眠り姫の起こし方
オチもなにもないです。
二時間クオリティのさくっと読めるお話です
彼女の親友であり幼馴染である女性騎士リーゼロッテと散々遣り合って、やっと彼女との仲を承諾させたのが四ヶ月前。
天涯孤独の彼女を、同じ孤児院で育ったリーゼロッテはそれはそれは大事にしていた。
自分に勝てない男になど、彼女を渡すものかという気持ちがあったようで、リーゼロッテは数少ない女性騎士のなかでも群を抜いて強かった。
騎士の一人として、俺もリーゼロッテの強さには感心するが、彼女を手に入れるために仕方なく何度と対戦し、一応全勝させてもらった。
それでも、リーゼロッテにしてみれば彼女の騎士役を奪われることが屈辱で仕方なかったようだった。
そんなリーゼロッテも、やはり彼女にだけは弱かったようである。
「リーゼ・・・ごめんなさい。
私、グレン様が好きなの。
リーゼが許してくれなくても、グレン様と一緒に生きていきたいの・・・」
「フィアナ・・・いいのよ。
私が勝手に自分より弱い相手にあなたを奪われたくなかっただけ・・・
グレン様ならあなたを託せるとわかっているの・・・それでも納得しきれなくて何度も決闘を申し込んでしまったわ。
フィアナが幸せならそれでいいのよ。」
「リーゼ・・・リーゼ・・・私・・・」
「ほら、泣かないの。
グレン様に幸せにしてもらいなさい。
あなたを泣かせたら、私が命に代えても殺してあげるから。」
そんな物騒な台詞もあながち嘘じゃなさそうだ。
だが、彼女を啼かせることはあっても泣かせることはないと断言できる。
それほど俺は彼女を愛している。
そんな出来事の後、晴れて夫婦になった俺の目下の悩み。
それは・・・彼女がとても朝が弱いということだ。
散々俺が夜可愛がって、彼女の疲労がひどくておきられないのだろうと思っていたが・・・どうやらそれだけでもないらしい。
どうも彼女は朝早く起きるのが不得手なようであった。
騎士団の一つを任されている俺は、訓練のため早朝から出かけることも多い。
その俺を見送りたいといつも彼女がいうので、起こすようにしているのだが・・・これがなかなか起きてくれない。
前に起こさずに出かけたところ、随分と拗ねられたことがある。
拗ねた彼女も可愛いので、俺としては別段気持ちよく寝ている彼女を無理やり起こしてまで見送らせたいとは思わないのだが、彼女は夫婦になったのだから朝の見送りが出来るは妻の特権だという。
「さて・・・どうしたものか。
こんなに気持ちよく寝ている眠り姫を、起こすのは忍びないんだが・・・
眠り姫?・・・あぁ、そうか眠り姫な。
くくっ・・・」
俺は一ついいことを思いついた。
眠り姫を起こす方法・・・今も昔もそれは、王子様の口付けと相場が決まっている。
まぁ実際は、我が家の眠り姫(妻)の相手は騎士である俺(夫)の口付けになるわけだが・・・
「俺の愛しの眠り姫・・・起きてくれないかな。」
そう耳元で囁いてみると、彼女は軽く身じろぎをしたが目を覚ます気配はなかった。
そして俺は、左手を彼女の首の後ろに差込み軽く頭を持ち上げると、彼女のその艶やかな唇と己のそれで深く塞ぎ、さらに右手で彼女の鼻をつまんでやった。
しばらくすると息苦しさから、彼女はじたばたと動き俺の胸を両手で叩く。
その頃には俺は鼻をつまんでいた手だけ離してやっていた。
「ぅん・・・はっ・・・グレんぅ・・・」
しばらく彼女の口腔内を犯し、散々彼女の唇を堪能した後、俺は満足して彼女の唇から己のそれを離した。
目が覚めたばかりの彼女は、肩で息をして顔を火照らせ、今にもその首筋に食いつきたい衝動に駆られるほど艶めかしい表情だ。
「目が覚めたかな、奥さん。」
「な・・・なんて起こし方をされるんですか!」
「くっくっくっ・・・いや、眠り姫を起こすには王子様の口付けだと思ってね。」
しばらくボーっとしたあと、ハッと我に返った彼女は俺の起こし方が不満だったようだ。
だが怒った顔も可愛いので、俺としてはうれしいだけである。
「こんなの全然口付けじゃありません!!苦しかったじゃないですか!」
「そうか?じゃあちゃんとした口付けで、見送りしてもらおうかな?」
ぷんぷんと怒っている彼女に笑顔でそういい、俺は再び彼女の唇をすばやく奪う。
「んっ・・・まっ・・・ぁん・・・」
再度彼女の唇を堪能して、俺は上機嫌で朝の訓練に出かけていった。
「もう・・・グレン様のばかー!!!」
「はっはっはっ。」
まったく続きません!