になっているはずなのにマーガレットが私の方を見てくすりと笑う。
やはり体温で相手を見ているのか。
うむ、このヒロインはやっぱりおかしいよと思いながら私は、マーガレットの側にいる。
何時でも助言ができるようにだ。
一応、こうしてくれと頼んだはずだけれどそこでマーガレットが、
「私だって結構、女の子らしくなったと思うの」
「へ~、じゃあ、参考書と花束のどちらが欲しい? 好きな方をやるよ」
「そ、それは……」
私はマーガレットの耳元で、何度も花束花束と繰り返した。
ちょっと鬱陶しそうなマーガレットだけれど、それを言う時は頬を赤らめて恥ずかしそうに、
「は、花束……」
「え? 何? 声が小さすぎて聞こえないな~」
「は、花束よ! 花束を寄越せ!」
「……いやいやいや、もしかしてマーガレットは熱があるのか? ほら、見せてみろ」
そう言ってベリオールはマーガレットの額に手を当てて、熱を見ている。
マーガレットは顔が沸騰しそうに真っ赤だ。
こういう所は女の子っぽいよなと私が見ているとそこで、
「うむ、やはり熱があるようだな。本当は参考書が欲しいんだろう? ん? 正直になれよ」
「……そ、そんなに私が花束って変だっていうの?」
「変といえば変だけれど……まあ、たまになら可愛くていいんじゃないのか?」
「か、可愛いって……」
更に顔を赤くするマーガレット。
それにベリオールもどこか嬉しそうに笑っている。
そこで好感度が58→70にまで変化する。
私はよしと思っているとそこでマーガレットにベリオールが、
「なんだ、大人しくなって。そういえばそんな風に言われ慣れていないからな。ほーら、可愛い可愛いか愛い……痛い!」
そこで調子に乗ったベリオールがマーガレットに可愛いを連呼して足を踏まれていた。
しかもベリオールを置いてマーガレットは先に行ってしまう。
それを見たベリオールが、
「まさか花束とはな。参考書って言ったらまあ脈なしだろうなって思ったのに。花束か。……俺、脈有りと見ていいのかな。王子の花嫁になるかもって聞いているから、手出しはするなって聞いているけれど……俺が昔から一番長くアイツの事を見ているのにな」
独白するようにベリオールは呟いて、深々とため息をつく。
「ここで諦めるのも悔しいから、とりあえずはお望み通り花でも買ってきてご機嫌をとりますか」
そうべリオールはちょっと楽しそうに呟いたのだった。
それらを見届けてから私はマーガレットに追いつき、
「上手く好感度が上がりました。次のフラグまで時間が有りますので放課後お邪魔します」
「ええ、よろしく」
そう答えるマーガレットを見送り私は部屋に戻ると……何故か、ルカが部屋の隅で体育座りでいた。
「どうしたの、ルカ」
「……これから私は、ベリオールに罠を仕掛けないといけない」
「ああ、花束にマーガレットが嫌いになる、もしくはマーガレットがベリオールを嫌いになる薬を仕込むんだっけ?」
「! どうしてそれを?」
「……やってみるといいよ。相手は……あのマーガレットだからね」
それに類は目を瞬かせ、私はこの時ほどヒロインが才女? で良かったと思ったのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。




