メリークリスマスプレゼント
サンタさんにお願い。
パパを下さい。
それはまだ私が幼かった頃の話──
どこか遠い雪の国に赤い服を着たサンタさんがいるのだと信じていた。
いつしか時は流れ、私は気付く──
サンタさんは私の元へは来ないということ。
だってそう。
サンタは遠い雪の国になどいないのだから…
赤い服も着ていないし、白いおひげも生えてはいないの。
メリークリスマス。
ねぇサンタさん。
私のお願いは…
私がクリスマスに欲しいものは…
おもちゃなんかじゃない。
お菓子でもぬいぐるみでもないよ。
ねぇサンタさん。
ねぇパパ。
会いに来て。
会いに来てよ。
来るはずもないのに毎年クリスマスイヴの夜はそわそわして眠れない。
朝起きたら枕元には私のずっと欲しかったクリスマスプレゼントが…
私の大好きなパパが…
なんてね…。
もう期待するのはやめたの。
25日が来るたびに…
クリスマスの朝が来るたびに…
がっかりするのはもうやめたの。
ねぇどうして。
あの子の家にもあの子の家にもみんなの所にサンタさんは来るのに…
どうして私のお家には来ないの?
いつかママが言いました。
良い子にしていないとサンタさんは来てくれないのよ、と。
私は悪い子なのかなぁ?
ねぇサンタさんは忙しいのかな。
きっと世界中の子どもたちにプレゼントを配るから忙しいんだよね。
だからきっと私のことを忘れちゃってるだけ。
そうだよね?
だからきっと私のことが嫌いなんじゃないでしょ?
サンタさんは私が嫌いじゃないよね?
サンタさんは私が悪い子だから…
嫌いだから…
だから会いに来てくれないの?
メリークリスマス。
ねぇサンタさん。
今年ももうすぐクリスマスがやって来るね。
道迷わないように。
お家間違えないようにね。
電気は消さないでおくからね。
そうしたら分かるでしょ?
メリークリスマス。
ピンクのパジャマで寝ておくね。
枕元には赤い靴下置いておくよ。
ねぇパパ。
会いに来てね。




