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布団+勇者
布団を跳ね除けたらそこには魔王が立っていた。
半開きの目に映るその姿は逆光を浴びて恐ろしくそびえていた。
「出たな魔王め」
俺はあくび混じりそう言った。
「起きたな勇者め」
彼は唇を避けたように笑いゆるりと拳を固めた。
「しかし眠いな、春先はいくら寝ても眠い」
俺はまた眠たくなってきた。
「とりあえず、今はお前ではなく次の夢の中の魔王を倒しに行く。だから今はこのまま寝て、倒したら起きることにする」
「おいちょっと待て」
魔王はたじろいだが俺は構わず布団を引き寄せ眠りについた。
布団を跳ね除けたらそこには魔王が立っていた。
半開きの目に映るその姿は逆光を浴びて恐ろしくそびえていた。
「出たな魔王め」
俺はあくび混じりそう言った。
「起きたな勇者め」
「あぁダメだ鬼眠い!やっぱり寝る!」
布団を跳ね除けたらそこには魔王が立っていた。
半開きの目に映るその姿は逆光を浴びて恐ろしくそびえていた。
「出たな魔王め」
俺はあくび混じりそう言った。
「起きたな勇者め」
「眠っ」
睡魔と戦う勇者であった。