あらすじ
世界に転機が訪れた。それは皮膚接触により人の想像を具現化させるという神秘の金属ファラカイナの発見。そして同時に、世界には化物があふれた。ファラカイナを食し、知能を持ち、話す生物サリファンダ。ファラカイナを操り化物を戦う者を人々はデマンダと呼んだ。気候変動により世界は寒暖の差は激しく、その土地ガダンは凍てついた氷と雪原に満たされていった。それから、四百年の時が経った。その中で、人々はサリファンダを操る青年・オメガという存在を知り、巨大なデマンダ養成施設アカデミアを作り上げていた。
気づけば記憶を失っていた青年・吾平。化物との戦闘に慣れた身体、そして女の肉体。すべてを失ったまま、自己を求めて旅をしていた吾平が辿り着いたのはアカデミアだった。
サリファンダへの復讐心、憎しみ、優越感、競争意欲。学生たちが抱える闇に吾平は埋没していった。だが、そこで出会った青年・山茶花はひたすらヒーローとなることだけを夢見ていた。山茶花と接していくうちに信頼できる仲間を得て、今を生きていることを実感する吾平。だが、世界の敵として名乗りを上げる青年・オメガは吾平の過去を知るという。促されて知った真実とは、吾平が人ではなく、ファラカイナやサリファンダと同じ、世界の歪みの一つだということだった。オメガのもたらした世界の歪みは永遠の時を孤独に歩ませることとなってオメガを罰していた。不死となったオメガを滅すことができるのは同じく世界の歪みである吾平のみだと、オメガは吾平に殺されようとしていた。崩れかけた世界を正す人柱となってその役目を終えようとするオメガ。だが、その正体が山茶花であると知った吾平は止めにかかる。そして世界の負債を吾平はその身に引き受け、世界の自立意識として保ちながら人柱になった。