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モニタリング+卑怯

悲しくなってしまった。

そうなる気はなかったのに。

また、そうする気もなかった。

彼女の様子がおかしく思い始めたのはちょうど1週間前からだ。

どちらも働いているとはいえ、同棲をしているため、嫌でも顔をあわせるのだが、どこかよそよそしくなり、話すことも少なくなってしまった。

僕のいる時は常にスマートフォンと睨み合い、何やら熱心に打っている。

話しかけても上の空である。

いつまでもやっており、料理も片手間である。

たまに僕が作ったりもするが、時たまとんでも無く不味いものが出来たりする。

そんな時彼女はやはり無言のまま二人分の料理を作り直したりした。

僕にも思い当たる節が無いわけでは無い。

実は一度だけ、本当に一度だけ、浮気をしてしまったことがある。

その時は酷く酔っていたし、何よりも断れない感じだった。

それを彼女が知ったのだろうか?

どうやって?

しかし、そんなことはどうでもよいのだ。

実際彼女は僕に不信感を抱いてか、あの態度である。

更におかしいのはもしも知ったならそれを隠してスマートフォンで誰かに連絡を取り続けている。

おそらくそうに違い無い。

彼氏が浮気をしたから私もと、これはいわゆる復讐なのかもしれない。

僕は部屋に隠しカメラを仕掛けることにした。

幸い日曜はお互い休みのため、僕が出掛けると嘘をついて部屋の様子をモニタリングしてやるのだ。

今の時代、カメラの映像をスマホにでも繋いで見ることができる。

恐らく浮気相手を連れ込むだろう。

僕は早速実行した。

それから何週間も経ったが一向にその時が来ない。

浮気はしていないのだろうか?

そんなはずはない。

じゃあ誰に連絡を打っている。

もしや彼女は本当になにも知らないのだろうか。

そうなればそんな彼女を疑い自分の行いを肯定しようとした僕は卑怯者だ。

なんてことをしてしまったのだろうか。

僕が間違いを起こさなければ、今頃彼女はいつもど……


「なぁ、絵理。それ誰に打ってんの?」

「……誰にも」

「じゃあなんでそんなスマホばっか使ってんだよ」

「……小説」

「はぁ?」


カメラを仕掛けたのは私。

あんたが女と浮気してんのはわかってんの。

でも言えなくて、だからこんなこと書いてんの。

一番卑怯なのは。

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