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戦艦+虫眼鏡
艦長、眼前に敵艦が!
太平洋のど真ん中、北東の方角から敵の大きな戦艦が現れた。
おい!なんだあれは!あんなもの聞いていないぞ!
怒号が響き渡る船内は一瞬にして秩序を失った。
自分たちの戦艦に比べ、ゆうに3倍を超える大きな戦艦がもうすでに無数の砲弾をこちらに向けていた。
迎撃に備えろぉ!
艦長の声が乱れた船内を一瞬にして収めた。
空気は淀みのない流れを取り戻し、船員たちの顔には覇気が蘇り闘志が船内を支配した。
取り舵一杯!砲弾を詰めろ!第一陣点火の準備だ!第二陣はそれに続け!
かっ艦長!!
敵の様子を伺っていた船員が声を上げた。
敵艦が、沈んでいきます!
なに!?
巨大な敵船は黒い煙を吐きながら、真っ二つに割れ、ゆっくりと海へと沈んでいく。
神よ…。
ママぁこれ壊れちゃったよ。
こらぁ、虫眼鏡で見ちゃダメって言ったでしょう。
だってよく見えなかったんだもん。