死体 ・後編
奴らは再生していた。
俺「なんでだ、」
栞「多分それを操ってる奴が
いるのかもね。
それを倒さない限りは
無限再生かしら?」
栞は冷静にそういう。
俺「なんでそんなに冷静なんだよ」
俺はそう栞にいった。
栞「こんなのよりもっといろんなのを
見てきたからじゃないかな」
なんとなく儚げに言ってるのを
俺は感じ取りながらも
俺は奴らの方へと視界をかえる。
俺「どうすればいい」
栞「死体をいくら倒しても
きりがない。
かと言って野放しに
しておくのもどうかと思うし
とりあえず死体は
桜と翼にまかせる
だから時雨はどうにか
死体を操ってる奴を
どうにか探して
少しでもはやく」
俺「わかった」
俺はそう言い残し
別荘を1周するかのように
走り出した
俺「なんかしら見つける
手がかりがあるはずだ
なんか……なにかあるはずだ」
すると少し離れた所から
音がする。
俺「太鼓?」
かすかであるが
太鼓の音らしきものが
森のなかから聞こえてくる
俺は恐る恐る
その音の方へと近づく
俺「なんだありゃ」
俺の視界に入ったのは
肉の塊であろうまるい物体があり
そこの隣で太鼓らしき
ものを持ったものが立っている
1回叩く度に1体塊からでてくる
俺「やるか、
多分あの太鼓を持ってる奴をやれば
いいんだよな」
初めての能力者とのバトルと言うのもあり
俺の足は少し震えていた。
俺「本気の殺し合い
なんだよな、
たんまなしの勝負……。
いくか。」
俺はそういい足を1歩前にだした
その時枯れ木のバキって音が
静かな森の中に響いた。
俺「あっ、」
そんな事を言ってる間に
奴が気づいてこっちを向く
と同時にこちらに走ってきた。
俺「くっ、
いくしかねぇっ!」
俺はそういい奴に向かって走り出した
そして奴は走りながら自分の胸から
ナイフを出して無造作に向かってくる
俺は走りながら右手を後ろに向け
手のひらに小さな風の塊を造り
奴に向けて投げた
そこらの死体なら一瞬で
こなごなにするほどの
しろものだ。
奴「ふっ、
あまいぜ、兄ちゃん」
奴がそういった直後
死体が奴をかばってかわりに
砕ける。
俺「ちっ!!」
そして奴との距離も2.3mくらいに
なったとき奴が俺にとびかかり
左手に持っていたナイフを
俺の顔めがけて振りかざす。
俺はとっさにナイフを交わした
だが奴の攻撃は止まらない
奴はそのまま地面に足がつくと
慣れたかのように俺の脇腹めがけて
蹴りを入れてきた。
俺は1mほど吹っ飛び地面に転がる
俺「ぐっ!」
すごい威力の蹴りが脇腹にはいり
思わず変な声が出る。
そして休む暇もなく
奴が俺めがけ飛びかかってくる
俺「スパツィオテンポっ!!」
俺は0.1秒後の奴の背後に現れる。
奴「なっ、」
俺は奴の背中にナイフを突き立てた。
そして奴を前に蹴り手のひらサイズに
作った風の渦を奴に放った。
しばらくして風でまったほこりが
落ち着き奴の姿が見えてくる。
俺は思わず目を背けてしまった。
自分で殺ったのに。
俺の視界に入ってきたのは
さっきまで殺りあっていた相手が
血だらけで無残に転がってる図だ
俺「俺がやったんだよな……。
だめだ辞めよう
こんなこと考えてると
どうにかなりそうだ」
奴「なかなかだな兄ちゃん。」
と、いきなり奴が喋り出した。
俺「なっ!お前まだ生きてたのか」
奴「生きてるが
そう長くは持たないだろう。
俺がなんでこんな事をしてたか
死ぬ前に話してやる。
てかきいてくれ。」
奴そうつぶやきだした。
奴「俺が何故ここでこんなことを
してたのか、
それはただ人を襲いたいのではなく
ただここに近づいてほしく
ないだけだったんだ。
俺ははるか昔に
ここでじいちゃんと暮らしてた
親兄弟はいなく
俺はじいちゃんに
育てられてた
だがある日じいちゃんが
倒れた。脳梗塞だったらしい。
幼くから1人になっちまった俺は
どうしていいかわからなく
ただじいちゃんに泣きついた
だが祖父は時期に死に
俺は親戚に引き取られた。
それから10年ほどたちじいちゃん
と住んでたこの場所に俺は1人できた
だがその時にはもうじいちゃんと
住んでいた建物はなく
新しい建物が建てられていた。
なんとなく悲しかっただけなんだ
俺の幼い時の思い出の
場所だったからかもな
そしてその頃から俺は
自分の能力に気がついてた。
そうこの能力だ死者を操る
能力……。
そして此処に居座る奴
宿泊に来るやつを次々と
襲ってたってだけだ。
ただ俺は誰も殺してはいない。
ただ近づいてほしくないだけだったんだ。
でだ。気づいたらこの歳だ
兄ちゃん俺いくつに見えるよ……?」
いきなりそう問われて
少し戸惑いながらも俺は
答えた。
俺「えっ?
そ、そうだな……。
25とかか?」
奴「ふっ……。
お世話がうまいんだな。
もう36だよ…………。
ほんと……。
どうしようもない
じん…せ…い……だった……。」
奴はそう言い息をひきとった。
能力者と言っても所詮人間
特別な能力があっても
からだ自体は何も変わらない。
ただの葉っぱですら
時にかすれるだけで血がてる
だからこそこんなにも
あっけないのかもしれない。