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ある昼下がりの誘惑(1)

「いやぁ悪いなぁ。ご飯作ってもらっちゃって」

「いえ、泊まる場所を作ってくれるだけで、むしろこんなのでいいのかなって……」

 初春があっという間に寝落ちした頃、夏帆と結衣は夏帆のアパートで結衣の作ったゴーヤチャンプルーとアジの南蛮漬けという夕食を取っていた。

「めちゃくちゃ美味しい……ハルくんの料理も美味しかったけど――女子力高っ……」

 自炊をあまりしない夏帆の家のキッチンにはろくな調理器具もない。結衣はその中で見事な夕食を作ってみせた。

 こざっぱりしていてすっきり食べられるゴーヤチャンプルーと、ひんやり冷たい夏にぴったりのアジの南蛮漬けは、真夏で食欲も落ちるこの時期にぴったりである。

「あー、こんなに美味しいとビールが飲みたくなるなぁ」

「どうぞ、私に遠慮せずに飲んでいただいても……」

「いや、でも色々あなたとお話がしたいからね」

 夏帆はニコニコした。

「昨日、本当にハルくんに何もされなかったの?」

「……」

 結衣は沈黙を以て答える。

「――ふぅむ。ハルくんって本当に、私の人生の中でも会ったことないタイプね」

 夏帆は肩をすくめる。

「ずっと元気がなかったから心配だったのよ。何か不安とかあるなら話してみない?」

 夏帆は学校で女子の悩み相談も行っている。個人的に悩める少女の話を聞くのは好きだった。

 結衣はその夏帆の笑顔に、少しだけ言葉を選ぶように髪を触った。

「――何か私、自分がハルの生き方を縛ってしまっていたのかな、って、思っちゃって」

「ふむ」

「――東京にいた時のハルって、自己主張を全然しなくて、でも黙って自分のやることをやるってタイプで。私達といても自分のことを語らないタイプだったんです。いつも『水は方円の器に随う』とか言って、周りの状況を文句も言わず受け止めちゃう感じで。どこか自分の人生に投げやりで、劣悪な状況でも簡単に受け入れちゃって、損ばかりしてて」

 結衣は静かに話し始めた。

「それは私も白崎先生から聞いたわ。普段はすごく大人しい生徒だったって」

「でもこの町で見たハルはちょっと違ってて――昔みたいに物事をありのまま受け止めはするけれども――何て言うか――状況に流されながらも抗っている――すごくハルの強い意志を感じて――東京にいた時と別人みたいでした。自分からナオに何か意見するなんてこともなかったから……」

 東京にいた時には、いつも初春は結衣と直哉の意思を尊重し、それに応じて動いていた。

 だけど今の初春は違う。

 目の前の問題が何かを俯瞰して、そのために必要だと思ったら出来ることをやる。

 それにぐいぐい引っ張られる感覚が、今までにないものであった。

「ハルくんはもう自分の力でお金稼いでご飯を食べてるからね。それだけでも変わって当然よ。それに今のハルくんには、その流される周りがないしね」

「それだけなんでしょうか……」

 結衣は箸を置く。

「私――今のハルが本当のハルだったんじゃないかなって、思ったんです。この町で変わったんじゃなく、東京にいた時からずっと……」

「どういうこと?」

「東京にいた時のハルは、私やナオを立てるためにずっと自分を殺して我慢して――自己犠牲に徹していたけれど、本当は今みたいに、自由に生きたかったんじゃないかって――それこそ風みたいに、行きたい所に行って、やりたいことをやる――それがハルの本当に願った生き方で」

「自分達がハルくんを縛り付けてたんじゃないか、って、考えちゃったんだ」

「……」

「まあそう考えても無理ないか――紫龍さんにも言われちゃったもんね。あなたとナオくんが、ハルくんの自己犠牲を招く、って……」

 それはまだ歳若い少年少女にとって、あまりにも責任を感じる言葉だっただろうし、二人にそんな気がなかったことも分かる。それを責めるべき話でもない。

 だが、好きな人を結果的に追い込んだことを責めずにはいられないだろう。

 この娘が優しい娘だということは、あの初春が遠ざけない人間というだけで夏帆には分かっていた。

「でも、見た感じハルくんはそれを嫌々やっているようには見えなかったけどな」

 夏帆は南蛮漬けを口に運ぶ。

「私が初めてハルくんに出会った時に言ってたのよ。俺には何もない――夢もやりたいことも、何もないって。その時あのハルくんが涙まで流してね――私はその意味をずっと考えていたけど、きっとあなた達と同じ未来を本当に見たかったんだな、って思うよ」

 夏帆はその最初に見た初春の涙で、初春に興味を持った。

 自分と出会う前の初春の道程に興味を持って、白崎に電話をしてしまったようなものだ。

 それが間接的にとは言え、この娘がこの町で初春とまた出会うきっかけとなった。

 夏帆もそれなりには責任を感じているし、顧みている。

 そして、思う……

「で? ユイちゃんはそんな変わったハルくんを見て、どう思ったの?」

 夏帆は逆に質問を返した。

「……」

 結衣は少し頬を赤らめる。

「ドキドキしたんでしょ。前よりも自分をぐいっと引っ張ってくれたハルくんを見て」

「わ、分かりますか……」

「実際秋葉さんと柳さんがそうだからね。ハルくんのあの、時々見せる悲しいところとか、たまに優しいところとか、時々激しく邪悪なところとか――いわゆるギャップね。普段はのんびりしているけれど、やる時は本当に頼りになるし、助けてくれるから……」

「……」

「私はナオくんもカッコいいと思うし、性格もいい子だと思う。今日見ていてもあなたを困らせていたことは本当に反省していたと思うし――そりゃあんな子がすぐそばにいたらハルくんはぱっと見では見劣りしちゃうかもとは思う――でも、女の子ってハルくんみたいなちょっと危うい感じの男の子にぐらっとなっちゃうこともあるから。あの二人は相当それにやられてるわね」

「……」

 結衣は手で額を押さえる。

「――本当に、熱にうかされる――っていう気持ち、少し分かった気がしました。自分はちょっと危ない感じがする人を好きになるほど単純じゃないと思ってましたから――ハルを見ると、ドキドキするようになっちゃって……」

「それでも浮かない顔をしていたのって――ナオくんのことも嫌いじゃないからでしょ?」

「……」

 言葉を選ぶように俯く結衣。

「嫌いじゃないです――むしろ私、ナオに告白された時だって、嬉しかったですから……」

 その表情がまた少し沈む。

「私って、不誠実ですよね――二人が一生懸命の想いをぶつけ合っているのに」

「そりゃ悩むわよ。ナオくんみたいなカッコよくて何でも揃ってる子、そう簡単に気持ちの整理なんてつかないと思う」

 贅沢な悩みだけど、というのは夏帆は大人の配慮で言わないでおく。

「きっとハルくんはナオくんのスランプ解消も手伝いながら、あなたに自分とナオくんをもう一度見極めさせようとしていると思うよ。そのきっかけを作ろうとしているんだと思う」

「え?」

「今日散々言っていたじゃない。ハルくんが、ナオくんと自分は違うってことを――それを考えろって言ってたけど、多分それをあなたにも見せたかったんじゃないかな。その違いを見せて、自分とナオくんをはっきりあなたに見極めさせるつもりなんだと思う――それこそ水の中に石を投げて、波紋を作るみたいに」

「……」

「ハルくんが作ってくれた見極める機会や考える時間が、まだあなたにあるから――その時間でもう少し自分の気持ち、整理してからでも遅くないんじゃない?」

「……」

「それとも、もう本当の答えは出ているのかな」

「……」

 沈み込む結衣の顔を見ながら、夏帆は思っていた。

 その答えは聞かなくても分かる。

 本当はこの娘もハルくんと同じで、3人が一緒にいられる未来を見たかったのだ。

 高校に行って、中学の延長のような時間がもう少しこのまま――

 片想いでよかった。答えを出すのはもっと先でいい。

 ――そんな時間を過ごしたかったのだろう。

 それが出来たら、どんなに……

「……」

 やっぱりハルくん、私はあなたには未来が必要だと思うよ。

 今は無理でも、もしかしたら3年、5年、10年後にはあなたと二人の運命が交わるかもしれない……

 そのために今私は、ハルくんに高校入学を勧めているけれど……

 ――どうしてもハルくんの問題をクリアできない。

 お金と生活、学業とアルバイトの両立。

 そして奨学金を借りるために必要な近親等の保証人……

 それがなくてハルくんに、この人間の世界で未来を作る方法はあるのだろうか……

「――あ」

 不意に夏帆は閃く。

「これは――ダメ元で言ってみてもいいか……」



「ふあ……」

 窓の薄いカーテンから差し込む光で目が覚めた直哉は、目をこすりながら階段を下りていく。

「おはようございます。直哉様」

 縁側の庭先に音々がいて、庭の物干し竿に布団を干していた。

 東京育ちの直哉は、周りに建物がないとこうも朝の陽ざしが明るいのかと思った。

 自分の携帯の時間を見ると、まだ6時半だ。普段の剣道部の朝練に出るために出かける時間に起きた。決して遅い時間に起きてきたのではないのだが、もう庭先には真昼のような日差しが降り注いでいた。

「おはよう……」

 朝起きたら可愛い女の子がいるという、モテ男の直哉でも一度もしたことがない経験が、どこか照れ臭かった。

「ハルは――いつもこんな時間から働いているのか」

「早起きするのは二日に一回くらいですよ。『れすとらん』というところの仕事に朝行く日だけです」

「そうか……大変なんだな」

 直哉も昨日はこの神庭町に来るためにかなりの長距離移動をしたし、紫龍との手合わせも幾度かやって疲れていたから、真夜中に初春の起きた気配を全く感じずに眠っていた。

「で、でも起きるのお早いですね。こんなに早く起きると思っていなかったので、まだご飯の仕事ができてなくて……」

 音々は初春に、直哉のことはゆっくり寝かせてやれと言われていた。

「ご飯の支度をいたしますね」

 慌てて縁側から走る音々は、また小紋の裾を草履で踏みつけて、べちゃっと前のめりに転んだ。

「お、おい君……」

「あ、あはは――だ、大丈夫ですよ。私よく転ぶんで慣れてますから」

 直哉は音々に手を差し伸べるために縁側を下りて庭に出る。

「――あ」

 不意に別の声が庭からした。

 声の方を向くと、紙袋を持った雪菜が立っていた。

「雪菜様」

「お、おはようございます……」

 この早朝だというのに雪菜には自分のように眠そうな雰囲気が感じられない。もう起きてから何時間かは経っているということが分かった。

「あ、あの――神子柴くん、お二人の食事を揃えるのって、食費もかかるだろうと思って――さ、差し入れ、持ってきたんです――き、昨日電話で許可貰って」

 雪菜は紙袋を前に出す。

「君……」

「……」

 もう恥ずかしさで顔が赤くなり始めているのが、前髪で顔を隠しがちでもすぐにわかった。

「そ、それだけなんですけど――」

「……」

 直哉は一瞬で察する。

 確かに用件はそれだけなのだろうが、彼女の用件はもっと……

「雪菜様、山道を登ってこられたのなら、お茶でも飲んでいかれては?」

 音々が雪菜を引き留めた。



「す、すみません――昨日の今日で準備したので、大したものじゃないんですが……」

 雪菜の持って来たのはサンドイッチだった。

 確かに見た目は普通だが、タマゴサンドにレタスサンド、ハムサンドにツナサラダサンド――どれも間違いのない出来栄えで、種類も沢山ある。

 買い出しの場も限られるこの町で、夜に言いだした中でこれだけ作れたのならもう何も言うことはないだろう。

「お、男の人じゃこれじゃ足りませんか……量がよく分からなかったので……」

 確かに男二人分というには量は少し少ないかもしれない。部活もやっている直哉は普段からエネルギー消費も多いし、このサンドイッチを一人で全部食べてしまえるだろう。

「でもこれ――ハルに直接渡した方がいいんじゃない?」

 居間に上がって向き合う直哉は言った。

「えっ?」

「だって――俺はついででしょ。本当はあいつのために作ったんだから」

「わっ、私――あ、あの……」

 雪菜は二人きりで、隣にいる初春にこれを渡す自分を想像した。

 ――駄目だ――二人きりになるだけでも体が硬直するのに――電話で昨日こんなお願いをしただけでドキドキしていたのに……

「……」

 いい娘だなぁ――

 直哉はいっぱいいっぱいになる雪菜を見て思った。

 そして思う。

 東京でスランプになった途端自分から離れだす人間を見た直哉にとって、こういう腹の奥に何を隠しているか疑いようがないような反応が、改めてどれだけ心地よいのか。

 ――東京にいた時は分からなかったが。

 初春と結衣だけが、俺にとってそれをくれる唯一無二だったんだな、と。

「ハル様は今日は九時過ぎになれば帰ってきますよ」

「そ、そんな、そんなに長居は……」

 今日は午後になったらみんなで野球の練習のために集合、という指示を受けていて。

 それまでは皆、各々の自由に過ごす。それ以上のことは初春は言っていなかったので、今日初春が朝の仕事があることも雪菜は知らなかった。初春も雪菜が昨日の今日でご飯を作ってくれるとは思っていなかったのだろう。

「じゃあ俺、貰っちゃってもいいの?」

「は、はい――で、できたら感想を貰えたら……まだ私、料理は練習中で……」

 言いながら雪菜は思った。

 神子柴くんに食べられる前に、誰かが食べてくれてよかった――ぶっつけで渡すの怖かったもの……

 でも、こんなに格好いい人を毒見役みたいに――私今、すごいことしているのかな……



「うん、これも美味いよ」

 直哉は縁側に出て雪菜の作ったサンドイッチを食べている。

「ほ、本当ですか?」

「うん、これなら全然変じゃないって」

 勿論急場の材料でのものだから無難な感じは否めないが、期待を裏切らない、雪菜らしい味だった。

「よかったぁ……」

「音々さんもどう?」

「わ、私は基本ものを食べなくても生きられますので――ハル様と直哉様でどうぞ」

 音々は二人に冷たいお茶を出す。

「でも下ごしらえ考えたら、サンドイッチでも時間かかったろ」

「わ、私も結構早寝早起きなんです――割と朝日上ると目が覚めちゃって――おばあちゃん、みたいですよね……」

 元々友人もいない雪菜は子供の頃から生活リズムが変わらない。

「……」

 でも――この人もいい人だなぁ。

 昨日の結衣さんと話した時も思ったけれど、本当に纏う空気が穏やかで、同級生に感じていた壁を感じない。

 ここで笑えとか、ここで同調しろとか、そんな見えない強制がないし、無理にその場を盛り上げなくてもいい、リアクションも好きにやればいいというざっくばらんな感じだけれど、それが放置されている感じがしない。

 もう――本当に神子柴くんの言うとおり、二人は特別な人なのだろう。

 こんな雰囲気は狙っては出せない。もう本当に生まれながらの人気者って感じ。

 それに――

 サンドイッチを頬張り続ける直哉の横顔を見て、思う。

 異性の顔立ちに疎い雪菜が見ても、素直に格好いいと思う顔立ちと、運動神経の塊みたいなその体つき――夏の薄着だから余計にそれが分かって、ここまでくるとひとつの芸術品のようだった。

「ん?」

 不意に雪菜の視線に気づいて直哉はそちらを向く。

 それを察して雪菜は反射的に目を逸らしてしまう。

 長年ぼっち生活をしている雪菜も、こんなスクールカーストの上位にいる人と目を合わせると、反射的に怖さと気まずさが沸いて反射的にそうしてしまう癖がついていて、悪気のある行動ではなかった。

「――昨日も思ったけど、人の顔を見て話すの苦手?」

 直哉は言った。

「す、すみません……」

「いや、怒っているんじゃないんだ。君にはいいところがいっぱいあると思うし――もっと自信持てばいいのに、と思ってさ」

 率直な疑問を直哉は口にした。

 直哉は昨日初春に、結衣との仲を丸く収めるために紅葉や雪菜をくっつくなんてできないと言われていたが――それとは別に、この娘の自信のなさが気になった。

「正直俺、君の言葉に結構グッと来たから。ハルとの思い出を作ってあげてってやつ」

「え?」

「ハルにそういう心配をしてくれる人ができたってことも嬉しかったけどさ、そうやって誰かのことを考える真心がこもった言葉――何か久し振りに聞いた気がしてさ」

 その言葉を必死に紡ぐ雪菜の姿が、今のスランプとその流れで人間関係まで上手くいっていない直哉には、その姿が頭から離れなかった。

「俺は君、素敵な女の子だなって思ったけどな」

「そ、そんな。私なんて……」

 褒められ慣れていない雪菜は思わずかぶりを振った。

「……」

 結衣ちゃんだけじゃなく、この人も神子柴くんにそっくりだ。

 こういうことを私に言うあたり――

 ――それだけ神子柴くんが、この二人をずっと見て、追っていたということなのだろうな、と思う。

「――私、この通り地味ですから」

「え?」

「紅葉ちゃんや――葉月先生って素敵ですよね。ああいう人がそばにいたら、きっと男の子は自慢でしょうけど、私はそういうのじゃありませんから……」

 私はひょんなことから紅葉ちゃんや葉月先生と一緒にいることが増えたが。

 二人といると自分の女としての劣等感を感じる。

 二人に比べて私には体の凹凸もなければ、背も低くて、腕や足も棒みたいで。

 そんな劣等感を感じているうちに、結衣ちゃんが現れて。

 そんな人が神子柴くんを好きだという。

「雪菜様、ハル様はそんな方じゃないですよ」

 そう言ったのは、音々だった。

「俺もそう思うな――少なくともアクセサリー感覚で人と付き合う奴じゃない」

 直哉は一応そう言ったが、雪菜の不安をそれで取り除けるとは思えなかった。

 でも――健気だなぁ。

 ハルは俺と柳を無理にくっつけようとするな、って怒るかもしれないが――

 こりゃ本当に何とかしてやりたいなぁ。このままだとこの娘、初春に思いを伝えられないままで諦めて、一人で泣いてしまいそうだから……

「あ、そうだ」

 直哉が閃く。

「折角だから野球の練習がある時間まで、試しに自分改造してみない?」

「え?」

「町に出て、色々試してみようよ。俺も協力するから」

「……」

 何のことはない。直哉は結衣に対する申し訳なさや憤りから、何か動いていたい気分だったというのもある。

 初春もそれで雪菜に世話を焼いているが、雪菜はしっかりしているが、どうも紅葉とは違うほっとけないと思わせる不安さがある。

 だからこの提案は結衣への不義理でもなく、純粋にその想いにほだされてのものだった。

「……」

 だが雪菜はその言葉の先を少し飛躍させていた。

 こんな人と町に一緒に行くなんて――それって……

 で、デートに、なっちゃうの……


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