誓約書ってなんの話?
そんなこんなで私達は次の日、
「じゃあ授業に行ってくるね」
「行ってらっしゃい!」
「うん、お昼はまた一緒に食べようね!」
と、ルカが授業に行くのを部屋にいた私は見送る。
そして私は背伸びをして、
「よし、じゃあ今日の予定は……」
そう呟きながら時計を見る。
マーガレットの件については上手くいっているのか見届ける必要がある。
更に言うならば好感度数値の変化が知りたい。
ゲームと同じなら、そうして上手く誘導するのみだ。
ただ気になるのは、
「ゲームと同じなら楽なんだけれどあのヒロインだしね。まさかいきなり好感度を上げない方向に行くとは思わなかった」
ゲームを買った理由があのヒロインはイロモノだからというのも有る。
つまり、見た目は好みだが性格がアレである。
上手く誘導しないといけない、そう私は思って再び時計を見る。
マーガレットの次のイベントに介入するための移動時間はまだ先である。
さて、どうしようかと思って、とりあえず上手く魔法が発動するかを見ておこうと思い、透明人間になる魔法を使う。
鏡の前に立っても自分の姿を確認したが、全く見えない。
よし、上手くいっているぞと私が思っているとそこで、部屋の鍵がガチャガチャなる。
ルカが忘れ物でも採りに来たのかな、と私が思っているとそこで扉が開く。
現れたのはレオ王子だった。
ここの制服は基本的に黒なのだが、王子だけは何故か白い服を着ているのである。
というかこの姿が金髪にしたりした姿が伶音に似ているから本人だと分かる。
けれどこの部屋に何の用だろうと思いつつも何となく……私にこの前、声をかけてきたレオ王子ではない気がする。
どちらかというと、私の幼馴染の伶音似ている気がする。
ただ何でこんなルカの部屋に来たのだろう。
そもそも合鍵なんて、ルカは渡していないはずなのに。
そこは疑問に持つと怖い気がしたので放置して様子見していると、レオ王子は何かを探し始める。
初めは机の引き出し、そして次は戸棚。
ちなみに私は透明人間になったままレオから出来る限り離れるように移動していた。
そこで壁にくっついていた私の方にレオが近づいてくる。
何で? 気付かれた!?
焦る私の、目と鼻の先までレオ王子の顔が近づかれたけれど、
「……気のせいか。誰かいる様な気がしたが……さてと。探索を再開するか。あいつに任せると変な気を起しそうだからな。……気持ちは分からなくはないが」
レオ王子らしき人物がそう呟いて、私から離れていく。
私はほっと胸をなでおろして、その場に立っていると今度はベッドの下を探し始めてそして、何かの書類の束を見つけて、
「なるほど、これか。ふーん。とりあえず場所は分かったから……解くのに時間がかかりそうだからな。しばらくは調べないといけないから画像データだけとって、元の場所にっと。……まさか恋仲にルカとなるのを邪魔する役をルカ自身にやらせる誓約書とか、汚いことをやるよなっと。よし、これで大丈夫」
そう呟きながらレオ王子らしき人物は部屋から出ていこうとして、それで振り返る。
その目線の先に私がいる。
つまり私とレオ王子は顔を合わせるようにお互いを見ている感じだ。
私は透明人間になっているはずなのに、まさか気づかれた!? と怯えていると、レオ王子はくすりと微笑んで部屋を出て行く。
しかもはじめから何事もなかったというかのように鍵までかけて。
それを見送りながら私はペタンと床にしゃがみこんでしまう。
「お、驚いた……でも、誓約書って……」
独り言……だと思うあの台詞だが、もしそうならばルカはどうなってしまうのだろう。
自分が動けないから私を呼んだルカ。
「絶対に幸せにしてあげたい。というか、誓約書、私もあとでこっそり見よう。今は時間がないから」
そう私は呟いて立ち上がる。
ゲームのヒロイン、マーガレットの好感度イベントは、もうすぐそこまで迫っていたのだった。
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