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ラストライフ・オンライン  作者: 蜜柑
収束する終わり
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図書館で知る

 俺達は他のメンバーと別れて、5人だけで50層を目指し階段を登った。


 これは、今まで通りの強力なボスが待っているのだとしたら…。

 自殺への行軍。


 それに他のヤツを巻き込むべきなのか…。

 守りたいものを巻き込むべきなのか。

 

「悩んでるんじゃないよ。バカ弟。」

 姉さんがそう言う。

「一人で背負う必要なんてない。5人もいる…んだから。」

 自分にも言い聞かせるようにそう言う。


「ああ。」

 ただ、この最後の層は…。

 ただ単純ではいられない…そんな気がする。


 そう思っているうちに、50層の扉にたどり着いた。


「あけるの?」

 ヴェルが確認を求めてくる。

 その必要はない。

 

 何も答えずに扉を開けた。



 そして、目の前に広がるのは今までのボスエリアとは違う風景だった。

 

 階段状に奥に行くにつれて上がっていっている。

 その段ごとに本棚が置いてある。

 そんな一番奥に、豪華な見た目の、簡単に言えば玉座の様なイスが佇んでいた。


 そのイスには…誰もいない。


 しかし、今までのエリアとは違う。

 多くの影があり、何が隠れているのかわからない。


 そんな中をヴェルはさっさと歩いて進む。

「おい!ヴェル!気をつけろ!」


 それで慎重になることもなく進んでいく。

 そして、大きなイスの背もたれの向こうまで覗き込んでこう言った。


「何もいないみたいだよ?」

 拍子抜けだった。

「影も形も無いね。」

 全てを確認したように言った。

「いないし。帰ろうか。」

 そう言って戻ってきた。


「待ちなさい。」

 姉さんがぼそりと言った。

 その言葉には凍りつく冷たさがこもっていた。

 そして、その顔も凍りついた様な顔をしている。


「何か見つかった?」

 姉さんの言葉の氷に固まるほかのメンバーとは違いヴェルだけはいつも通りしゃべっている。


「この状況で確信したわ。」

 何がはじまっているのかわからない。


「あなたが…井形尋仁いがたひろひとなのね。」

「何を言ってるの?」

 

「50層で終わると確信してたじゃない。誰も知らないことなのに。」

「そういう噂を聞いたんだから仕方ないじゃない。」

「それなら噂の出所をさぐればきっとあなたのところにたどり着く…。」

「そんなことできるのかな。大変だと思うよ。」


「認めてくれないのね…。」

「事実無根だもん。さすがに氷花にそんなこと言われたら傷つくよ?」

「名前で呼ばないで!」


 そこまで聞いてやっと意味がわかった。

 そして、今までのことが繋がってきた。

 だから、泣いている姉さんの代わりは俺がやる…。

 さらに追求をしようとする姉さんを制止して…。


「確かに、不思議だった点はいくつかあるな。」

「かなたまでどうしたのさ?」


「偶然にも二つLLを持っていたという時点でおかしいんだ。だって、あれは井形自身が自信を持って言ってたじゃないか。どんな方法を使ったところで一人の人間が応募できるのは1人分だけだって。複数の応募は確実に見破るしそう言う場合は当選の権利を失うと。」

「俺はその時、ヴェルは運営する立場か何かなのかと思ったよ。だけど、このゲームに運営する人間は一人しかいなかったんだ。」

「49層のことでもそうだ。あいつらの出現は明らかにタイミングがよすぎる。そして、魔術師が言ったこと覚えているか?騙したなだ。それを俺の方に向かって言ってたが、あの時ヴェルは俺の隣にいたな。これだけじゃヴェルが犯人ということにはならないけどな。」

「だが、他にもヴェルは俺の前でありえないことをしてくれた。それは全部自分じゃなくて俺のためだったけど…。」

「疑問に残るのはそこだな。なんで俺のためにこの世界のただの住人を演じてたお前が運営者としての不正をしなければならなかったか。」


 そこまでをヴェルは黙ってきいていた。

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