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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私のモブ姉シリーズ

私のモブ姉が勇者を好きとか、あり得ない。

作者: みなみ

かっとなってかいた。

ずっとドラ〇エの曲が頭をリピートしかしやったことない。

あのCMでショートムービー作ってくれないだろうか、まじで。












私はぼんやりとした前世を持ち、転生した。

いわゆるRPGゲームの世界に主役級の位置で。

将来はちょっときつめな目元に泣き黒子がセクシーな美女になるであろう美幼女、それが私である。


誰もが誉め甘やかし、私は調子に乗っていた。

普通であればそんなクソガキに友達は居ないものだが、たまたま村には赤子か5つ違いのモモリブシアという娘しか子どもは居なかった。

調子こいた私は自分以外を所詮モブとバカにしていたため、彼女の事をモブのお姉さんを略し、モブ姉と呼んでいた。

決して、愛称ではない。

他の人がモモと可愛く呼ぶのも内心許せなかった。

モブの癖に可愛い名前で呼ばれるなんて…!と。

モブ姉はとても心が広い優しい娘だったので、私のような顔だけしか良いとこがない子を可愛がってくれた。

しかし、当時の私は当然の事と思っていた。

戻れるならば過去に戻って埋まりたい。


私が四つの時事件が起きる。

たまたま私の我が儘で村の外の草原で遊んでいた時、スライムに遭遇した。

私はいずれ主役級になる身、スライムごとき恐れるに足らずと木の棒で立ち向かった。

だってゲームではそれでも倒せたし。

それが間違いだとも知らずに。



叩くとスライムは分裂して逆に襲いかかられた。

自分が溶かされると思った。

しかしながら溶かされたのは私でなくモブ姉の背中だった。

ジュウウウウウウウ…

とした音と、肉の焼けただれる不快な臭い、声になら無いモブ姉の悲鳴。



その後の事は自分では覚えていない。

たまたま、村を訪れていた冒険者に助けられた、らしい。

といってもスライムを回りの草原と共に焼き払ったのは私で、それを消火して私達を保護し、モブ姉に応急措置をしてくれたそうだ。

初めて両親をはじめ、村の人々に怒られた。

けれども、モブ姉の両親ですら、彼女の怪我を責めはしなかった。

モブ姉も。

私が無事なら良かったと笑っていた。

彼女の背中は火傷の後が残ってしまった。

冒険者の中に、治癒にたけた者はいた。しかしながら全てを消し去るには至らなかった。

すまないとその青年は謝っていたけれども、謝るべきは私で、断罪されるべきも私のはずだった。

初めて自分の立場が恐ろしくなった。

何をしても許される、そんな存在。

吐き気がした。



それからの私は変わった。

あらゆる本を読みあさり、近くに住む魔女や世捨て人の賢者を訪ねた。

本来ならば隠しキャラ的人達だがゲームの事を知ってる私には探し当てることも造作もない。


賢者には魔術の使い方を。

魔女には薬学や治療の知識を。


魔女の元に通ったのは、モブ姉の背中をどうにかできないかと思ってだった。

しかし私が心配でついてきたモブ姉の方が適性があってちょっとへこんだ。

私は基礎薬学と誰でもできる治癒とその応用までは魔女に教わり、なんとか自分のものにできた。

ちなみにモブ姉はメキメキ実力をつけ、後継者が見付かったと魔女に感謝された…


モブ姉はキズモノでも手に職つけれてよかったと笑ってたけど、私は悔しかった。

キングオブ美少女の私には及ばないが、モブ姉は普通に可愛いお姉さんだ。

胸もでかいし、料理も上手だし、気配りもできるし、なかなかセンスもいい。

嫁にはちょっとだけど、あの胸はいいよなウヘヘヘヘと盛り上がっていた村の若者達の話に上がるほどに魅力的な体つきだ。

ちなみに若者達は私が血祭りにあげたので、モブ姉にたかるハエどもは村には居ない。

村人達はホント昔からモモちゃんが好きすぎて仕方がないなぁ~と暖かい目で見てもらえた。

私に優しい世界で良かったよ。はっはっは。



そんなこんなで私が16歳、モブ姉が21歳の時、魔王が現れたらしい。

うちの村とその周辺は、私と師匠の賢者、魔女の力でこれといった影響も受けずにのんびりと過ごしていたので他人事だった。






そう、勇者が来るまでは。







はっきり言おう、奴は屑である。

ゲーム脳のご都合主義。自分の思い通りになると思っている異世界人。

私のモブ姉に出会い頭に、

『なかなかいい体してるな、モブの村娘のくせに。

家どこだ?今から相手しろよ、俺勇者だぜ。』

とのたまいやがった。

もちろんボコボコにした。


自慢の息子(笑)とやらの切断ショーをしてやろうとしたが、勇者の仲間と村の男たちに泣いて止めるようにすがられたので全裸で一晩さらすにとどめてやった。

そうしたら別な扉を開いたのか、やたら私に絡んでは告白してくるようになり、やはり隙をみて切断しようと旅に着いていく事にした。



初期の時点でレベルがカンストしていた私はレベル1の勇者なんぞ知るかと魔王討伐一直線、隙を見て女の子やマダムとベットインしたがる勇者をどつきさらしつるしあげるのを片手間に突き進んだ。

ちなみに勇者以外のパーティメンバーは神官、盗賊、竜騎士。

おっとり癒し系、チャラ男系不憫、ガチムチマッチョのオッサン(愛妻家)である。

屑を押さえるのに大変な苦労をしてきたようで私はとても感謝された。皆人として好感が持てる頼もしい仲間。元々名高い冒険者や実力者達なので私より下だけどレベルも高く助けられたことも幾度となくあり、勇者を除く私達の絆は深まっていった。



私達は頑張った。超頑張った。勇者を除いて。

『屑からの解放!』をスローガンにわずか二ヶ月で魔王城まで到達、魔王を倒し、残党狩りと和平を望む魔族との交渉に二ヶ月、侵略原因となった屑の特権階級の貴族をぶちのめし平和条約やなんやらの式典参加等の事務手続きを終えて半年後に故郷に帰ってきた。




「ただいま!モブ姉!!」



両親よりも先にモブ姉の所にかけていき、その胸にダイブする。








……ん?

何か減った気がする…?

上から下まで舐めるようにモブ姉を眺めて気付く。

痩せている!

やつれてるに近い痩せ方だけど、その瞳は妙に潤んでいる。

なんというか、色っぽい…?




「あなたが無事でよかったわ!」



モブ姉は私を抱き締め返したり、額や頬にキスをくれた。

ひとしきり再開を喜び終えたとき、モブ姉はおずおずと私に尋ねてきた。




「あ、あの…勇者様たちは…?」









なな



なななななななな何言ってるのおおおおおお!?????!?



もしかして、

もしかして強制力とかで勇者を好きになったとか?!???


落ち着け、この世界はRPG!


そんなギャルゲーみたいな展開許さん。


神が許しても私が許さん。


モブ姉が勇者を好きになったとか絶対ありえないんだからっ…!!!!


だってだってモブ姉が好きになる要素ゼロなはず。


私が固まり戦いていると、背後から屑が寄ってきて肩を抱いてきた。



「ゴルチェたーんっ

見つけたぜ、俺の嫁になってよ!

俺かんがえたんだけど、ゴルチェちゃんが何故か大好きなモブのお姉ちゃんも俺の嫁にして仲良く暮らそうよ。

顔と脚が素晴らしいゴルチェたんとおっぱい最強のお姉ちゃんふたり揃えば最強の嫁ごおぼあぁぁっ!????」



私が裏拳をぶちかますより早く、モブ姉から放たれた麺棒が勇者の喉をつく。

おおう、えげつなぁ。

しかしグッジョブ!!



ぎゅっとモブ姉が私を抱き締めて勇者を睨む。

はからずもモブ姉の谷間に顔を埋める事になってます、私。ふっかふかで幸せです。



「勇者様といえど、可愛いゴルちゃんにふざけた真似はしないでくださいませ。

私、こう見えて深淵の魔女様の弟子ですの。

そのよくまわる口と、しまりの無い下半身使い物にならなくする薬や呪いを喰らいたいですか?」



「ひっ?!

なんで隠れキャラの名前が?!くそう、覚えてろ!あっ、いや、冗談です!ごめんなさい!」



意味ありげに小瓶を取り出したモブ姉に勇者はダッシュで逃げていった。

哀れと思うなかれ。

奴は屑の上、鳥頭というには鳥に申し訳ないほど脳ミソも無いのですぐ忘れて同じことを繰り返したり、更に迷惑をかけやがるのだ。



「ゴルチェさん、モモさん無事ですか!!」



そこにやって来る神官さん。

いつもの穏やかさはどこへやら血相を変えて家に入ってきた。



「あっ!

し、神官様…!!!」



「モモさん…」



見つめ合う二人、甘酸っぱい空気…

これはもしや…?



「あの突然訪ねて申し訳ありませんでした。

どうしても…そのモモさん…貴女に渡したいものがありまして…」



差し出されたのは魔王城の薬草園に生えていた草。

和平を結んだ魔族代表によれば肌に良いらしい。



「ずっと、思っていました。

救いきれなかった女の子の事を…。

私は魔王城に珍しい薬草があると聞いて勇者一行に加わりました。

まさか、旅の途中で再び会えるとは思いませんでしたが…

この薬草は肌にきくらしいのです。

深淵の魔女殿ならば貴女の背中の傷を治す事もできる可能性もあります。どうか受け取ってくれませんか。」



懐かしい顔だと思ってたけど、昔私達を救った冒険者の一人…私に謝ってきた青年だったのだ。

てっきり某乙女ゲームのキャラに似てるだけかと思っていたわ。

しかし、珍しい薬草があるっていうだけで危険な旅に同行しようとするその粋、思い半端ない。

なんか、応援してあげたい通り越して後から蹴り飛ばしてはっぱかけたくなる焦れったさを感じる。


モブ姉を見上げれば恋する乙女の顔だった。

キングオブ美少女の私にはかなわないけど、私にはない愛らしさと美しさを感じる。



「神官さんや、今日はここに泊めてもらいなよ。私は実家行くからさぁ。

勇者来るかもしれないしね。

決めてこいよ、男なら!

もしうだうだとガッツと決められないならモブ姉は私が幸せにしちゃうからね!」



そう言い残して赤面する二人を残し私とモブ姉の家を出た。

そうなのだ、私は旅に出る前モブ姉と二人暮らしをしていた。お互いのところに年の離れた兄弟ができて家が手狭になり、手に職つけていた私達は独立してルームシェアしていたのだ。


近々モブ姉は飛び立つかもしれないけど、私のモブ姉が幸せならば日中入り浸り昼夜食事しに行くぐらいで我慢しようと思う。

神官さんなら許してくれるだろう。

夜は譲ってやらぁ!



フンフン鼻唄をうたっていたら前方からチャラ男系の盗賊がかけてくる。



「ゴルチェ~!

遊びに来たよ!あと、これお土産!

ゴルチェが好きなタルト。モモさんの分もあるから一緒に食べよう!」



盗賊はチャラチャラした見た目に反して、礼儀正しくまめで思いやりがあったりする。

おかげで勇者がやらかすたびにフォローにまわって不憫な目によく合う。かわいそうな位にいいやつである。



「ゴルチェたーん!!!!!」



屑の声が聞こえたので私はタルトを受け取り、術を使った。

姿代えの術。

中級魔術なのですぐ発動する。

すると、あらあら不思議…盗賊は美少女な私に早変わり。私は盗賊に早変わり。



「愛してるゴルチェたーん!!!!!

今夜といわず今すぐ俺とひとつになろうぜ!!!!!」


「近寄るなバカあああああ!!!!」



二人のデスマーチのダッシュを見送り、私は実家に帰ったのだった。










☆☆☆☆☆




翌朝、服をボロボロにして半泣きで盗賊が戻ってきた。



「うっうっ…酷いよゴルチェ…

あんなことされて俺…もう…男が怖い…冒険者の仕事できなくなりそうじゃん…」



「うん、責任はとるわ。

婿に来いよ、ヘイオス。幸せにするよ私。」



「えっ?!」



「返事はハイしか認めないからそのつもりで。」



壁ドンと顎クイをして私は盗賊のヘイオスに迫った。やつは目を潤ませて頷いた。






こうして、私のモブ姉は神官に嫁に行き、私は盗賊を婿にした。家も隣同士にして末永く仲良く暮らすことになった。

ちなみにヘイオスは主夫を任せた。まめに完璧にこなすやつはモブ姉の次にすごいと思う。




え?勇者?

魔族代表のサキュバスに熱望されもらわれていった。そこそこ元気に暮らしてるそうな。

竜騎士のオッサンは子どもが増えて年一回以上は互いの家を往き来し家族ぐるみで仲良くしてる。




これからも人生は続くけど、とりあえずめでたしめでたしじゃないかな。























某乙女ゲームはアンジェ○ークでル〇ァ様イメージです。

初期だから、知らない人多いでしょうね…

友達に借りてはまったな、学生時代…



お楽しみいただければ幸いです。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 後書きと感想で、年齢層が意外に高い…とか失礼な感想を……。 妹がこのゲームをしたいがために、PC-FXを購入してたのを思い出しました。
[一言] アンジェ○ーク、ル●ァ様好きでした。RPG版からトロワ夢中でしたよ(笑)
[一言] 全キャラ100%でクリアした鬼畜な私(笑)クラ●ィス様が1番好き。リセットの鬼でした。
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