表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

003.5 少女の苦悩

非常に短いですが、少し補完したかった部分です。

 ダマは頭痛から来る吐き気を抑えることが出来なかった。〈森羅変転〉から今日まで徐々に体調が悪くなって来ているのが判る。それ体調の変化は頭痛となって知らせてくれる。厠から出たダマは気休めになればと、自分自身に〈キュア〉を唱える。

 部屋に戻ったダマは散らばった本を避けてベットに倒れ込む。この頭痛の為に旅の出発を延期させてしまっている。それはとても申し訳ないことだ。しかし、彼女は体調の悪化を仲間達に伝えていない。伝えればきっと、優しい彼らはダマを休ませるだろう。それは避けたかった。自身の体調の悪化は酷くなる一方だし、いずれ時間切れが来てしまうのでは無いかと云う不安がある為だ。

 頭痛は慢性的なものであったが、そんな中にも波はあった。一度収まれば暫くは耐えられた。〈フシミの村〉へ出発した時も、波が引いた時だった。

 ダマは〈フシミイナリ〉で見付けたクリスタルを思い出す。あれを見た瞬間はかなり危険だった。頭痛の波が押し寄せ、波の流れに委ねて楽になれと云われているようだった。恐らく、この頭痛は抵抗の証しなのだ。流されることへの抵抗、より強い本流へ合流しようとする無意識への抵抗。

 あのクリスタルから感じたのはエーテルの吸収だ。そんなものは見たことが無かったが、元々引きこもりである、知らないことの方がきっと多い。エーテルとは魂に類義であると考えている。エーテルを吸収する物体の前で死亡するとどうなるのか、〈落魄〉した魂はその力に引かれて行くのでは無いか。蓄積されたエーテルを肉体へ強制的に還元出来たとしたら、それは甦生となるのか。

 ダマは思い付く疑念をメモに書き記していく。


(うち、情けないなぁ……ソードんはんもミオぴーはんも、アイネはんも巻き込んどんのに、自分が足ひっぱてるわ)


 ジュリを含めて〈ストームマウンテン〉にいる〈大地人〉は、具合を悪そうにはしていない。やはり自分の特異性のせいなのだろうと思う。そのことに関して兄に恨み言なんて無い。彼は精一杯やってくれたし、自分はこうして生きている。感謝を伝えたいし、安心させてやりたい。いつか〈ミラルレイク〉の同胞達にも挨拶に行きたいものだ。そんな風に考え、彼女は微睡む。いつかきっと、感謝を伝えるために。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ