聴こえぬ者のハジマリ
障がい者について考える青春ストーリー。
大切なものとは?そして、耳の聴こえない彼の日常生活とはー…。
障がい者を理解する為の小説です!
但し、みんながみんな同じ訳でないので、そう接するといいという訳ではありません。私にとって嬉しいと思うことを小説の中で書いているので、保証はしません。ただ、皆さんに考えて欲しいと思い、書きました。
ここは何処だろう。何も聴こえないや。
僕は、二宮岬。生まれつきの先天性難聴。つまり…聾唖者。そんな僕の耳は、補聴器を付けても何にも役に立たない耳だった。
だから、手話や読唇しないとわからない。
だから、話せない。
暗い性格だった。いつも、数字だけが特別だった。そして、数学がすきになった。
そして、今僕は16歳。高校生だ。
普通に毎日を過ごしていたんだけど…どこなんだ?ここは。
真っ暗で少し明りがある。ここに来た記憶がない。僕はついさっきまで散歩していた。
…あれ?誰か来る。
物陰が見えた。すると、一人の男が現れた。
誰?暗くて見えづらい。
?「おまえ…。見えるか?」
ん?わからない。暗くて読唇出来ない。
?「あ、そっか聴こえないんだっけ?難聴なんだよな。」
誰だろう。不信が募る。
いきなり手を掴まれた。
何だろう。光の射す方へ歩いていく。
…外に出た。いや、正確には森から出たらしい。僕は森にいたらしかった。
男の顔を見る。どこかで見たような…。
誰だっけ?何か言ってる。
サトウ…シキヤ?…佐藤色矢。あ!うちのクラスの、席が隣の男子?
もしかしたら、こいつが僕を連れてきた…?
色「おまえ、さっき変な奴に連れて行かれそうになっただろ?覚えてるか?」
え、覚えてない。そういや、頭がガンガンするような…。まさか?
色「たまたま見かけて、明らかに様子が変だったから…そいつ、呼びかけたら慌てて逃げて、追いかけたんだけど…お前、大丈夫か?」
…え。怖い。なんだよそれ。
と、取り敢えず彼に言わないと。
あ、り、が、と、う、
今のは手話だ。読唇は、少々難しいから手話で話す方が普通の人にはいい。…ま、普通の人は手話なんて使わないから、また変な顔して首傾げたり、笑うだろう。
…やだなぁ。
次の瞬間、彼は微笑んで ”どういたしまして'' をいった。
え?分かったのか?今の…。
…嬉しい。単純だけど、いや、単純だから嬉しい。昔も今も、こんな人、居なかった。
周りは優しくしてくれるだけで、僕には普通の接し方をしてくれなかった。どこかギクシャクしていた。中学の時なんか、笑われた。ずっとずっと、僕には普通の優しさなんて貰えないと思っていた。
色「おまえ気をつけろよ。もう、7時だし。夏だからって、風邪引かないとか思ってずっと外にいて学校休みになったなーんてなったら、ノート取らなくちゃいけないの、こっちなんだからな!」
…面白い人だな。よく喋るし。ま、確かに肌寒くなって来たし、帰ろ。
ま、た、ね、
手話で返事した。
色「おう、また明日な。」
久しぶりだなぁ、こんなに沢山話したの。
いつも勉強しかしてないから周りが見えてなかったっけ。
明日、話せるかなぁ。
少し、楽しみになった。
まだまだわからないばかりですが、楽しんで小説を書くつもりです。沢山の考えや意見がある中で自分の考えていることが間違っているかもしれませんが、そういう意味でも成長していけたらと思います。