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はじまり
ふと空を見上げる。そこには人の気持ちを裏切るようなものは、見たところない。それにもしあったとしても、空は見たければ見ればいいし、見たくなければ見なければいい。
一人メロンソーダを飲みながら、人気のない夏の道を歩く。時間帯は太陽の位置から見ると、午後二時といったところか。
僕は歩く。歩き続ける。そういえば、僕の歩き方は少しおかしい。だから人の多いところはあまり好きじゃない。どこか馬鹿にされているような気になって、悲しくなってしまうのだ。
さっきから汗が目に入って痛い。
僕は陽炎の中を、昔は白色のコンバースのスニーカーであったものを履き、歩く。歩き続ける。
突然、自分が無価値なものに感じ、感情が零れ落ちてしまいそうになる。それでも、バッグに入れておいたメロンソーダの入ったペットボトルを取り出し、飲み、歩き続ける。
死んでしまいたいけれど、本当は死にたくなんかないんだ、全然。